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NHK【未解決事件 File.06】国際トクリュウ事件の核心へ!AIなりすましテレビ電話とシアヌークビル詐欺拠点…背後に見える14Kの影|2025年11月15日

未解決事件

未解決事件「詐欺村 国際トクリュウ事件」から見える闇の実態と今知るべき危機

2025年に入り、特殊詐欺の手口はさらに進化し、東南アジアを舞台にした巨大ネットワークが急速に広がっています。今回の放送では、その裏側で何が起きているのか、誰が動かしているのかに迫り、視聴者が抱く「なぜ詐欺はなくならないのか」という疑問に対する具体的な答えが示されました。この記事では、番組で描かれた詐欺拠点の実態や、関係する組織の動き、そして日本で被害が拡大する理由を整理しながら、今知っておくべきポイントを深く掘り下げます。

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カンボジアで息子から突然の連絡…母親が感じた違和感の正体

物語は、60代の日本人母親の切実な声から始まりました。
ある日、離れて暮らす息子から突然「カンボジアにいる」と電話があり、母親は胸騒ぎを覚えました。理由を聞いてもはっきり答えず、どこか話を濁す様子。さらに追い打ちをかけたのが、SNSで拡散されていた かけ子が“ミスの罰”で暴行されている映像 でした。

拠点でノルマを達成できない若者が殴られたり、逃げ出そうとして拘束されたりする動画が投稿されており、母親は「もしかして息子があの場所にいるのでは……」と強烈な不安を抱いたといいます。

近年、日本人が東南アジアの詐欺拠点に誘い込まれるケースが急増。
カンボジアでは一度に 29人もの日本人が摘発・拘束 される事例まで起きていて、彼らは組織の“表に出る部分”に過ぎません。
番組は、この母親をきっかけに、詐欺村の実態へと踏み込んでいきました。

カンボジアで広がる“紹介ビジネス”と報酬3000〜4000ドルの現実

カンボジアでは、中国資本が流れ込み、巨大リゾート開発や賭博施設が増えた一方で、その裏に詐欺拠点が組み込まれたケースも多いと番組は伝えています。
政府は緊急対策として詐欺対策チームを立ち上げ、中国人・ベトナム人を中心に4300人以上を逮捕。それでも問題は収束していません。

取材班は日本人の多い プノンペン で調査を開始し、飲食店を営む日本人男性から証言を得ました。
その男性は“ある人物”から、日本人を詐欺組織に紹介するよう持ちかけられたといいます。送られてきたメールには、

・報酬は 3000〜4000ドル
・仕事内容は「かけ子」
・日本語話者を優先的に採用

と露骨な内容が記されていました。しかし危険性を察知した男性は取引を断り、その後も警戒を続けていると語りました。

さらに取材は進み、笵(ファン)という60代の中国人女性 に接触。
彼女は「日本人を募りたいが、今は人が足りない」と話し、取材班を“内部へ案内する”と持ちかけます。ここから番組は、詐欺村の核心へ迫っていきました。

潜入取材で見えた“詐欺工場”の内部構造と異常な日常

番組の最も衝撃的な場面が、詐欺拠点への潜入シーンでした。
カンボジアの海沿い都市 シアヌークビル にあるとされる拠点。外からは普通のオフィスビルに見えますが、中は完全に“詐欺工場”でした。

ベランダは外へ出られない構造 に改造され、逃走を防ぐための鉄格子がつけられています。
取材班を迎えたのは 趙(ちょう)という中国人男性。彼はほとんど隠す気もなく、以下のような実態を語りました。

・ターゲットは複数の国
・日本の高齢者は「資産が多くて騙しやすい」
・テレビ電話は AIで顔と声を変えて実施
・拠点内には共同生活スペース、食堂、監視カメラ
・外出は許可制
・ノルマ未達の女性は売春に回される

特にAIによる“なりすまし”テレビ電話は、特殊詐欺の新しい段階を示しており、今後さらに悪用される危険性があることを番組は強調していました。

趙は警察から逃れる方法についても話し、軍関係者に賂を払うことで摘発を免れていると明かしました。さらに「詐欺シナリオは台湾人が作っている」と語り、内部の分業化された構造が見えてきました。

しかし取材班がいくら踏み込んでも、拠点の“真の上層部”には手が届かず、政府も黒幕の特定には至っていません。

日本の被害額2000億円へ拡大…匿名型犯罪グループの台頭

番組後半では、東南アジアの動きと日本国内の詐欺状況が密接につながっていることが明らかになりました。

特殊詐欺の被害額は、昨年 約2000億円
減少傾向から一転し、再び急増しています。

背景には、
・役割を使い捨てる『匿名・流動型犯罪グループ』
・闇バイトを操る フィリピン在住の“指示役”
・暗号化された通信アプリ
などの存在があり、犯罪が“企業化”しているように見える側面があります。

警察が国内でどれだけ取り締まっても、指示役が海外にいるため、完全に根を断つことが難しい状況が続いています。

中国系マフィア『14K』とチャイニーズドラゴンが結びつく異例の構図

番組がさらに深掘りしたのが、中国系マフィア『14K』チャイニーズドラゴン(住吉会系準暴力団) の存在です。

山梨のホテルでは、14K構成員とチャイニーズドラゴン幹部が盃事を交わしたと伝えられ、
かつて敵対していた組織同士が“海外で確実に稼ぐため”に手を組む異例の流れが生まれています。

暴力団は国内の収入源(シノギ)が減少。
そこで、

・特殊詐欺
・薬物
・海外拠点の運営

などに活路を見出し、資金集めのために国境を越えた連携を広げています。

番組では、国連薬物犯罪事務所(UNODC) の報告書にも触れ、14Kが ミャンマーの工業団地に巨額投資 し、それを詐欺拠点化している事例も紹介。
さらに、専門家の ジェイソン・タワー氏 は、「中国の腐敗摘発によって非合法勢力が東南アジアへ流れ込んだ」と解説し、地域全体で広がる犯罪インフラの問題を挙げていました。

見えない首謀者を追うため、日本の警察も組織改正へ踏み切る

日本側も黙っているわけではありません。
番組では、警視庁が新しく情報分析・作戦立案を行う部署を作り、東南アジア各国と連携を強化し始めた様子も紹介されました。

・警察庁幹部が フィリピン・マレーシア を訪問
・8月には捜査協力会議を開催
・10月には カンボジア拠点で活動した中国人・日本人3人が逮捕

こうした動きが、巨大ネットワークの上層部に迫るためのカギになると期待されています。

家族の人生を飲み込む詐欺…母親が語った最後の言葉

番組の最後は、冒頭の60代の母親の話に戻りました。
息子はカンボジアへ行ったまま帰らず、母親は「とりあえず帰ってきて、ちゃんと真面目にしてほしい」と語りました。

その後、息子は親族に対し「詐欺に関与している」と告白していたことがわかり、家族が突然犯罪の渦に巻き込まれる現実が示されました。

犯罪の裏側には、“加害者”と“被害者”という単純な構図では片付けられない、人の苦しさ・弱さ・絶望が確かに存在していることを痛感させられる場面でした。

まとめ

今回の「詐欺村 国際トクリュウ事件」で浮かび上がったのは、
・東南アジア全体に広がる巨大詐欺拠点
・そこに関わる中国系マフィアや準暴力団
・AI技術を悪用した新手口
・匿名型犯罪グループの台頭
・被害額2000億円という異常事態

という、もはや“産業化した詐欺”とも呼べる構造でした。

そして何より大きいのは、犯罪の裏で人生を壊される人が確実に存在しているという事実です。
詐欺は遠い世界のことではなく、SNS・電話・メッセージを通じて私たちの日常のすぐそばにあります。
今回の番組は、国際犯罪の実態を知るために非常に重要な取材であり、社会全体で向き合うべき課題を強く突きつける内容でした。


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