蔵王温泉が愛され続ける理由とは?タモリさんも感動した“雪国リゾート”の秘密
2025年11月1日放送の『ブラタモリ』の舞台は、東北を代表する名湯、山形・蔵王温泉。今回のテーマは「温泉・スキー・樹氷の三拍子で大人気!雪国リゾート誕生の秘密」。出演はタモリさんと佐藤茉那アナウンサー、語りはあいみょんさんです。
タモリさんが歩く蔵王温泉は、標高約800メートル、山形市の南東に広がる蔵王連峰のふもと。東北地方でも有数の温泉地として知られ、古くから湯治場として栄えてきました。冬になると一面が雪に覆われ、幻想的な風景が広がります。その中には、温泉の湯けむり、広大なスキー場、そして世界でも珍しい樹氷(スノーモンスター)が存在します。
蔵王は、自然の力と人の営みが織りなす「雪国の理想郷」。この記事では、放送内容に先がけて、蔵王の誕生の秘密をじっくり紐解いていきます。放送後には、番組での新発見やタモリさんのリアクションも追記予定です。
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火山が生んだ“強酸性の名湯”の正体
蔵王温泉の一番の魅力は、強酸性泉と呼ばれる独特の泉質。pH1.9前後という日本有数の強酸性を誇り、湯に入るとピリッとした刺激があり、肌がすべすべになることで知られています。
なぜこのような酸性の湯が湧くのか――その答えは、蔵王の地下に眠る火山活動にあります。蔵王連峰は今も活動を続ける活火山で、地下では硫黄や火山ガスが発生しています。これらの成分が地下水に混ざり、地表へと上昇する過程で硫酸や硫化水素が溶け込み、強酸性の温泉となって湧き出しています。
この酸性泉には殺菌作用や皮脂を落とす効果があり、古くから「美肌の湯」「皮膚病に効く湯」として知られてきました。江戸時代の温泉番付でも上位に位置づけられ、明治以降は多くの湯治客が全国から訪れるようになります。
タモリさんも「これは効きそうだね」と感嘆するほど。お湯は透明ながら硫黄の香りが強く、湯船の底には湯の花が舞い、湯けむりの中に白い硫黄成分が漂います。源泉は山の斜面の各所から湧き出しており、共同浴場「上湯」「下湯」「川原湯」などで気軽に体験できます。
蔵王温泉は「火山が作り上げた天然の化粧水」。火山の地熱とガスが生んだこの酸性泉が、蔵王を全国屈指の温泉地に押し上げたのです。
坂道が多い温泉街…その裏にある“地形の秘密”
蔵王温泉街を歩くと、坂道が多く、街全体が傾いて見えることに気づきます。実はこの傾きこそが、蔵王の「成り立ちの証」。
今から数万年前、蔵王の山体が大規模に崩壊(山体崩壊)しました。その際、巨大な土砂や岩塊が麓に流れ込み、谷地形や傾斜地が生まれたのです。この地形の上に温泉街が形成されたため、坂道が入り組んだ独特の町並みになりました。
その後、崩壊地に雨水や地下水が溜まり、地熱の影響を受けて温泉が湧出。湯けむりが立ち上る山あいの温泉街が誕生しました。現在も街を歩くと、あちこちの隙間から温泉の蒸気が立ちのぼり、硫黄の香りが漂います。夜になると、街灯の明かりと湯けむりが幻想的な雰囲気を演出し、まるで“湯煙の迷路”に迷い込んだような感覚に。
ブラタモリでは、タモリさんが実際に坂道を歩きながら、「これが山体崩壊の跡なのか!」と地形の痕跡を確認。温泉街の“傾き”が、何万年にもわたる地球の活動の証であることに驚く場面が期待されます。
スキーリゾート誕生の裏に“火山の恩恵”
蔵王温泉は、温泉だけでなく、スキーの聖地としても有名です。
その始まりは大正時代。雪質の良さに注目したスキー愛好家たちが訪れ、やがて本格的なスキー場の開発が進みました。現在では、東北最大級の蔵王温泉スキー場が広がり、34ものコースと14本のリフト・ロープウェーを誇ります。
その地形は、山体崩壊で生まれた広大な斜面をそのまま利用したもの。なだらかな斜面から急斜面、樹氷原を滑り抜けるコースまで、初心者から上級者まで楽しめる多彩な構成です。雪質も非常に軽く、風によって自然に雪面が整えられるため、極上のパウダースノーが保たれます。
冬になると、国内外から多くの観光客が訪れ、温泉とスキーの両方を楽しむ姿が見られます。昼は滑って、夜は湯に浸かる――そんな贅沢な過ごし方ができるのも蔵王ならでは。
タモリさんはリフトから見下ろす景色に「これはまさに雪国の芸術だね」とコメントするかもしれません。
神秘の絶景“樹氷”が生まれる条件とは
蔵王の冬を象徴するのが、樹氷(スノーモンスター)。世界でも限られた地域でしか見られない貴重な自然現象です。
この樹氷ができるには、3つの条件が必要です。
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標高1000〜1800メートルの冷たい気温
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シベリアからの強い季節風が日本海を渡り、湿気を含むこと
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樹木がアオモリトドマツなどの針葉樹であること
蔵王はこれらすべての条件を満たしています。湿った風が蔵王連峰の斜面にぶつかり、水滴が凍りながら木々に付着。それが何層にも重なって氷の鎧のようになり、やがて巨大な“雪のモンスター”が立ち並ぶ風景となるのです。
この神秘の光景を間近で見るには、蔵王ロープウェーが欠かせません。
山麓駅から樹氷高原駅を経て、最上部の地蔵山頂駅まで上がると、そこはまさに別世界。気温は氷点下10度以下、視界一面に白い樹氷群が立ち並びます。夜にはライトアップも行われ、幻想的な青白い光に包まれる“夜の樹氷”は息を呑むほどの美しさ。
タモリさんも「これは自然の芸術だね」と感動するに違いありません。
白洲次郎が愛した蔵王の静寂
蔵王の魅力は自然だけではありません。文化人にも愛された地として知られています。中でも有名なのが、戦後日本を代表する実業家白洲次郎。
白洲は第二次世界大戦後、GHQとの交渉で活躍したことで知られる人物ですが、都会の喧騒を離れ、心の安らぎを求めて蔵王に山荘を構えました。彼は自然と向き合いながら、蔵王の四季折々の風景を楽しみ、時に執筆や設計に没頭したと伝えられています。
蔵王の山荘には、質素ながらも美しい建築美が息づき、白洲の「無駄を省いた美学」が反映されています。その佇まいは、今も静かに当時の息づかいを伝えています。
タモリさんがこの山荘を訪れるシーンでは、白洲の生き方に触れながら「自然とともに生きるということ」を感じ取る場面になるでしょう。蔵王は、ただの観光地ではなく、“心を整える場所”でもあるのです。
まとめ
この記事のポイントは次の3つです。
・蔵王温泉の強酸性泉は、活火山が作り出した自然の奇跡。
・温泉街やスキー場は、火山の山体崩壊によって生まれた地形を活かして発展した。
・冬の樹氷と文化人白洲次郎の存在が、蔵王を“自然と文化が共存する地”にした。
蔵王温泉は、地球の力が作り出した温泉と雪景色、そして人が築いた文化が交差する場所。
放送後には、タモリさんが実際に体験した温泉街の坂道探検や、樹氷を目前にした驚きのリアクション、白洲次郎ゆかりの山荘での新しい発見などを追記予定です。
自然の造形美と人の営みが融合する「雪国リゾートの原点」。その答えが、この蔵王温泉にあります。
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