多彩な才能と静かな情熱 俳優・板垣李光人の“内なる色彩”とは
いま、もっとも注目を集める若手俳優の一人・板垣李光人さん。彼はその端正な顔立ちや独特の雰囲気だけでなく、役への深い理解力と感性豊かな表現で、多くの人の心を惹きつけています。2025年10月17日に放送されたNHK総合『午後LIVE ニュースーン』では、そんな板垣さんが俳優として、そしてアーティストとしてどのように自分を表現しているのかを語りました。朝ドラ『ばけばけ』での演技から、絵画や個展、さらには人生観まで――番組を通して浮かび上がったのは、“多彩な表現者”としての姿と、静かに燃える情熱でした。
『ROOKIES』が人生を変えた 心に火をつけた熱いドラマ
板垣李光人さんが俳優という道を選んだのは、あるドラマとの出会いがきっかけでした。その作品とは、2008年に放送された人気ドラマ『ROOKIES』。再放送を観たとき、「こんなにも熱くなれるってすごいことだ」と感じたと言います。その“熱”こそが、彼の俳優としての原点になりました。
幼少期からキッズモデルとして活躍していた板垣さんですが、13歳の時に大河ドラマ『花燃ゆ』で俳優デビューを果たします。演じたのは吉田松陰の幼少期。この経験が彼にとって、役を通じて“他人の人生を生きる”喜びを感じるきっかけになったそうです。
その後も着実にキャリアを重ね、『ここは今から倫理です。』(主演:堤真一)では繊細で孤独を抱えた青年を演じ、『どうする家康』では女装姿が話題となりました。見た目の印象に頼らず、心の奥にある人間らしさを丁寧に表現すること。それが板垣さんの俳優としての持ち味になっています。
朝ドラ『ばけばけ』で魅せる“三之丞”の奥行きと優しさ
2025年に放送中の連続テレビ小説『ばけばけ』では、雨清水家の三男・三之丞を演じています。控えめで穏やか、しかし家族を思う強い心を持つ青年です。板垣さんは番組内で、「父親と目線をあわせて“愛としてあのセリフを伝えたかった”」と語り、セリフの一つひとつに感情を込めていたことを明かしました。
彼が演じる三之丞は、一見おとなしいようで、実は家族の中で誰よりも人の痛みを感じ取る存在。板垣さん自身も、感受性が強く繊細なタイプであり、その感性が役に自然と重なっています。物語の中で彼が見せる一瞬の表情、わずかな間(ま)の取り方が、視聴者の心を揺さぶるのです。
絵を描くことで心を整える 個展『愛と渇きと。』と絵本『ボクのいろ』
板垣さんの魅力は俳優だけにとどまりません。彼はイラストや絵画の分野でも才能を発揮しています。中学生の頃からデジタルイラストを描き始め、感情を形にする手段として続けてきました。絵を描く理由について「負の感情をデトックスするため」と語り、内面の揺れをアートで昇華させているそうです。
2024年には個展『愛と渇きと。』を開催。そこでは人間の孤独や希望をテーマに、繊細な色づかいで“感情の風景”を描き出しました。さらに、絵本『ボクのいろ』を制作し、「自分の“いろ”を見つけることの大切さ」を子どもたちにも伝えようとしています。俳優として役の心を描き、アーティストとして色で心を表現する――その二つの活動は、実は一本の線でつながっているのです。
『news zero』で育まれた“言葉の力”と人間力
意外にも、板垣さんはニュース番組にも出演していました。『news zero』のキャスターとしてコメントを発する立場になった経験を、「今を生きる20代として、人間力がすごく培われた」と振り返っています。
ニュースを伝えるためには、短い時間で自分の考えを整理し、誤解なく伝える力が求められます。その経験は、俳優としての言葉選びや表現にも影響を与えたといいます。「コメントを発するまでの過程で考え方が鍛えられた」という言葉の通り、表面的な発言ではなく、背景を理解したうえで話す――その姿勢が、彼の真摯な人柄を象徴しています。
“とりあえずやってみる”――自由で柔軟な生き方
番組の最後に語った「とりあえず気になったらやってみる」という言葉。そこには、板垣さんらしい柔軟さと前向きさが込められています。何かを始めるとき、完璧を求めず、まずは挑戦してみる。そのスタンスこそが、彼のキャリアを豊かにしてきた原動力です。
俳優として、アーティストとして、そして一人の人間として。自分の感情や好奇心を信じ、どんな世界にも恐れず足を踏み入れる。その姿は、同世代だけでなく、多くの人に勇気を与えています。
まとめ
この記事のポイントは以下の3つです。
・板垣李光人さんは『ROOKIES』をきっかけに俳優を志し、大河ドラマ『花燃ゆ』でデビュー。
・『ばけばけ』では三之丞役を通して、静かな情熱と深い感受性を表現。
・個展『愛と渇きと。』や絵本『ボクのいろ』で、アートでも自分の世界を発信。
彼の歩みは、決して派手ではありません。しかし、どの瞬間にも確かな“想い”が息づいています。静かに燃える情熱を持ち、心の色で世界を描く――それが、板垣李光人という俳優の本質です。これから彼がどんな新しい色を見せてくれるのか、ますます目が離せません。
出典:NHK総合『午後LIVE ニュースーン』(2025年10月17日放送)
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