秋の旅は「朝」と「夜」がおもしろい!
紅葉シーズンを迎えた秋、観光地はどこも人でいっぱい。せっかくの旅も、写真を撮るのも一苦労…という経験をした人も多いのではないでしょうか。そんななか、今“人の少ない時間を狙った旅”が人気を集めています。そのキーワードが「朝」と「夜」。
番組『午後LIVE ニュースーン』(NHK)では、早朝に街を歩くモーニングツアーや、夜にしか体験できない幻想的なアートイベントなど、全国の“時間をずらした旅”の最新トレンドを紹介しました。朝の静けさと夜の灯り、あなたならどちらの時間に旅をしたいですか?
北海道小樽「おたるモーニングツアー」早起きのご褒美旅
北海道小樽市で話題を呼んでいるのが「おたるモーニングツアー」。朝7時、小樽駅に18人の参加者が集合します。参加費はなんと1人1000円というお得な価格。ツアーは約4時間で、小樽の朝の魅力をたっぷり味わえる内容です。
最初の目的地は天狗山。夜景スポットとして有名ですが、朝の天狗山から見渡す街並みは、朝もやに包まれて幻想的。海と空の境目が溶け合うような景色が広がります。
その後は地元の海辺の食堂で朝ごはんタイム。朝獲れの魚や小樽名物のニシン料理など、港町ならではの味が並びます。続いて、観光客が少ない時間帯の小樽運河や、創業100年を超える老舗の酒屋を訪ね、歴史や文化にも触れる充実した内容です。
小樽市は近年、オーバーツーリズム(観光客の集中による混雑)の課題に直面しており、国の補助金を活用してこの朝ツアーを実証中。観光客の流れを“朝”に分散することで、街の魅力をより多くの人に知ってもらおうとしています。地元住民との交流や、普段見逃しがちな朝の街並みを味わえる点も高く評価されています。
東京・赤坂 ビジネス街で始まる「朝のさんぽ旅」
一方、都会の真ん中にも“朝旅”の新たな形が登場しています。東京・赤坂のホテルが提供する朝のウォーキングツアーでは、朝7時に集合し、1時間ほどかけて街を散策。日枝神社で参拝したり、国会議事堂や総理大臣官邸を見学したりと、観光と教養を兼ねたユニークなコースです。
このツアーの参加者には、出張で東京を訪れたビジネスマンも多く、「仕事前にリフレッシュできる」「街の新しい顔を見られる」と好評。人通りの少ない時間帯に、ビルの谷間を歩きながら感じる風の心地よさが印象的です。
赤坂という場所柄、テレビ局の関係者や海外からの観光客も多く、TBSテレビや周辺カフェをめぐるコースも人気。忙しい都会でも、朝にほんの少し余裕を持つだけで、旅のような体験ができるのです。
朝にしかできない特別な体験スポット
さらに全国には「朝だからこそ」味わえる体験が広がっています。東京の東京タワーでは月に2回、開館前の展望台で『朝茶の湯』というイベントを開催。眼下に広がる静かな都心の景色を眺めながら、和の心でお茶を味わう時間は格別です。
また、岡山の大原美術館では、一般開館前に特別入館できるモーニングツアーを実施。開館前の誰もいない館内で、名画と静かに向き合うひとときは、まさに“芸術の朝活”。時間を贅沢に使う大人の旅として注目されています。
夜の富山 静寂と光のアートに包まれる時間
一方、夜の旅にも新たなムーブメントが。富山県では「ナイトツーリズム(夜の観光)」を積極的に進めています。2025年にはニューヨーク・タイムズが選ぶ『今年行くべき52カ所』のひとつに選出され、世界的にも注目を浴びています。
しかし、富山県の悩みは“宿泊してもらえない”こと。日帰りで訪れる観光客が多く、宿泊者数は全国39位。そこで県や市は、夜の観光コンテンツを充実させることで滞在を促進しようとしています。
富山の黒部峡谷では、夜空を見上げる「星空ナイトツアー」が人気。トロッコ列車が走る峡谷の闇に、無数の星が広がる光景は息をのむ美しさです。また、南砺市では伝統的な木彫りのまちとして知られる井波別院瑞泉寺が、夜のライトアップイベント「ナイトミュージアム」を開催。
昼間は日差しが強く彫刻の陰影が薄れてしまいますが、夜になるとライトに照らされ、立体的な木彫の表情が浮かび上がります。観光客からは「まるで彫刻が呼吸しているみたい」と感動の声が寄せられているそうです。
変わる旅の価値観「時間を選ぶ贅沢」
番組では、「お得に旅をするなら朝型?夜型?」をテーマにトークが展開されました。朝ツアーは安価で効率的、夜ツアーは静寂と幻想を味わえる——それぞれに違った魅力があります。
小樽モーニングツアーは11月まで実証実験を続け、今後は他の地域にも広げる構想があるとのこと。
富山県のナイトイベントも継続的に進化しており、地域の職人やアーティストと連携した「光の祭典」も検討中です。
近年の旅行者は“モノ消費”よりも“コト消費”、そして“時間消費”を重視する傾向があります。混雑を避けて、静かで豊かな時間を過ごす。そんな旅のスタイルこそ、これからの時代にフィットした新しい贅沢なのかもしれません。
まとめ
この記事のポイントは次の3つです。
・北海道小樽の「おたるモーニングツアー」は、朝の絶景と地元の味を楽しめる人気企画。観光分散の試みとしても注目。
・東京では赤坂や東京タワーなど、都会の“朝の顔”を体験できる新しいツアーが登場。
・富山県では夜のアートや星空観察など、ナイトツーリズムで滞在型観光を促進中。
朝と夜、どちらの旅も「静けさ」「非日常」「発見」に満ちています。観光地を“時間で選ぶ”という発想は、忙しい現代人にこそぴったりの旅の形。次の週末、あなたも少し早起きして、あるいは夜までゆっくり残って、特別な時間を感じてみてはいかがでしょうか。
(出典:NHK『午後LIVE ニュースーン』2025年10月30日放送)
朝旅・夜旅におすすめの持ち物リスト

ここからは、私からの提案です。朝や夜に旅をする場合、日中とは違う気温や光の条件に対応できる準備が大切です。ここでは実際のツアー参加者や旅慣れた人たちが使っている便利グッズを中心に紹介します。
まず欠かせないのは防寒具です。朝夕の冷え込みは季節を問わず意外と厳しく、軽く羽織れるモンベル トレールアクションパーカやユニクロ ウルトラライトダウンなどが人気です。軽量で小さくたためるものを選ぶと、荷物にならず便利です。
続いて、夜の散策やナイトツアーで役立つのがモバイルライト。手のひらサイズのGENTOS LEDライトや、首にかけられるタイプのペツル アクティック コアなどが安全面でもおすすめです。夜道や足元を照らすだけでなく、写真撮影時の補助光としても活躍します。
長時間の歩行になる朝ツアーでは、軽量なスニーカーやトレッキングシューズも重要。特に小樽や富山のような坂道が多いエリアでは、クッション性の高いニューバランス 574シリーズなどが歩きやすく安心です。
また、早朝の水分補給や夜の温かい飲み物用に、保温性の高い象印 ステンレスマグ SM-ZA48が便利です。朝の冷え込み時にはコーヒーやお茶を、夜の観光では温かいスープを入れておけば体もぽかぽかになります。
さらに、夜景や朝焼けをきれいに撮影したい人には、軽量三脚とNikon Z fcなどのミラーレスカメラがおすすめ。暗い場所での撮影には手ぶれ補正機能付きの機材を選ぶと失敗が少なくなります。
最後に、朝旅・夜旅ともに便利なのがポータブル充電器。スマホのライトや地図アプリを使う時間が長くなるため、Anker PowerCore Essential 20000のような大容量タイプを持っておくと安心です。
このようなアイテムを準備しておくと、朝の冷気や夜の静寂の中でも快適に旅を楽しむことができます。静かな時間帯だからこそ、身軽で安全な装備が旅の満足度を大きく左右します。
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