朝食市場が過去最高に!“モーニング”が社会を動かす理由と広がる背景
このページでは『午後LIVE ニュースーン(2025年12月4日)』の内容を分かりやすくまとめています。
2025年、朝の外食市場はかつてない盛り上がりを見せています。番組では、喫茶店にとどまらず、スーパーマーケットや大手家具店まで参入する“モーニング戦国時代”が描かれ、さらに岐阜県で進む『ぎふモーニングプロジェクト』が高齢者の健康と地域活性を支える姿が紹介されました。
朝食をめぐる動きが、単なる食の流行ではなく、社会の在り方そのものを変え始めていることが伝わってきます。
朝食市場が過去最高を記録した背景とは
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今、朝ごはんを外で食べる人が急増しています。外食業態の朝食市場規模は2024年に過去最高を記録し、『タイパ』『コスパ』を求める生活スタイルと重なって需要が拡大。
番組では、朝食の特徴として
● 調理の手間が少なく、飲食店側の負担が軽い
● 昼夜よりも供給が少なく、新規参入しやすい
● 朝の行動は習慣化しやすく、リピートされやすい
という分析が紹介されました。
外食産業の調査を行う東さやかさんは、「手軽さや価格設定のしやすさから、朝の時間帯は多くの業種が参入しやすい」と説明。
これが全国的な“モーニング拡大”の背景にあるのです。
スーパーの朝が変わった!久喜で生まれる“日常使いモーニング”
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番組で紹介された埼玉・久喜のスーパーマーケットでは、朝7時半からモーニングを提供しています。
このスーパーの自慢は、店内で焼き上げるパンと手づくり惣菜。
モーニングに使われるパンもすべて店内製造で、価格は300円台から。
中でも人気No.1は
『厚切りトースト(目玉焼きベーコン)サラダ・コーヒー付』460円。
正月休み以外はほぼ毎日提供され、地域の朝の定番になりつつあります。
店長の高田真也さんは
「地域のお客様に口コミで広げてもらい、生活の一部として利用してもらえれば」
と語り、日常に寄り添うモーニングを目指していることが伝わってきました。
この“スーパーで朝ごはん”という新しい形は、買い物前の軽食としても支持され、地域の生活に自然に溶け込んでいます。
三郷の大手家具店では“100円モーニング”のために朝から行列
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埼玉・三郷の大手家具店では、開店前の朝9時半にすでに長い行列ができていました。
理由は“破格のモーニング”。
● シナモンロール
● ハッシュドポテト
● 会員はドリンクバー無料
これが100円で楽しめるのです。
モーニングの時間帯は売り場オープンより30分早くレストランだけ開ける仕組みで、去年11月に提供をスタートしてから10か月で約40万人が利用。
その結果、午前中の家具や雑貨の購入客が増え、売り上げにも大きく貢献しました。
フード部門責任者の菊池武嗣さんは
「10年前の100円と今の100円は意味が違う。手ごろな価格がより多くのお客様の楽しみに繋がってほしい」
と話し、価格への強いこだわりを見せていました。
家具店とモーニングという意外な組み合わせが、新しい朝の選択肢として定着し始めている様子がよく伝わります。
岐阜県で始まった『ぎふモーニングプロジェクト』の目的と広がり
外食だけでなく、自治体までもがモーニングに注目しています。
岐阜県では2025年から『ぎふモーニングプロジェクト』がスタート。
岐阜県は人口1000人あたりの喫茶店数が全国1位。
この豊かな文化を活かし、健康づくりと地域交流を朝の時間に組み込む取り組みです。
番組で紹介されたポイントは次の通りです。
● 喫茶店へ“歩いて行く”ことが自然な運動になる
● モーニングを食べることで生活リズムが整う
● 店員や常連客と言葉を交わすことで社会参加が生まれる
さらに、岐阜県内の喫茶店には“営業中”を示す黄色いランプがあり、遠くからでも開店していることが伝わる独自の文化が根づいています。
50年以上続く喫茶店では、朝9時半で満席に近い賑わいがあり、モーニングは約500円。何度も訪れる人がいるため、店では“1日中モーニングタイム”を設定しています。
そして、約400店舗が参加する『ぎふモーニングスタンプラリー』では、スタンプを集めると抽選で最高5千円分の商品券が当たる仕組みが紹介されました。
「歩いて」「食べて」「笑って」喫茶店文化が高齢者の健康を支える仕組み
岐阜県健康福祉課の杉山未奈さんは、喫茶店文化が高齢者の健康に与える影響を次のように語りました。
“喫茶店に歩いて行く、朝食を食べる、自然と会話が生まれる。頑張らなくても健康になれる仕組みをつくりたい”
この言葉の通り、県は喫茶店を“気軽に立ち寄れる健康拠点”として活用。
番組で紹介された取り組みには、
● モーニング後の健康講座
● フレイル予防の筋力検査
● 健康アプリによる歩数・食事のポイント化
● 一定条件を満たすとドリンク1杯無料クーポン
など、日常の行動がそのまま健康とつながる仕組みが組み込まれています。
また、県は相談窓口も喫茶店に設置。
高齢者や地域住民が気軽に相談できるようになり、相談件数も増えたと紹介されていました。
喫茶店が“地域の入り口”になることで、孤立を防ぎ、社会参加のきっかけを生み出す役割を果たしているのです。
まとめ
朝食市場の拡大は、価格や効率だけでなく、人々の暮らし方や地域とのつながりを再構築する力を持っていました。
スーパーや家具店の工夫されたモーニングは、日常の中に新しい選択肢を生み出し、岐阜県の取り組みは喫茶店文化を通じて健康と地域活性を実現しています。
“歩いて・食べて・笑って”
その朝の積み重ねが、地域社会に確かな変化を起こしていることを感じさせる放送でした。
NHK【午後LIVE ニュースーン】秋の旅は「朝」と「夜」がおもしろい!おたるモーニングツアー×東京タワー朝茶の湯×瑞泉寺ナイトミュージアム|2025年10月30日
モーニング文化が強い地域の比較(岐阜・愛知・関西)について紹介します

ここからは、私からの提案です。岐阜・愛知・関西のモーニング文化には、それぞれの土地の歴史や暮らし方が表れていて、とても面白い違いがあります。どの地域も“朝の習慣”というシンプルな行動の中に、その土地ならではの工夫や背景がぎゅっと詰まっています。ここでは、東海地方を中心に広がったモーニング文化をさらに深く見ながら、関西との違いも紹介します。小さな違いが積み重なって、地域の特色としてしっかり形になっていることがわかります。食事としての朝ごはん以上に、生活に寄り添う文化としてどう育ってきたのかを見ていきます。
愛知県(一宮・名古屋など):発祥の地として根づいた文化の厚み
愛知県はモーニングの発祥地として知られ、特に一宮市がその中心です。一宮は昔から繊維業が盛んで、働く人たちの集まる場として喫茶店がよく使われていました。取引先との商談や朝の打ち合わせが喫茶店で行われることが多く、軽く食べられるサービスとしてモーニングが自然と生まれた歴史があります。こうした背景があるため、愛知ではモーニングが“地域の風景”としてすっかり根づいています。名古屋にも広がり、今ではドリンク代だけでトーストやゆで卵がつくサービスが当たり前というほど文化が定着しています。喫茶店の数も多く、トーストから小倉あんのメニューまで、幅広い選択肢が魅力になっています。地元の人だけでなく観光客も楽しめる食文化として確立され、いつ訪れてもその土地らしい温かさを感じることができます。
岐阜県:地域の日常に入り込み“続ける力”が強い土地
岐阜県は、喫茶代の支出額が全国トップクラスで、長年にわたって高い数字を記録しています。これは喫茶店に通う習慣が生活の一部として根づいている証拠でもあります。岐阜ならではの特徴として、1日中モーニングを提供する店が多いことが挙げられます。朝に限らず、昼や午後でもモーニングのようなセットを楽しめることが珍しくありません。トーストや卵だけでなく、おにぎりや味噌汁といった和の要素を取り入れたセットも多く、地域ごとの個性が光っています。また、喫茶店の廃業率が低く、地域にしっかり根を張って継続する文化があるのも岐阜の強さです。喫茶店が“集まる場所”として大切にされているため、モーニング文化も長く続き、豊かに発展しています。
関西:部分的に広がりつつも、東海とは違う姿で存在している
関西にも朝食メニューを提供するカフェやチェーン店は多いのですが、愛知や岐阜のように“喫茶店のモーニング文化”として地域に深くねざす形では広がっていません。関西では、飲食チェーンのサービスの一つとして朝食が提供されている場合が多く、地域文化として語られることは多くありません。喫茶店そのものが東海地方ほど生活に密着していないため、モーニングのスタイルも土地の広がり方に合わせてゆるやかに存在しています。とはいえ、関西には個性あるカフェが増えているため、これからの広がりに期待が持てる地域でもあります。土地ごとの魅力が育つ可能性は十分にあり、今後独自のスタイルが生まれる余地があります。
東海地方が強く、関西はゆるやかに広がる理由
愛知と岐阜では、歴史や仕事の場での使われ方がモーニング文化を支えています。さらに、ドリンク代だけでたっぷり食べられるコスパの良さが、多くの人に長く愛されてきました。一方の関西では、喫茶店が生活の中心にあるという状態が東海地方ほど強くはなく、文化の広がり方がゆっくりしています。だからこそ、東海地方と関西を比べると、モーニングが“地域文化としての厚みを持つ場所”と“サービスの一形態として存在する場所”という違いがはっきり見えてきます。どちらもその土地の暮らし方が表れた結果で、比べてみると地域の魅力をより深く知ることができます。
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