パトリス・ジュリアンが魅せる和洋ミックスの暮らし
このページでは『心おどるあの人のインテリア(2026年2月24日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
京都・宮津の海辺にある古民家で、パトリス・ジュリアンがどんな空間づくりをしているのか。
和の建物にフランスの家具が溶け合い、大正ロマンを思わせるあたたかな雰囲気が広がります。
番組では、料理人としての感性と暮らしの哲学が詰まった部屋のこだわりが、ひとつひとつ丁寧に語られていきます。
料理人であり空間のクリエイター・パトリス・ジュリアンの横顔
パトリス・ジュリアンは1952年生まれ。モロッコで生まれ、フランスで育ち、外交官としてアフガニスタンやポルトガル、タイなど世界各地で働いたあと、1988年に来日しました。
その後はフランス大使館勤務を経て、料理とライフスタイルの世界へ大きく舵を切ります。東京・白金台や恵比寿、神戸などで、いくつものレストランをプロデュースし、「生活はアート」というメッセージを込めた料理本やライフスタイル本も多数刊行してきました。
いったんフランスに戻ったあと、2024年に再び日本へ。再来日の拠点として選んだのが、京都府宮津市の海辺に建つ古い民家でした。そこでパトリスは「メゾン・ジュリアン宮津(Maison Julien Miyazu)」という名のレストラン兼ティールームを開き、自宅と仕事場をひとつにした暮らしを始めています。
番組では、料理人であると同時に、空間そのものを作り上げる“インテリアの達人”としての顔にも光が当てられます。
京都・宮津の海辺の古民家を選んだ理由と「海の京都」での暮らし
パトリスが拠点に選んだ宮津市は、「海の京都」として知られるエリアの一つ。日本三景の天橋立にも近く、日本海に面した穏やかな湾と、山がすぐ背後まで迫る地形が特徴です。
レストラン兼自宅となる建物は、栗田湾のほとりに建つ古民家をリノベーションしたもの。もともとの木組みや梁(はり)、障子や格子戸など、日本の昔ながらの造りを活かしながら、内部を住みやすく、招きやすい空間に生まれ変わらせています。
宮津のローカルメディアの取材に対して、パトリスは「大都市ではなく、まだ光が足りない場所に灯りをともしたかった」と話しています。
番組の中でも、海に向かって開いた庭、静かな路地から続くアプローチ、潮風を感じるテラスなどが映し出され、土地の空気そのものをインテリアの一部として取り込んでいることが伝わってきます。
古民家を住まいにする魅力は、太い梁や柱、土壁など、現代住宅には少ない素材の存在感にあります。日本の住宅記事でも、古民家をリノベーションした家は「時間がつくる味わいを楽しめる」とよく紹介されますが、パトリスの家はそこに海外の感性が加わっている点がユニークです。
フランス家具と和の建物が溶け合うダイニングとリビングのしつらえ
一番印象的なのは、ダイニングとリビングのしつらえです。日本家屋なら本来は和室だったであろう空間に、パトリスが長年集めてきたアンティーク調のフランス家具が並びます。
木の床に、落ち着いた色味のラグ。丸みのある椅子やテーブルは、脚がすっと細く伸び、重くなりがちな古民家の空間に軽さを足してくれます。
窓辺には、フランスのブロカント市で見つけたようなランプや小物、そして日本の器がさりげなく混ざっています。ガラス越しに見える海の青と、室内のやわらかな照明が重なり合い、まさに和と洋のミックスという言葉がぴったりの風景です。
「大正モダニズム」という言葉どおり、昭和初期の洋館にも通じるような雰囲気がただよいます。日本の建築史でも、大正から昭和初期にかけて、和風の木造建物に洋風の家具や照明を取り入れたスタイルが都市部で広まりましたが、その流れを今の時代にアップデートしたような空気感です。
番組では、椅子の配置やテーブルの高さ、背後に見える収納棚の見せ方など、細かなバランスにもカメラが寄り、「インテリアは足し算だけでなく引き算も大事」というパトリスの感覚が画面から伝わります。
キッチンとテーブルまわりに詰まった「生活はアート」の哲学
パトリスの代名詞ともいえる言葉が「生活はアート」です。NHKテキストのプロフィールでもこのフレーズが紹介されており、料理やインテリア、本の執筆に一貫して流れているテーマになっています。
キッチンは、プロの料理人らしく機能的でありながら、どこか家庭的な温かさも感じるつくり。番組では、壁にかけられた鍋やフライパン、色とりどりの器、スパイスの瓶などが映り、「見せる収納」と「使いやすさ」のバランスがよくわかります。
食器棚には、日本の作家もののうつわと、フランスで買い集めたプレートが並びます。どちらかに寄せるのではなく、毎日の献立や気分に合わせて自由に組み合わせることで、「今日のテーブル」ができあがる。
料理の世界では、色や形のバランスが味覚にも影響するとよく言われます。実際に、パトリスのレストランでは、地元・丹後の食材を使ったフレンチに、テーブルクロスやナプキン、カトラリーの選び方まで含めてトータルな体験として料理を提供しています。
番組のカメラが追うのは、完成したお皿だけではありません。まな板の上で野菜を刻む音、オーブンから立ちのぼる湯気、テーブルに皿を置くときの所作。こうした一つひとつの場面が、「暮らしそのものを味わう」というパトリスの哲学とつながっていきます。
庭と海、光と風がつくるくつろぎのインテリア
この家のいちばんの贅沢は、庭とその先に広がる海の景色です。レストランの公式サイトでも、「プライベートビーチへと開かれた庭」を持つ場所だと紹介されています。
大きな窓からは、季節ごとに表情の変わる海と空が見えます。晴れの日はキラキラと光が揺れ、冬には鉛色の日本海がしんと静まり返る。その変化そのものが、室内の雰囲気を変えてくれる、最高の「インテリアの一部」になっています。
日本のインテリアの考え方では、昔から「借景」という言葉があります。外の景色をあえて“借りて”部屋の一部に取り込むという考え方です。パトリスの家もまさにそれで、庭や海が、壁にかけた絵やオブジェと同じくらい重要な役割を果たしています。
番組では、朝のやわらかな光が差し込むリビング、夕方のオレンジ色の光に包まれたダイニング、夜にろうそくやスタンドライトだけをともしたテーブルなど、一日の中で変化する光の表情も映し出されます。
「特別なものを買い足さなくても、窓の外にある自然をどう切り取るかで、部屋の印象は大きく変わる」と感じさせてくれるシーンです。
パトリス・ジュリアン流インテリアから学べる実践アイデア
最後に、今回の放送から、ふだんの部屋づくりにも取り入れやすいポイントをいくつかまとめておきます。
まず一つめは、「好きなものをジャンルで分けすぎない」ということ。パトリスの家では、和の器とフランスの器、アンティークの家具とシンプルな収納家具が、肩ひじ張らずに同じ空間に置かれています。「和室だから和のものだけ」「洋室だから洋のものだけ」と決めつけず、自分が心地よいと思える組み合わせを探してみると、ぐっと部屋に個性が出ます。
二つめは、光と視線の抜けを大事にすること。大きな家具を置きすぎない、窓をふさがない、視線の先に「抜け」ができるよう意識するだけでも、部屋は広く感じられます。古民家再生の事例でも、窓からの眺めや天井の高さを生かすことで、開放感を演出している例が多く紹介されています。
三つめは、日常の道具を“見せる”インテリアに変えること。キッチン道具や食器、テキスタイルなど、よく使うものほど、しまい込まずに手の届く場所に出しておく。その際、色や素材をそろえると、生活感ではなく“暮らしの景色”として部屋になじみます。パトリスのキッチンは、その好例と言えます。
そして何よりも大切なのは、「完璧な雑誌のような部屋を目指す」のではなく、自分や家族がリラックスできる空間をつくることです。
世界中を旅し、さまざまな国で暮らしてきたパトリス・ジュリアンが、最後に選んだのは、京都の海辺の古民家でした。そこで毎日料理を作り、訪れる人を迎え入れながら、「よく生き、よく食べ、よく住む」というシンプルな幸せを形にしています。
番組を見終わるころには、「自分の部屋のどこを変えてみようかな」と、少しワクワクした気持ちで部屋を見回したくなるはずです。
Eテレ【心おどる あの人のインテリア [新](1)】野口アヤ(ギャラリーオーナー)のインテリア実例とヴィンテージマンションの住み方、部屋別アートの飾り方を深掘り|2026年1月27日
記事の内容についてのご案内とまとめ
本記事は、心おどるあの人のインテリアの公式情報や公開されている資料をもとに構成しているため、実際の放送内容と一部異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
京都の海辺の古民家で暮らすパトリス・ジュリアンの和洋ミックスな空間づくりや、暮らしの哲学をできるだけ分かりやすく整理してお伝えしています。
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