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NHK【時をかけるテレビ】屋久島“天空杉”と“中州杉”の正体!縄文杉を超える伝説の巨大杉を追う大捜索|2025年10月3日

時をかけるテレビ

巨大杉は本当に存在するの?屋久島伝説を追う冒険へようこそ

屋久島の『縄文杉』を聞いたことはありますか?樹齢2000年以上と言われるこの巨木は、世界中から人々を惹きつける存在です。でも実は「縄文杉を超える杉がある」という伝説があるのをご存じでしょうか。そんな話を聞くと、「本当にそんな木があるの?」「どうやって探すの?」と気になってきませんか。かつて私も同じ疑問を抱いていました。そして今回紹介する番組では、その伝説を科学と人の力で追いかけた記録が描かれています。この記事では、その全貌と屋久杉の不思議な魅力をまとめます。読み終えたときには、自然の奥深さと人間の探究心のすごさを感じられるはずです。

縄文杉を超える伝説の存在

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屋久島は世界自然遺産に登録されている特別な島で、年間を通じて雨が多く降り、豊かな水と湿潤な気候が独特の森を育んできました。その森には、樹齢1000年を超える杉が数多く存在し、これらは総称して屋久杉と呼ばれています。その代表格が縄文杉で、幹周16.4メートル、高さ25.3メートルに達し、推定樹齢は2000年以上。屋久島を象徴する巨木として、国内外から多くの人々が訪れる目的地になっています。

しかし、この縄文杉でさえも「最大の杉ではない」という伝承が古くから語られてきました。今から約100年前に行われた国の調査記録には、木こりたちからの聞き取りが残されており、その中には「縄文杉をも上回る大杉を見た」という証言が複数記録されています。具体的には、幹の太さが縄文杉を超えていたという話や、森の奥深くに人知れず存在していたと語られたものがありました。

さらに近年でも、実際に森を歩いた渡邉精一という人物が「縄文杉よりも大きい杉を目撃した」と証言しています。このように、単なる伝説や噂話ではなく、具体的な目撃談や記録が積み重なっていることから、「超巨大杉」の存在は現実味を帯びて語り継がれてきたのです。

この謎を解き明かそうと、2017年には本格的な大捜索プロジェクトが立ち上がりました。隊長にはベテラン山岳ガイドの小原比呂志が就き、特別な許可を得て島の奥地に入りました。捜索では最新技術も導入され、上空からレーザーで森林を解析する試みが初めて行われました。こうして科学的な調査と人々の探究心が合わさり、「縄文杉を超える木」の正体に迫る挑戦が始まったのです。

屋久島の巨木探しは、自然の神秘を解き明かすと同時に、古来から島に暮らす人々が伝えてきた文化や記憶を確かめる営みでもありました。

最新技術を駆使した巨木探し

調査には航空測量の専門家が新たに加わり、飛行機に搭載した最新鋭のレーザーを使って屋久島の森を上空からスキャンしました。このレーザー技術はもともと災害予測火山調査に使われるもので、地表のわずかな凹凸や樹木の形状まで正確に捉えることができます。それを巨木探しに応用するのは前例のない挑戦でした。

スキャンによって得られた膨大なデータから、まずは森に立つ木々を一本ずつ識別。すると最初に抽出された候補は12,000本にも上りました。そのままではとても探索しきれない数であり、ここからさらに絞り込みが必要となりました。解析班は航空写真地形データを突き合わせ、巨木が育ちにくい場所や樹種の違いを取り除いていきます。こうして候補は最終的に300本にまで絞られました。

まさに「干し草の山から太い干し草を探すような作業」。広大で深い屋久島の森を前に、人の目や足だけでは限界があります。最新の科学技術が導入されたことで、調査隊は初めて森全体を俯瞰し、効率的に巨木へと迫る突破口を手に入れたのです。

このようなレーザー測量技術はLIDAR(ライダー)と呼ばれ、近年では古代遺跡の発見や森林資源の把握にも活用されています。屋久島の巨木伝説の調査にも応用されたことで、伝説が科学の目で検証される新しい段階へと進んでいきました。

地上捜索で現れた巨木たち

実際に調査隊が屋久島の山奥へ足を踏み入れると、これまでの地図にも記録されていなかった巨木が次々と姿を現しました。道なき道を進んだ先に待っていたのは、幹周が9メートルを超える杉や、10メートル以上の太さを持つ大木。どの木も数百年から千年以上の時を生き抜いてきた証であり、その存在感に圧倒される場面が続きました。

中でも特に注目を集めたのが中州杉です。大きな岩や川に囲まれた中州に立っていたことからその名がつけられました。幹周は10.4メートル、高さは35メートルに達し、正式に計測された屋久島の杉の中では2番目の高さを誇ります。縄文杉には及ばないものの、迫力ある姿とその佇まいは、まさに「伝説の巨木」と呼ぶにふさわしい存在でした。

さらに探索を続ける中で、調査隊は秘境と呼べる天空谷にたどり着きました。そこにそびえていたのが天空杉です。幹周12.43メートル、高さは45メートルに及び、屋久島で最も高い杉として記録されました。その樹齢は2000年ほどと推定され、縄文杉と肩を並べるどころか、成長の仕方によってはそれを超える存在感を放っていました。

この天空杉と対面した瞬間、調査隊の興奮は言葉にならないほど大きなものでした。長年語り継がれてきた「縄文杉を超える巨木」の伝説が、まさに目の前で現実のものとなったからです。巨大な幹は天へとまっすぐに伸び、森を支える柱のようにそびえていました。屋久島の森に潜む神秘が、この発見によって一層鮮明になったのです。

屋久杉が長生きできる秘密

屋久杉の成長はきわめてゆっくりで、一般的な杉が1年に1センチほど太るのに対し、屋久杉はわずか1ミリに満たないこともあります。この遅い成長こそが特別な性質を生み出し、木の内部に油分を濃縮させることで、幹が腐りにくくなります。そのため数百年どころか、千年以上もの長い時間を生き抜くことができるのです。

また、屋久杉はしばしば巨大な岩の上に根を張ります。岩は土に比べて動きにくく、長い年月の中でも崩れにくい頑丈な土台となります。岩に根を張ることで、木自体も倒れにくくなり、荒々しい自然の試練に耐え抜く力を得てきました。

屋久島は日本でも有数の多雨地域で、「1か月に35日雨が降る」と表現されるほど雨が多い島です。強い雨が降れば、山の川は一気に濁流となり、木々に大きな負荷をかけます。冬には雪や霧氷が枝を重く覆い、折れてしまうこともあります。こうした厳しい環境にさらされながらも、屋久杉はゆっくりと確実に成長を続け、他の木々では到達できないほどの長寿と大きさを実現してきました。

その姿は、自然の厳しさと同時に、そこに耐えてきた強さを物語っています。

人と森の歴史

一方で、屋久島の森には人々の暮らしと深く結びついた長い歴史も刻まれています。今からおよそ400年前の江戸時代、島の人々は生活のために杉を伐り出し、その木材を年貢として納めていました。米の生産が難しい屋久島では、木材こそが大切な収入源であり、暮らしを支える糧でもあったのです。

その証として、森の奥深くには今もなお巨大な切り株が数多く残されています。苔むした切り株は、かつて伐採された屋久杉の大きさを物語り、森を歩く人々に当時の営みを静かに伝えています。切られた木は屋根材や船材として利用され、薩摩藩をはじめとする地域の経済を支える重要な資源となりました。

しかし、この伐採の歴史の中で、語り継がれてきた伝説の巨大杉も姿を消した可能性があります。もし残っていれば縄文杉をも超えていたかもしれない巨木が、すでに伐られてしまったのではないか――その想像は、森に残る切り株の存在と重なり、人と自然の関係の複雑さを浮かび上がらせます。

屋久島の森は、人間に利用されながらも再び息を吹き返し、今では世界自然遺産として守られています。その風景は、人の営みと自然の力が織りなしてきた両面の歴史を映し出しているのです。

捜索の果てと未来への継承

最終的に伝説として語られてきた天空杉の存在が確認されました。しかしその正確な場所は公表されることなく、非公開とされました。これは登山者の遭難や事故を避けるためであり、同時に貴重な自然を守るための重要な判断でもあります。人の興味を引く大発見でありながら、あえて場所を明かさないという決断は、自然保護と安全を優先した象徴的な出来事でした。

スタジオでは中越典子が「巨木は圧倒的な存在感で、私たちにエネルギーを与えてくれる」と語り、その魅力を熱く伝えました。巨木の前に立つと誰もが言葉を失い、ただその存在に圧倒される。その感覚を視聴者に想像させる言葉でもありました。

さらに、2025年には調査隊の隊長を務めた小原比呂志が屋久島で島民向けのツアーを開催しました。その場では、過去に行われてきた伐採の歴史や森を守るための取り組みについて自ら解説し、森の成り立ちと人間の関わりを丁寧に伝えました。このツアーには、近年屋久島に移住してきた若い自然ガイドたちも参加し、次の世代へと知識と体験が引き継がれていきました。

こうして天空杉の物語は単なる伝説に留まらず、人と森が共に歩んできた歴史の一部として語り継がれています。屋久島の巨木は、自然の神秘を示すだけでなく、未来へと受け継ぐべき貴重な文化的財産でもあるのです。

まとめ:屋久島が教えてくれること

この記事のポイントは以下の3つです。
・屋久島には『縄文杉』を超える伝説の杉が語り継がれてきた
・最新技術と人の探究心によって『天空杉』が発見された
・伐採と保護の歴史を背負いながら、森と人の関わりは今も続いている

屋久島の巨大杉は、単なる自然の産物ではなく、文化や暮らしと深く結びついた存在です。伝説を追うことは、自然と人間の歴史を読み解く旅でもあります。もし次に屋久島を訪れる機会があれば、目に見える木々だけでなく、その奥にある物語にも耳を傾けてみてください。


出典:
NHK公式「時をかけるテレビ 池上彰 大捜索ドキュメント 屋久島“伝説の超巨大杉”」
https://www.nhk.jp/


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