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Eテレ【ハートネットTV】特集・逆境的小児期体験ACE(1)成人後も続く生きづらさ 拡張版ACEとPCEsの最新知見|ACEスクリーニング日本の課題|2025年11月24日

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逆境的な子ども時代が大人の生きづらさにつながる理由を知っておきたいあなたへ

子ども時代の逆境体験『ACE』は、暴言や暴力、家族の精神疾患、親との別離、ネグレクトなど、心に深い影響を残す出来事のことです。これらは目に見えないため、周囲に分かってもらえず、大人になってからの生きづらさとして表れることがあります。この記事では、ACEがどれほど広がっているのか、どんな形で影響が続くのか、そして今どんな課題があるのかを整理します。2025年の国内外研究でわかっている実態を知ることで、支援や理解の第一歩につながります。

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ACEはどれくらい身近にあるのか

日本の成人では、少なくともひとつ以上の逆境体験を持つ人が約3割いると報告されています。両親の死別や別離、家族の精神疾患、家庭内の暴力など、誰にでも起こり得る出来事が含まれています。
また、高齢者を対象にした調査では、子どもの頃にACEを経験した人は、地域とのつながりが弱くなりやすいこともわかっています。社会参加が難しくなったり、人との交流に不安を感じたりしやすい傾向がみられます。
さらに、最近は従来のACEに加えて、いじめや貧困、家庭機能の不全といった“拡張版ACE”も注目されています。これらが積み重なるほど、心理的な苦痛やストレスが強くなりやすいという結果が出ています。

ACEが大人になってからも続く理由

ACEは、心の健康や身体の健康、社会生活のすべてに深く関わります。
複数の研究で、ACEが多いほど『うつ』『不安』『PTSD』『アルコール・薬物依存』などのリスクが高まる“用量反応関係”が確認されています。スウェーデンの双子研究でも、同じ家庭環境や遺伝を考慮しても、ACEを持つ人は精神疾患のリスクが高いという結果が示されています。
身体面でも、心臓病や糖尿病、がん、慢性的な呼吸器疾患などとの関連があり、日本でもACEが4つ以上ある場合には、健康問題が大きく増えるという調査があります。
人との関係性にも影響します。ACEがあると地域活動に参加しにくく、孤立感が強くなる傾向があります。また、社会経済的な困難や生活環境の厳しさとも結びつきやすいことが示されています。

見えづらいからこそ支援が届きにくい

ACEは「過去の子ども時代」に起きたことのため、本人が自覚しないまま生きづらさを抱えているケースもあります。
また、ACEについて話そうとしても偏見を感じたり、家族から理解されなかったりして、ひとりで抱え込んでしまいがちです。
医療や福祉の現場でも、ACEを確認する仕組みがまだ十分に整っていない地域があります。成人してからようやく辛さが表れても、適切な支援につながりにくいという課題があります。

これから必要になる視点

ACEの影響を減らすためには、予防と早期支援が重要です。家庭内の支援、養育支援、親向けの教育プログラムなどが挙げられます。学校や地域、経済的な支援が含まれた「広い視点の取り組み」が求められています。
成人してから生きづらさが続く場合は、『トラウマに配慮した支援(Trauma-Informed Care)』が有効とされています。安全な大人とのつながりや、自己肯定感を育て直す“ポジティブな子ども期経験(PCEs)”も、健康を支える力として注目されています。
まだ国内では長期的な調査が不足しており、どの支援方法がもっとも効果的か、費用対効果に優れるかなどは今後の大きな課題です。
ACEを理解しやすくする啓発活動、地域の連携、医療・教育・福祉が協力する体制づくりも必要になります。

まとめ

子ども時代の逆境体験『ACE』は、大人になってからの心身の不調や生きづらさ、社会とのつながりの弱さにまで影響することが、2025年の研究でも裏付けられています。目に見えないからこそ気づかれず、孤立してしまう人も多い現状があります。予防・早期支援・成人期のケアの三つの視点で考えることで、より多くの人が助けにつながりやすくなります。


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