なぜ今、五箇山なのか?知らないと損する“結の里”の魅力
「世界遺産の集落って、何がそんなにすごいの?」と気になりませんか。
実は五箇山の魅力は、ただの観光地ではなく、人と人が支え合う「結」の暮らしにあります。合掌造りの家や、1000年もつといわれる和紙の技術も、このつながりがあってこそ守られてきました。
さらに雪解けの春は、その暮らしが一番リアルに見える季節です。
知らずに訪れるともったいない、五箇山の本当の価値をやさしくひもといていきます。
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五箇山の合掌造りと「結」の暮らし
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五箇山は富山県南砺市の山あいにあり、岐阜県の白川郷とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産に登録されている場所です。急こう配の大きな屋根は、雪の多い地域で暮らす知恵から生まれました。南砺市の文化財資料では、五箇山の合掌造り家屋は17世紀末ごろまでさかのぼるものがあるとされ、今も保存修理が続けられています。
この土地で大切にされてきたのが「結(ゆい)」です。これは、合掌造りの大きな茅葺き屋根をふき替えるときなどに、住民どうしが力を出し合う助け合いの仕組みを指します。南砺市では現在も、相倉集落や菅沼集落で茅葺き建物の屋根ふき替えや保存修理が進められていて、世界遺産は建物だけでなく、人のつながりによって守られていることがよくわかります。
雪解けの春に見える里の本当の姿
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冬の五箇山は深い雪に包まれる地域です。南砺平高校の案内でも、五箇山は山間部のため冬は積雪が多いと説明されており、この土地の暮らしが雪と切り離せないことが伝わってきます。だからこそ、雪解けの春はただ景色がきれいになる季節ではなく、長い冬を越えた暮らしがもう一度動き出す節目でもあります。
春の五箇山を見ていると、世界遺産という言葉だけでは伝わらない里の表情が見えてきます。観光地としての美しさの裏側には、屋根を守る人、雪に備える人、集落を維持する人たちの毎日の積み重ねがあります。南砺市は相倉集落の空き家維持管理や防災設備、保存計画にも取り組んでいて、五箇山は「昔のまま残っている場所」ではなく、今も人の手で支えられている生きた集落だと感じられます。
1000年もつ和紙の秘密とは
番組で訪ねる和紙工房の背景として注目したいのが、五箇山に受け継がれてきた五箇山和紙です。観光情報サイトでは、東中江和紙加工生産組合がつくる「悠久紙」は「1000年は持つ」といわれる和紙として紹介されています。材料には自家栽培のコウゾを100%使い、昔ながらの製法を守り続けている点が大きな特徴です。
この和紙の強さは、単に丈夫というだけではありません。原料づくりから紙すきまで手間を惜しまないこと、そして冬の風物詩として知られる雪ざらしのような自然を生かした工程が、五箇山和紙ならではの質を支えています。南砺市には和紙工芸研究館や体験館も整備されていて、和紙は土産物ではなく、地域の技と文化を次の世代へ渡す大切な柱になっています。
五箇山唯一の高校がつなぐ未来
五箇山で学びの拠点として大きな役割を持つのが南砺平高校です。学校公式サイトでは、少人数教育、生徒寮、給食、そして全国で活躍する部活動などが紹介されていて、地域に根ざしながら一人ひとりを伸ばす学校であることがわかります。人口の少ない山間地域で高校があること自体が、地域の未来を支える大きな意味を持っています。
とくに印象的なのは、南砺平高校が令和7年度から「地域みらい留学」に参画し、全国から生徒を募集している点です。公式案内でも「五箇山から世界へ、そして未来へ」という言葉が掲げられていて、五箇山で学ぶ価値を地域の外へも広げようとしています。県外から生徒が集まる学校になっているという事実は、五箇山が伝統を守るだけの場所ではなく、新しい出会いを生み出す場でもあることを教えてくれます。
世界遺産に息づく人と人のつながり
五箇山の魅力は、合掌造りそのものの美しさだけでは語りきれません。本当に心に残るのは、建物の中に今も人の暮らしがあり、そこに助け合いの文化が息づいていることです。屋根のふき替え、集落の維持、学校の存続、和紙づくりの継承。こうした一つ一つに共通しているのは、「一人では守れないものを、みんなで守る」という五箇山らしい考え方です。
だからこの旅は、世界遺産の景色を眺めるだけの旅ではありません。五箇山では、古い家や伝統技術が残っているのではなく、それを必要だと思う人たちが今も暮らしの中で守り続けています。雪解けの春にその姿を見ると、五箇山の本当の価値は「昔のものが残っていること」ではなく、人と人のつながりが今も生きていることなのだと、しみじみ感じられます。
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