相次ぐクマ被害と残暑を吹き飛ばす水辺遊び in 埼玉
2025年9月11日放送のNHK「あさイチ」では、社会問題からレジャー、グルメまで幅広いテーマが紹介されました。相次ぐクマ被害の現状と法改正の課題、残暑を吹き飛ばす埼玉・秩父の水辺アクティビティ、さらに国語便覧ブームや秩父の酒文化まで盛りだくさん。ここではその内容を分かりやすく整理してお届けします。
全国で相次ぐクマ被害と法改正
番組冒頭では、今年全国で相次いでいるクマ被害が大きなテーマとして取り上げられました。2025年4月から7月のわずか4か月間で、全国の出没件数は1万2067件にも達し、実際に人がケガをするなどの人身被害も69人にのぼっています。この数字は、クマが山だけでなく人の生活圏にまで頻繁に現れていることを示しており、視聴者にとっても決して遠い出来事ではないと感じさせました。
特に東京都日の出町では、目撃情報が昨年の2倍に増加。都内の目撃情報を集めた「TOKYOくまっぷ」にも、すでに166件の報告が寄せられていて、都市近郊でも安心できない状況になっています。
また、対応策としてことし改正鳥獣保護管理法が施行され、市町村長の判断で猟銃の使用が可能となりました。しかしその一方で、実際に発砲した場合の責任の所在があいまいだとして、現場のハンターたちからは「負担が大きい」「中途半端な改正だ」といった不安や不満の声が聞かれています。
スタジオでは、クマの等身大パネルを使ってその大きさを改めて解説。専門家の山内貴義さんは、もし町なかで遭遇した場合の正しい対処法を紹介しました。「背を向けずにゆっくりと後退する」「近くの建物や車に逃げ込む」など冷静な対応が大切で、逆に「走って逃げる」「急に大声を出す」といった行動は危険であると強調。万が一襲われそうになったときは、「頭や首、顔、腹部を守る防御姿勢」をとることが命を守る可能性につながると説明しました。
さらに、被害が今後も増えるのではないかと心配される要因として、今年の秋は東北地方を中心にブナの実が大凶作になるとの予測が紹介されました。ブナの実はクマにとって重要な食料であり、不作となれば食べ物を求めて人里に下りてくるケースが一層増えるのではないかと懸念されています。
埼玉・秩父の水辺アクティビティ
続いて紹介されたのは「愛でたいnippon」のコーナーで、テーマは埼玉の水辺遊びです。内陸県でありながら、埼玉は川やプールが充実していて、まさに“水の王国”と呼べる魅力を持っています。
まず登場したのは秩父鉄道。ここでは観光名物のSLが運行しており、レトロな雰囲気を楽しみに訪れる観光客は年間なんと850万人にも上ります。中でも人気が高いのが長瀞町のライン下りで、清流の中を舟で進む体験は、自然を身近に感じられるスリル満点のアクティビティです。
さらに最近注目を集めているのが、モンスターSUP。これはラフティングとSUP(スタンドアップパドルボード)を融合させた新感覚のアクティビティで、複数人で大きなボードに乗り込み、荒川の流れを楽しみます。激しい流れに挑むスリルと、瀞場で寝転んでリラックスできる穏やかな時間の両方を味わえるのが魅力です。
また、寄居町から戸田市までを舞台にした荒川ウルトラパドルレースも開催され、幅広い世代から注目を集めています。こうしたイベントを通じて、埼玉が全国有数の水辺レジャー県であることを改めて感じさせられました。
加えて、埼玉県は「川の面積割合が全国2位」「レジャープール数が全国1位」というデータも紹介されました。内陸にありながらも水辺文化が非常に豊かで、まさに“水の王国・埼玉”という呼び名にふさわしい存在です。
スライダーの達人と水切り世界チャンピオン
埼玉の魅力紹介はまだまだ続きます。まず取り上げられたのが、さいたま市で40年以上の歴史を持つユニークな伝統芸「スライダー滑走」です。これは市民プールで代々受け継がれてきた遊び方で、単なるプールのスライダーではなく、一種の“技術”として洗練されてきたもの。達人として登場した伏木田貴さんは、「水面をすべるときに浮力を感じながら進む感覚が最高に気持ちいい」と語り、その魅力を伝えてくれました。番組では両足をしっかり閉じて伸ばし、かかとをわずかに水面から上げるという滑走のコツも披露され、観ているだけでも挑戦したくなる内容でした。
一方、寄居町からは川遊び文化として「熊谷水きり倶楽部」の活動が紹介されました。ここでは水切りがスポーツとして真剣に取り組まれており、メンバーの中には世界大会の優勝者も在籍。出演したのは、“水切り界のメッシ”とも呼ばれる橋本桂佑さんです。橋本さんは日本・アメリカ・イギリスの大会で優勝経験を持ち、最高飛距離はなんと100メートル超え。石を投げる際には「10度ほど上に傾けて水平に投げる」という基本のコツを丁寧に解説しました。
さらに、荒川上流のエリアは石の形や水面の環境が整っており、世界的にも有数の水切りスポットと紹介されました。自然と遊びが融合するこの光景は、まさに埼玉の“水の文化”の象徴とも言えます。
知られざる酒どころ・秩父
秩父は古くから「水の豊かな土地」として知られています。清らかな水に加えて、昼夜の寒暖差が大きいことから、お酒造りにとって理想的な環境が整っているのです。そのため、ここでは多種多様な銘酒が生み出されてきました。
番組では、まずワイナリーが紹介されました。見学ツアーには毎年約1万人が訪れ、場内では20種類ものワインを試飲することができます。特に注目されたのは、海の中で熟成させるという珍しい「海中熟成ワイン」。波や水圧の環境でまろやかさが増すとされ、ワインファンから人気を集めています。また、グラスに氷をたっぷり入れて飲む「かちわりスタイル」は、暑い季節にぴったりで、秩父ならではの楽しみ方として紹介されました。
続いて登場したのは、秩父初のビール醸造所です。オーナーの情熱から始まったこの取り組みは、すでに国際的な審査会で金賞を受賞するほど高く評価されています。特徴的なのは、地元の食文化と結びついた個性的なビールたち。たとえば、埼玉名物を取り入れた「肉汁うどんビール」、さらに樽でじっくり寝かせた「ウイスキー樽熟成ビール」など、他では味わえないユニークな一杯が並びます。
また、地域に根付いた宴会文化も紹介されました。秩父市の消防団では「しめが2時間」という独特のスタイルがあるそうで、飲み会が盛り上がるほど終わりが長引くというエピソードに、スタジオの出演者も驚きと笑いを見せていました。こうした人々の集いもまた、秩父のお酒文化を支える大切な一面です。
国語便覧ブームの舞台裏
ここ数年、意外な人気を集めているのが高校教材の「国語便覧」です。本来は授業を補助するための資料集ですが、今や幅広い世代にとって“知的エンタメ本”のように楽しまれる存在になっています。
ブームのきっかけは3年前の編集者座談会でした。当時、若手編集者たちが「どうすれば生徒にもっと興味を持ってもらえるか」と話し合い、文学作品をアニメやゲームの世界観と結びつけて紹介する新しい工夫を盛り込みました。その取り組みをあるユーザーがSNSで紹介したところ、「こんな教材なら欲しい!」と話題が一気に拡散。出版社には注文が殺到し、増刷してもすぐに売り切れる状態が続いています。
この人気は国語分野だけにとどまらず、他の副教材にも波及しました。特に歴史教材を扱う出版社では、国語便覧の成功にあやかってPRを強化したところ、なんと売上が3倍に伸びたという報告もありました。教材が単なる学習道具から、一般の人々にも楽しめる“知識本”へと変わりつつあることがわかります。
さらに面白いのは、大人になってから活用する人が増えている点です。「学生時代には気づかなかったマニアックな情報に出会える」「思わぬ発見がある」といった声が多く寄せられ、SNS上でも「便覧で遊ぶ大人」たちの感想がシェアされています。
番組スタジオでも、実際に資料の一部が公開されました。出演者たちは「え、こんなことまで載っているの?」と驚きの連続。知識の深さや切り口のユニークさに思わず感嘆の声を上げていました。まさに、教材の枠を超えて新しい価値を生み出している一例だといえるでしょう。
伝統工芸・三川内焼
「いまオシ!LIVE」のコーナーでは、長崎県佐世保市で受け継がれている伝統工芸、三川内焼(みかわちやき)が紹介されました。400年以上の歴史を持つ磁器で、白く透き通るような生地に繊細な絵付けが特徴。高級品でありながら、普段使いの器としても親しまれてきました。
番組では、家族ぐるみで技術を継承している窯元の姿が放送されました。親から子へ、そして孫へと受け継がれる技術は、単なる“ものづくり”を超えた家族の絆そのもの。ロクロを回す手つきや筆で細やかな模様を描く姿からは、代々大切に守ってきた誇りが感じられました。
また、三川内焼は伝統と日常生活をつなぐ器としても魅力があります。茶碗や皿などは日常的に使いやすく、食卓を華やかに彩る存在。美しさと実用性を兼ね備えているため、贈答品としても人気です。スタジオでもその品のある仕上がりに出演者が感嘆し、「伝統が生活の中に息づいている」とコメントしていました。
この紹介を通じて、三川内焼は“美術品”であると同時に、現代の生活を豊かにする生活文化の一端であることが改めて伝えられました。
みんな!ゴハンだよ「とうもろこしの春巻」
料理コーナーでは黄川田としえさんが「とうもろこしの春巻」を披露。豚肉ととうもろこしを青じそで包んで揚げ、香りと食感を同時に楽しめる一品です。副菜には青じそのナムルも紹介。スタジオ試食では、コーンの甘さと青じその爽やかさが絶賛されました。
NHK【あさイチ】みんな!ゴハンだよ|旬のとうもろこし春巻レシピと簡単アレンジ料理|研究家・黄川田としえ直伝 |2025年9月10日放送
まとめ
今回のあさイチは、社会的なクマ問題からレジャー、食、教育、伝統文化まで多彩なテーマが取り上げられました。とくに秩父の魅力は「水辺」「酒」「文化」と三拍子そろっており、残暑の観光先としても注目度が高まりそうです。身近な安全対策から地域の楽しみ方まで、日常に役立つ情報が盛り込まれた2時間でした。
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出典:NHK「あさイチ」2025年9月11日放送
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