不登校の子に合う高校はどこか
不登校の子に合う高校を考えるとき、大切なのは「普通の学校に戻れるか」だけではありません。定時制高校、通信制高校、学び直しの場、地域の居場所など、その子が安心して前へ進める選択肢は一つではありません。『NNNドキュメント’26「俺、教師やめるわ!教育を嫌い 教育を愛する人へ」(2026年6月8日)』でも取り上げられ注目されています 。
この記事でわかること
・不登校の子に合う高校の選び方
・定時制高校と通信制高校の違い
・高校中退後の学び直しと居場所
・閉校で地域の受け皿がどう変わるのか
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不登校の子に合う高校はどこか
不登校の子に合う高校を考えるとき、大切なのは「普通の高校に戻れるか」だけではありません。学校に行けなかった時間がある子にとって、本当に必要なのは、毎日きちんと通えるかどうかよりも、まず安心して学び直せる場所があるかどうかです。
不登校になる理由は一つではありません。友達関係、先生との相性、集団生活のしんどさ、朝起きるつらさ、校則への違和感、教室に入る不安、勉強の遅れなど、いろいろな事情が重なっていることがあります。
だからこそ、高校選びでは「全日制に戻ること」だけをゴールにしないほうがいいです。
その子に合う高校は、次のような視点で見ると見つけやすくなります。
・毎日通う必要があるのか
・朝から通うのか、昼や夜からでもよいのか
・少人数で学べるのか
・先生に相談しやすいのか
・不登校経験を理解してくれるのか
・自分のペースで単位を取れるのか
・進学や就職まで支えてくれるのか
岡山県の**倉敷市立玉島高校“いちたま”**は、定時制高校として、不登校やさまざまな背景を抱えた生徒の受け皿になってきた学校です。生徒数の減少により2025年3月で閉校したことが報じられ、77年の歴史に幕を下ろした学校としても知られています。
この“いちたま”の存在が考えさせるのは、学校に行けなかった子にとって、高校はただ勉強する場所ではないということです。
そこは、もう一度人とつながる場所であり、「自分もここにいていい」と思える場所でもあります。
不登校の子に合う高校は、偏差値や知名度だけでは決まりません。
定時制高校、通信制高校、単位制高校、サポート校、高卒認定から進学を目指す道など、選択肢はいくつもあります。
大切なのは、その子を無理に「普通」に戻すことではありません。
その子が自分のペースで前に進める環境を見つけることです。
『NNNドキュメント’26「俺、教師やめるわ!教育を嫌い 教育を愛する人へ」(2026年6月8日)』でも取り上げられ注目されています。
定時制高校と通信制高校の違い
不登校の子の進路でよく比較されるのが、定時制高校と通信制高校です。
どちらも高校卒業を目指せる学校ですが、学び方はかなり違います。
定時制高校は、決まった時間に学校へ通い、教室で授業を受ける形が中心です。夜間に授業を行う学校もあれば、昼間や午後に通える学校もあります。
一方、通信制高校は、レポート、スクーリング、試験などを組み合わせて、自分のペースで学ぶ形です。通信制高校は、添削指導や面接指導、動画などを使って学ぶ仕組みが基本になっています。
わかりやすく言うと、定時制高校は「学校に通いながら少しずつ学ぶ場所」、通信制高校は「自分のペースで学びながら必要なときに登校する場所」です。
| 比べるポイント | 定時制高校 | 通信制高校 |
|---|---|---|
| 登校の多さ | 比較的多い | 少なめから多めまで幅広い |
| 学び方 | 教室での授業が中心 | レポート・動画・スクーリング中心 |
| 生活リズム | 学校の時間に合わせやすい | 自分で管理する力が必要 |
| 人との関わり | 先生や同級生と会いやすい | 学校によって差がある |
| 向いている子 | 人とのつながりを少しずつ作りたい子 | 自分のペースで学びたい子 |
| 注意点 | 通学や集団生活が負担になることもある | 孤立しやすい場合がある |
通信制高校は、通学への不安が強い子や、体調に波がある子にとって大きな選択肢になります。
家で学べる時間が多いため、教室に入ることがつらい子には合いやすい面があります。
ただし、自由度が高いぶん、自分で計画を立てることが必要になります。
誰にも会わない日が続くと、気持ちが沈んだり、学習が止まったりすることもあります。
一方、定時制高校は、先生や同級生と顔を合わせながら学べるのが大きな特徴です。
特に夜間定時制は、朝から通うことが難しい子や、昼間の学校に苦手意識がある子にとって、別の入口になってきました。
倉敷市立玉島高校“いちたま”のような定時制高校は、ただ授業をするだけでなく、生徒の事情を受け止めながら関わる場所でもありました。
そこに通うことで、少しずつ生活リズムを作り、人と話し、卒業後の道を考えられるようになる子もいます。
定時制と通信制は、どちらが正解という話ではありません。
大切なのは、その子が孤立せず、続けられる学び方を選ぶことです。
学校に行けなかった子の学び直し
学校に行けなかった期間があると、「勉強が遅れているから無理かもしれない」と感じる子もいます。
親も、「今から高校に行けるのだろうか」「中学校の内容が抜けていて大丈夫だろうか」と不安になることがあります。
でも、学び直しは何歳からでもできます。
学び直しで大切なのは、いきなり長時間勉強することではありません。
まずは、「わからない」と言っても大丈夫な場所を見つけることです。
不登校を経験した子は、勉強そのものが嫌いになったというより、教室で比べられること、できないことを責められること、遅れを見られることがつらくなっている場合があります。
だから、学び直しには順番があります。
・安心できる場所を見つける
・生活リズムを少しずつ整える
・短い時間から学ぶ
・中学校内容に戻ってもよいと考える
・できたことを積み重ねる
・先生や支援者に相談する
・卒業後の進路を急ぎすぎない
倉敷市立玉島高校“いちたま”のような定時制高校が担ってきた役割は、まさにこの「学び直し」の入口です。
生徒に対して「なぜできないのか」と責めるのではなく、「ここからどう始めるか」を一緒に考える場所だったからです。
学び直しは、教科書だけの話ではありません。
時間通りに学校へ行く。
先生にあいさつする。
友達と少し話す。
提出物を出す。
アルバイトをしてみる。
将来のことを相談する。
こうした小さな経験も、学校に行けなかった子にとっては大きな一歩です。
不登校の子に必要なのは、「遅れを取り戻しなさい」という圧力ではありません。
必要なのは、もう一度やってみてもいいと思える安心感です。
学び直しは、過去をなかったことにするためのものではありません。
学校に行けなかった時間も含めて、自分のペースで未来を作り直すためのものです。
高校中退後の居場所
高校中退は、本人にとって大きな出来事です。
でも、中退したから人生が終わるわけではありません。
本当に心配なのは、中退そのものよりも、そのあとに相談できる人や通える場所がなくなり、ひとりで抱え込んでしまうことです。
高校を辞めたあと、次のような不安が出やすくなります。
・これからどうすればいいかわからない
・親に申し訳ない
・友達と比べて苦しくなる
・働く自信がない
・勉強を再開する気力が出ない
・昼夜逆転してしまう
・人に会うのが怖くなる
こうしたときに必要なのは、いきなり「働きなさい」「次の学校を決めなさい」と急がせることではありません。
まず必要なのは、安心して戻れる居場所です。
高校中退後の居場所には、いくつかの形があります。
・地域若者サポートステーション
・フリースクール
・学習支援の場
・若者支援団体
・通信制高校や定時制高校への再入学
・高卒認定試験の学習支援
・アルバイトや就労体験の場
地域若者サポートステーションでは、高校を中退した人や進路が決まらない若者への支援も行われています。相談や自立支援を通して、社会へつながるための支援を受けられる仕組みがあります。
倉敷市立玉島高校“いちたま”が大切だったのは、学校の中にこうした居場所の役割があったからです。
ただ単位を取る場所ではなく、悩みを抱えた生徒が先生や仲間とつながれる場所でした。
高校中退後の子は、表面上は何もしていないように見えても、心の中では強い不安を抱えていることがあります。
「また失敗したらどうしよう」「自分だけ遅れている」「何から始めればいいかわからない」と感じていることもあります。
だからこそ、居場所には勉強だけでなく、雑談できる時間、相談できる人、何もしなくてもいられる空気が必要です。
進学でも就職でも、最初の一歩に必要なのは気合いではありません。
孤立しないことです。
管理教育が合わない子の進路
管理教育とは、校則、服装、髪型、時間、態度、集団行動などを細かく決め、みんなを同じ形にそろえようとする教育のことです。
もちろん、学校には安全や集団生活のためのルールが必要です。
ただ、そのルールが強すぎると、合わない子にとっては学校そのものが息苦しい場所になります。
管理教育が合わない子は、わがままな子とは限りません。
たとえば、次のような子がいます。
・大きな音や人混みが苦手な子
・納得できないルールに強いストレスを感じる子
・一斉授業より自分のペースで学びたい子
・人の目を気にしすぎて疲れてしまう子
・朝の登校が体調的に難しい子
・強く注意されると固まってしまう子
・制服や髪型の制限が苦痛になる子
こうした子に「みんなと同じようにしなさい」と言い続けると、学校に行くこと自体が怖くなってしまうことがあります。
倉敷市立玉島高校“いちたま”にいた夜間部の教師が注目されたのは、型にはめる教育に疑問を持ち、生徒一人ひとりと向き合おうとしていたからです。
これは、単に優しい先生の話ではありません。学校に合わなかった子にとって、自分を決めつけずに見てくれる大人がどれだけ大切かを示しています。
管理教育が合わない子の進路では、「自由なら何でもいい」と考えるのも少し危険です。
自由すぎる環境では、生活リズムや学習計画が崩れやすい子もいます。
反対に、ルールが強すぎる学校では、また通えなくなることがあります。
大切なのは、自由すぎず、縛りすぎない環境です。
学校選びでは、次の点を見ておくと安心です。
・校則が本人に合うか
・先生が話を聞いてくれるか
・不登校経験への理解があるか
・少人数で学べるか
・登校日数を調整できるか
・制服や髪型のルールが負担にならないか
・進路相談がていねいか
・見学したときの空気が安心できるか
管理教育が合わないことは、社会に合わないという意味ではありません。
学校では力を出せなかった子が、別の環境では大きく伸びることもあります。
進路選びで大切なのは、「我慢できる学校」を探すことではありません。
自分を壊さずに成長できる場所を探すことです。
夜間定時制高校の役割
夜間定時制高校は、かつては働きながら学ぶ若者のための学校というイメージが強くありました。
昼間は仕事をして、夜に学校へ通う。そうした学びの場として、多くの人を支えてきました。
しかし今は、その役割が広がっています。
働く若者だけでなく、不登校を経験した子、昼間の学校になじめなかった子、家庭の事情を抱える子、人間関係に傷ついた子、もう一度学びたい大人など、さまざまな人が学ぶ場所になっています。
夜間定時制高校の大きな意味は、昼間の学校だけが高校ではないと示してくれることです。
朝から夕方までの学校が合わない子にとって、夜に通える学校は大きな救いになります。
朝起きることが難しい子でも、夕方からなら動ける場合があります。
昼間の人混みが苦手な子でも、夜の落ち着いた時間なら通いやすいことがあります。
倉敷市立玉島高校“いちたま”の定時制は、まさにそうした生徒たちの受け皿になってきました。
不登校をはじめ、さまざまな事情を抱えた生徒が通い、先生と関わりながら、自分の道を探してきた場所です。
夜間定時制高校の役割は、授業だけではありません。
・生活リズムを作る
・人と会う練習をする
・先生と信頼関係を作る
・小さな成功体験を積む
・高校卒業資格を目指す
・進学や就職につなげる
・孤立を防ぐ
特に大きいのは、先生と生徒の距離です。
定時制高校では、生徒一人ひとりの事情を見ながら関わる場面が多くあります。
学力だけでなく、生活、家庭、人間関係、心の状態まで含めて支えることが必要になるからです。
もちろん、すべての夜間定時制高校が同じではありません。
学校によって雰囲気や支援体制は違います。
それでも、夜間定時制高校は、昼間の学校になじめなかった子にとって、もうひとつの入口になってきました。
だからこそ、閉校や統合が進むときには、「生徒数が少ないから仕方ない」だけでは片づけられません。
その学校が、誰かにとって最後の受け皿だったかもしれないからです。
閉校で地域の受け皿はどうなるのか

(出典:倉敷市立玉島高校講演ライブ 10/3 | JERRYBEANS Art & Blog)
学校の閉校は、建物がなくなるだけではありません。
そこにあった人とのつながりや相談できる場所も失われる可能性があります。
特に定時制高校の閉校は、不登校経験のある子や、昼間の学校に合わない子にとって大きな問題です。
倉敷市立玉島高校“いちたま”は、生徒数の減少により閉校しました。さらに倉敷市では、市立精思高校と旧玉島高校を統合する新しい学校として、令和9年4月開校予定の「倉敷市立霞丘高等学校」の校名が決定しています。
新しい学校ができることには意味があります。
ただし、そこで考えたいのは、単に校名や校舎が変わることではありません。
大切なのは、これまで“いちたま”が担ってきたような、学校に行けなかった子の受け皿が地域に残るのかどうかです。
「通信制高校があるから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。
たしかに通信制高校は、不登校の子にとって大切な選択肢です。
でも、通信制高校だけですべての子を支えられるわけではありません。
家でひとりで学べる子もいます。
一方で、誰かに会わないと学習が続かない子もいます。
毎日通うのは難しくても、決まった時間に学校へ行くことで生活が整う子もいます。
先生に声をかけてもらうことで、ようやく教室に入れる子もいます。
地域から定時制高校が減ると、そうした子の選択肢が狭くなります。
特に地方では、学校が遠くなるだけで進学をあきらめる理由になります。
電車やバスの本数が少ない地域では、「通える学校があるかどうか」が進路の幅に直結します。
閉校で考えるべきなのは、「学校の数」だけではありません。
・不登校の子が通える距離に学校があるか
・夜間に学べる場が残っているか
・先生と対面で関われる場があるか
・高校中退後に戻れる場所があるか
・家庭以外の相談先が地域にあるか
・通信制だけでは孤立する子をどう支えるか
ここがとても重要です。
定時制高校がなくなるなら、そのあとに何を残すのか。
相談できる場所はあるのか。
学習支援はあるのか。
地域の若者支援とつながれるのか。
高校中退後の子を受け止める仕組みはあるのか。
地域の受け皿とは、建物のことだけではありません。
それは、失敗しても戻れる場所です。
学校に合わなかった子を、社会からこぼれ落とさない仕組みです。
倉敷市立玉島高校“いちたま”の閉校が重く感じられるのは、そこに通っていた生徒たちにとって、学校が単なる学習場所ではなかったからです。
先生と話せる場所であり、悩みを抱えながらも通える場所であり、もう一度自分の道を考えられる場所でした。
不登校の子に必要なのは、特別扱いではありません。
それぞれの速度で学べる道です。
定時制高校、通信制高校、学び直しの場、若者支援、地域の居場所。
これらがつながっている地域ほど、子どもは「まだ大丈夫」と思いやすくなります。
学校に行けなかった時間は、無駄な時間ではありません。
その子が苦しみながら、自分に合う場所を探していた時間です。
だから進路選びで大切なのは、「どこなら普通に戻れるか」ではありません。
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