樋口直哉が教えるおやつの世界へ
2026年2月18日放送のきょうの料理では、料理家の樋口直哉さんが、おやつの時間をぐっと豊かにする二つのレシピを紹介しました。ひとつは昔から多くの家庭で愛されてきた昔ながらの堅めプリン。もうひとつは、特別な道具がなくても作れるクレープです。
どちらも素朴なおやつですが、実は配合や加熱の仕方には科学的な理由がしっかりあります。樋口さんはその理屈をていねいに言葉にしながら、家庭でも失敗しないポイントを伝えていました。
昔ながらの堅めプリンはなぜ生まれたのか
プリンはヨーロッパで生まれ、日本では明治以降に家庭へ広まりました。当時は冷蔵庫も少なく、生クリームは高級品。だからこそ、卵と牛乳だけで作るシンプルなプリンが主流でした。
今回紹介されたプリンは、その時代に近い素朴な味わい。しっかりした食感でありながら、舌に触れる部分はなめらか。そんな“昔ながら”のプリンを正しく再現するには、理由のある工程が必要です。
堅めプリンを作るための科学的ポイント
樋口さんが伝えた大切なポイントは三つあります。
ひとつめは、卵黄を足さず全卵だけを使うこと。卵黄を増やすとコクは増えますが、加熱すると固まりやすくなり食感が硬くなりすぎるためです。
ふたつめは、牛乳のみで作ること。生クリームを使うと柔らかくなり、今回の“堅め”の質感になりにくいからです。
みっつめは、卵と牛乳のおよそ1:2という比率。この比率が、昔ながらの優しい固さを作る黄金バランスです。
科学的に見ると、卵のたんぱく質が固まる温度(約70〜80℃)でゆっくり熱を入れると、表面がなめらかに仕上がります。今回の加熱方法にも、その理屈がしっかり活かされています。
プリン作りに欠かせないカラメルの深い色の理由
プリンの要といえばカラメル。グラニュー糖の温度が上がると、「カラメル化」という化学反応が起き、特有の香ばしい色と香りが生まれます。
色が濃くなるほど苦味が増しますが、甘いプリンとのバランスが良いのは“少しだけ煙が立つ濃い茶色”。今回のレシピも、まさにその絶妙なところを狙っていました。
昔ながらの堅めプリンの材料(容量100mLのプリン型5コ分)
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A グラニュー糖 40g
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A 水 大さじ1
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牛乳 300ml
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卵 3コ
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グラニュー糖 50g
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みりん 小さじ1
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バニラエッセンス 適量
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バター(プリン型用)
昔ながらの堅めプリンの作り方(工程とコツ)
◆つくる前にしておくこと
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プリン型の内側(側面)にごく薄くバターを塗る
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オーブンを150℃に予熱する
◆カラメルを作る
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小鍋にAのグラニュー糖と水を入れ中火にかける
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一部が色づいてきたら鍋を軽く回し、全体に色が広がるまで加熱
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少し煙が立つ濃い茶色になったら火を止め、ひと呼吸おいて水大さじ2を加える
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弱火にかけてゴムべらで混ぜ、トロリと溶けたら型に等分に流し入れ冷ます
◆プリン液を作る
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ボウルに卵を割り入れ、グラニュー糖・みりん・バニラエッセンスを加えて混ぜる
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1の鍋に牛乳を入れて40℃程度に温め、卵液に加えて混ぜる
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ざるでこしてなめらかにする
◆焼く
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カラメルの入った型にプリン液を注ぐ
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バットに並べ、50℃の湯を注ぎ入れ湯せん状態にする
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オーブン150℃で25分蒸し焼き
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粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす
◆仕上げ
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型の底を熱湯につけカラメルをゆるめる
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スプーンで端を押さえ、器に返して取り出す
クレープという素朴なおやつの魅力
もうひとつ紹介されたおやつはクレープ。フランス発祥ですが、日本でも屋台や専門店で人気が高い“身近なスイーツ”です。
樋口さんが伝えたのは「はかりがなくても作れる配合」。卵1コに対し、薄力粉と牛乳をそれぞれカップ1。このシンプルさが家庭のおやつ向きです。
また、薄力粉を同量の強力粉に変えると、たんぱく質量が増えてグルテンができやすくなり、より“もっちり”した生地になります。これも科学的な裏づけのあるコツでした。
クレープをおいしく仕上げる材料(つくりやすい分量)
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薄力粉 カップ1
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砂糖 大さじ2
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塩 1つまみ
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卵 1コ
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牛乳 カップ1(常温に戻す)
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板チョコレート 適量
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バター・グラニュー糖 各適量
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サラダ油 小さじ1
クレープの作り方(工程とコツ)
◆生地を作る
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ボウルに薄力粉と砂糖、塩を入れて混ぜる
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真ん中をくぼませて卵を入れ、牛乳を少しずつ加えながら混ぜる
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ダマがある場合はざるでこす
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冷蔵庫で15分休ませる(生地が落ち着きやすくなる)
◆焼く
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フライパンにサラダ油を薄くひき、中火で温める
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生地を流し入れ、薄く広げる
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縁が色づいたら返し、反対側はサッと焼く
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2枚目以降は油をひかなくてよい
◆仕上げ
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あついうちに板チョコを砕いて散らし四つ折りにする
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もう一種は四つ折りにしてバターをのせ、グラニュー糖をふる
樋口直哉の“科学する料理”が家庭にもたらすもの
今回紹介された二つのおやつは、とても素朴でありながら、作り方には理屈がきちんとあります。
加熱温度、粉と卵の比率、道具の選び方など、どれも家庭で再現できる小さな科学です。
普段のおやつ時間を少しだけ豊かにしてくれる、そんなレシピでした。
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樋口直哉さんの人物像を紹介します
料理の世界と文学の世界、その両方で歩み続けてきた樋口直哉さんについて、もう少し深く紹介します。番組では伝えきれなかった背景を、追加記事としてまとめました。料理を語るときの樋口さんの姿勢が、どんな道のりから生まれたのかを知ると、レシピへの理解もより深くなります。ここでは、経歴や作品、特徴をわかりやすく整理してお伝えします。
経歴について
樋口直哉さんは1981年に東京都板橋区で生まれました。中学生のころから料理に興味を持ち、家の台所で試しながら腕を磨いていきました。その後、料理の技術を本格的に学ぶために服部栄養専門学校へ進学し、基礎から実践までしっかり学びました。卒業後は料理教室で働きながら出張料理などを経験し、フレンチ料理の現場でも腕を振るいました。若いころには自分のお店を持ったこともあり、短い期間でしたが多くの経験を積みました。料理だけでなく文章を書く力も持っていたことから、後に作家としても活躍するようになりました。
活動と実績について
樋口直哉さんは、2005年に小説『さよなら アメリカ』で群像新人文学賞を受賞して作家としてデビューしました。この作品は芥川賞候補にも選ばれ、文学の世界でも注目を集めました。作家として活動しながら料理の仕事も続け、雑誌や本、ウェブメディアで料理を紹介する仕事を増やしていきました。料理家としての樋口さんは、ただレシピを並べるのではなく、料理の裏にある理由や仕組みを大切にする姿勢が特徴です。料理の本や取材記事でも、どの工程にどんな意味があるのかをわかりやすく説明しています。こうした姿勢が評価され、多くの読者や料理好きから信頼を集めています。
代表作の紹介
樋口直哉さんの料理本の中でも、最高のおにぎりの作り方は特に人気があります。この本では、おにぎりをおいしくするための温度や塩の量、握り方の違いなどをていねいに説明しています。毎日のように食べる身近な料理でも、理屈を知ることで味が変わることを教えてくれる一冊です。
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