『時をかけるテレビ』ユーミンが贈った島の歌に込めた想い
あなたは「歌が生まれた場所」を見に行きたいと思ったことはありますか?それが海の向こうの離島で、そこに生きる人々の物語と結びついているとしたら——きっと心を動かされるはずです。10月31日(金)放送の『時をかけるテレビ 瞳を閉じて〜ユーミンが贈った島の歌〜』では、長崎県の五島列島・奈留島を舞台に、松任谷由実が半世紀前に贈った1曲の歌と、その歌を大切に歌い続けてきた島の人々の絆が描かれます。この記事では、1974年に生まれた『瞳を閉じて』の誕生秘話と、1988年に再びユーミンが島を訪れた出来事、そして今も歌が生き続ける奈留島の姿を紹介します。放送前の今は、番組の予告や史実をもとに背景をまとめています。放送後には番組の内容を詳しく追記します。
島の高校生の願いから生まれた1曲
1974年、当時まだ荒井由実として活動していた若きユーミンのもとに、長崎県奈留島の高校生から1通の手紙が届きました。「離島にも校歌のような歌を作ってほしい」——その純粋な願いに心を動かされたユーミンは、自ら詞と曲を書き下ろし、『瞳を閉じて』を贈りました。手紙を送ったのは、長崎県立五島高等学校奈留分校(のちの長崎県立奈留高等学校)の女子生徒。離島の高校生活、限られた時間の中で過ごす友人との絆、そして卒業後にそれぞれの進路へ旅立つ切なさ。その風景がユーミンの詩の中に息づいています。
『瞳を閉じて』は正式な校歌にはならなかったものの、島では自然に歌い継がれ、卒業式や送別会では必ず流れる“愛唱歌”となりました。桟橋で別れを惜しむとき、誰かが静かにこの曲を口ずさむ——そんな光景が島の春の風物詩となっていったのです。
教科書掲載から歌碑建立へ、そしてユーミンの島訪問
1988年、この歌が中学校の音楽の教科書に掲載されたことをきっかけに、かつての奈留高校の卒業生たちが「この歌を形に残したい」と動き出します。島外に出た仲間が連絡を取り合い、寄付を集め、やがて学校の敷地に『瞳を閉じて』の歌碑を建立する計画が立ち上がりました。歌碑にはユーミンの直筆の文字が刻まれています。除幕式の日、松任谷由実本人が奈留島を訪れ、海を望む丘で島の人たちと一緒に歌を口ずさみました。その姿は、1988年のドキュメンタリー番組「瞳を閉じて〜ユーミンが贈った島の歌〜」として放送され、全国の視聴者に深い感動を与えました。
それから約40年。歌碑は今も奈留高校跡地に残り、訪れる人々が手を合わせ、静かに歌を口ずさむ場所となっています。島の人々にとってそれは、単なるモニュメントではなく、“ふるさと”そのものを象徴する記憶の石碑なのです。
島が教えてくれる「歌の力」
離島で暮らすということは、常に“別れ”と向き合うことでもあります。進学、就職、結婚——人生の節目ごとに多くの人が島を離れていく。それでも彼らの心の中には『瞳を閉じて』のメロディが流れ続けています。音楽が時間と距離を超えて心をつなぐ。その象徴が、ユーミンと奈留島の関係です。
池上彰が司会を務める今回の『時をかけるテレビ』では、1988年の映像を交えながら、当時のユーミンの表情や島民の言葉を今の視点で振り返ります。なぜこの歌が世代を越えて愛され続けたのか。音楽がどんな形で“ふるさと”を支えてきたのか。番組ではその答えが明らかになるはずです。
今も旅人を惹きつける奈留島の風景
奈留島は五島列島の中でも特に穏やかな島で、美しいビーチと緑の丘が広がる自然豊かな場所です。『瞳を閉じて』の歌碑がある旧奈留高校は、港から車で約10分。周囲には奈留島教会群や江上天主堂など、世界遺産にも登録された建築群があります。近年は「ユーミンの歌のふるさと巡り」として訪れる観光客も増えており、五島観光の新たな名所として注目されています。
放送後追記予定
10月31日放送の『時をかけるテレビ』では、スタジオに松任谷由実本人を迎え、当時の取材映像とともに「歌が生まれた瞬間」や「島の人々との再会」について語られる予定です。放送後にはその内容を詳しく追記し、島の現在の様子やユーミンの言葉を反映させます。
まとめ
この記事のポイントは3つです。
・『瞳を閉じて』は1974年に奈留島の高校生の願いから生まれた、心のふるさとの歌である。
・1988年、教科書採用をきっかけに卒業生たちが歌碑を建立し、ユーミン本人が奈留島を訪れた。
・今も島では歌が愛唱歌として生き続け、訪れる人の心を静かに揺さぶっている。
歌は時間を越え、人の心に根づく文化になる。そのことをあらためて感じさせてくれる今回の特集。放送後、島の人たちの新たな声やユーミンのコメントを追記して、物語をさらに深めます。
(※放送後に追記予定:ユーミンのコメント・池上彰による時代背景の分析・最新の島の映像描写)
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