玉川大学はなぜ“世界初”が生まれるのか
玉川大学は、ソーラーカー研究や伝統の第九合唱、体操やチアまで、分野をこえて挑戦が生まれることで注目されています。
ただすごい成果があるだけでなく、なぜ次々と新しい挑戦が生まれるのかという点に、多くの人が興味を持っています。
『どえらい大学。世界初・日本初の挑戦がいっぱい!玉川大学を大調査!(2026年4月18日放送)』でも取り上げられ注目されています。
この記事では、その理由や背景をやさしく解説します。
この記事でわかること
・玉川大学で世界初の研究が生まれる理由
・ソーラーカーやミツバチ研究の本当の意味
・第九合唱や体操が教育に与える影響
・チアダンスの強さを支える独自トレーニングの正体
・他の大学との違いと学びの特徴
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玉川大学の世界初ハイブリッドソーラーカー研究とは
玉川大学のソーラーカー研究が特別なのは、ただ太陽光で走る車を作っているからではありません。玉川では、太陽電池だけに頼るのではなく、別のエネルギーをどう組み合わせるかまで考えてきました。2003年には、太陽電池と水素燃料電池を組み合わせたハイブリッド・ソーラーカーを試作し、世界で初めてオーストラリア大陸約4,000kmの走破に成功しています。さらに2016年からは、マグネシウム空気電池を使った新しい研究を進め、太陽電池と組み合わせた仕組みで改良を続けています。
ここが大事なのは、「速い車を作る」ことだけが目的ではないところです。マグネシウム空気電池は、災害時の非常電源としても使われているしくみで、玉川大学ではそれを車にのせ、走る技術と備える技術をひとつにつなげようとしています。実験車両では550km走行の成功も示されていて、環境へのやさしさだけでなく、資源循環や非常時の電力確保という社会的な意味まで見えてきます。
ふつう、大学の研究は論文や実験室の中だけで見えにくいことが多いです。でもソーラーカーは、走る姿そのものが結果になるので、子どもにも分かりやすいのが強みです。しかも玉川大学の研究は、エネルギー問題を「むずかしい話」で終わらせず、実際に動く形で見せるところに価値があります。だから注目されやすいのです。
この研究を深く見ると、玉川大学の特徴もよく分かります。玉川はもともと、教え込むよりも自ら学び取る力を重んじてきました。ソーラーカーのような総合研究は、機械、電気、化学、環境の知識がつながらないと前に進みません。つまり、この研究が成り立つこと自体が、分野をまたいで挑戦できる教育の証明にもなっているのです。
なぜ玉川大学は“初”にこだわるのか教育方針の秘密
玉川大学に「世界初」や「日本初」が多いのは、たまたま先生が優秀だから、だけでは説明しきれません。土台にあるのは、創立以来大切にしてきた全人教育です。これは、勉強だけではなく、道徳、芸術、健康、生活までふくめて人を育てようという考え方で、真・善・美・聖・健・富という6つの価値を調和させることを理想にしています。
さらに玉川では、個性尊重、自学自律、自然の尊重、労作教育など12の教育信条を掲げています。ここでいう自学自律は、「言われたことを覚える」よりも「自分で問いを立てて、自分で掴む」学び方を大事にすることです。研究でも、音楽でも、体育でも、ただ上手にこなすより、自分から動く人を育てようとしているのが特徴です。
だから玉川大学の“初”は、奇抜さを競うためのものではありません。
むしろ、
・まだ答えがないものに向かう
・分野をまたいで考える
・知識だけでなく体験で身につける
・仲間と一緒に形にする
という学び方の結果として生まれています。
ここが、よくある「研究がすごい大学紹介」と違うところです。玉川大学では、研究室だけが特別なのではなく、歌や体操やクラブ活動までふくめて、人を丸ごと育てる仕組みがあるから、いろいろな場所から“初”が出てきます。つまり注目すべきなのは結果より先に、挑戦が育つ環境なのです。
ラジオ体操のルーツになった伝説の体操とは
玉川大学を語るときに意外と見落とされやすいのが、デンマーク体操です。これはデンマークのニルス・ブックが確立した体操で、呼吸に合わせたリズミカルな動きが特徴です。玉川学園は1931年にこの体操と深く結びつき、東洋分校として承認されるほど強い関係を持ちました。
そして重要なのが、このデンマーク体操が日本各地に広まり、ラジオ体操第二にも原型の一部が取り入れられたとされていることです。つまり玉川の体操文化は、学内だけの珍しい伝統ではなく、日本人の毎日の運動習慣にもつながる大きな流れの中にあります。
なぜこれが今も注目されるのかというと、体操を「運動」だけで終わらせていないからです。デンマーク体操は、筋力だけでなく、柔軟性や機敏さ、そして集団で動く感覚まで育てる考え方を持っています。玉川では昔から、体を鍛えることと人間づくりを切り離していませんでした。だからこそ、伝説の体操として今見ても新鮮に感じられるのです。
今の学校教育では、知識のテストに目が向きやすいですが、昔から玉川は体を通して学ぶことも重視してきました。ここには「頭がいいだけでは足りない」「体と心がそろってこそ本当の学びになる」という考えがあります。ラジオ体操とのつながりを知ると、玉川の伝統はただ古いだけでなく、日本の暮らしの中に残った文化だったことが見えてきます。
第九合唱が受け継がれる理由と大学文化の強さ
玉川大学では、第九が特別な意味を持っています。大学音楽祭では、大学1年生がベートーヴェンの『第九』終楽章を歌う伝統が受け継がれており、玉川の教育を語るうえで欠かせない行事のひとつです。1959年には第九を演奏するための有志によって大学オーケストラが始まり、1962年には教員、学生、生徒、卒業生が関わる形で大規模な演奏も行われました。
なぜ大学で第九なのか。
それは、歌のうまさだけを競うためではありません。玉川では音楽も全人教育の一部で、学部も考え方も違う学生が、ひとつの大きな作品を一緒につくる経験そのものに意味があります。実際に、第九を通してドイツ語を覚えたり、仲間との一体感や達成感を強く感じたりしたことが語られています。
ここで見えてくるのは、玉川大学が「伝統を残す学校」ではなく、伝統を教育の道具として使っている学校だということです。伝統行事というと、ただ昔から続いているだけに見えがちです。でも第九は、大人数で声を合わせるからこそ、責任感、協調性、表現力、集中力が全部必要になります。しかも大学1年生の時点でそれを経験することで、「この大学で何を大事にするのか」を体で知ることができます。
研究やスポーツが目立つ中で、第九がずっと残っているのはとても大切です。なぜなら、玉川大学の“すごさ”は理系の実績だけではなく、理性と感性をいっしょに育てるところにあるからです。ソーラーカーと第九が同じ大学にあるのは不思議に見えて、実は玉川らしさそのものなのです。
チアダンス最強チームの独自練習ダンゴムシとは何か
玉川大学のチアダンスチームJULIASは、国内だけでなく世界大会でも結果を出してきた強豪です。2024年の世界大会では金メダルと銀メダルを獲得し、2025年にも日本代表選手が世界第2位、2026年も世界選手権への出場が決まっています。つまり、話題づくりのために“世界レベル”と言っているのではなく、実績のあるチームです。
番組で紹介される「ダンゴムシ」という練習法は名前だけ聞くと面白く感じますが、意味はかなり真面目です。チアダンスでは、笑顔で華やかに踊っていても、実際には体幹、姿勢の安定、タイミングの一致がとても大切です。名前がユニークな練習法は、覚えやすく、共有しやすく、きついトレーニングでもチームで続けやすいという良さがあります。世界で勝つチームほど、こうした地味な土台づくりを繰り返しています。
JULIASは週5日活動し、筋トレやバレエなど基礎練習にも力を入れていることが紹介されています。ここから分かるのは、チアの強さはセンスだけで決まらないということです。派手な本番の裏には、基礎を細かく積み上げる文化があります。ダンゴムシという言葉は笑えるかもしれませんが、その中身は「美しさを支える地味な努力」の象徴だと考えると分かりやすいです。
玉川大学らしいのは、こうした体育会活動も、単なる勝敗だけで終わっていない点です。表現力、チームワーク、自分を越える意識まで重ねて育てているので、チアダンスもまた人間教育の場になっています。研究、体操、合唱、チアが全部ちがうように見えて、実はどれも「自分を育て、仲間と高める」という同じ方向を向いています。
ミツバチ研究とかえるの合唱が意味する学びの広さ
玉川大学の魅力は、最先端の車づくりだけではありません。ミツバチ研究の歴史もとても深く、1950年から農学部で研究が続けられ、1979年にはミツバチを総合的に扱う研究機関が設置されました。しかもこれは、戦後の食料不足の時代に、害虫ではなく益虫としてのミツバチに注目し、花粉媒介による増産を見すえて始まった流れでした。
これはかなり大きなポイントです。ミツバチ研究は「はちみつの勉強」ではなく、農業、生態系、食べものの生産、社会性昆虫の行動まで関わる広いテーマです。目立ちにくい研究ですが、実は私たちの食卓や自然環境に近いところにあります。玉川大学がこうした分野を長く続けてきたのは、流行だけを追うのではなく、暮らしと社会につながる学問を育ててきたからだといえます。
もうひとつ面白いのが、かえるの合唱です。多くの人が子どものころに歌ったこの輪唱曲は、玉川学園で広く知られるようになった歌のひとつで、スイスの教育者から伝わった歌に日本語の歌詞がつけられたことがきっかけでした。つまり、玉川は研究だけでなく、日本の歌の文化にも影響を残しているのです。
ここが玉川大学を深く理解するうえでいちばん大事かもしれません。
ミツバチのような自然科学と、かえるの合唱のような音楽文化が同じ場所にある。これは「何でも手を出している」という意味ではなく、自然も文化も人間の成長に必要なものとして同じ重さで見ているということです。だから玉川大学は、理系が強い、芸術に強い、体育が強い、で終わりません。学びの幅そのものが広い大学として注目されるのです。
そして、この広さがあるからこそ、ひとつの分野だけに閉じない発想が生まれます。エネルギー研究の挑戦、体を通した教育、歌の伝統、世界をめざすチア、社会性昆虫の研究。いっけん遠く離れたものが、玉川大学ではひとりの人を育てる学びとしてつながっています。そこに、この大学が長く人を引きつける理由があります。
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