50代から始めたい「舌トレ」が健康寿命を変える
食べるときにむせる、言葉が出にくい、食事の量が減った――そんな変化は、実は口の衰えのサインかもしれません。特に近年は、健康寿命との関係から「舌の筋力」が注目されています。
『あしたが変わるトリセツショー 毎日続けて!トリセツ舌トレ3分完全版(2026年5月19日放送)』でも取り上げられ注目されています 。
毎日3分ほどの舌トレは、飲み込む力や話す力を支えるだけでなく、低栄養や筋力低下の予防にもつながると期待されています。この記事では、なぜ舌が大切なのか、続けると何が変わるのかをわかりやすく紹介します。
この記事でわかること
・舌トレが健康寿命と関係する理由
・50代から進みやすい口の衰えのサイン
・低栄養や筋力低下につながる背景
・毎日続けやすい舌トレ習慣のポイント
オーラルフレイルとは?チェック方法と50代からのリスク、舌トレやり方と舌圧30kPaの基準
舌トレ3分完全版とは?毎日続けたい理由
舌トレ3分完全版とは、口の中で大きな役割を持つ舌の筋肉を動かし、食べる力・飲み込む力・話す力を保つための短時間トレーニングです。
「あしたが変わるトリセツショー 毎日続けて!トリセツ舌トレ3分完全版」でも取り上げられたように、ポイントは長く頑張ることではなく、1回3分を毎日の習慣にすることです。口の機能は、足腰の筋肉と同じように、使わないと少しずつ弱くなります。
舌は、食べ物を口の中で動かしたり、飲み込みやすい形にまとめたり、のどへ送り込んだりする大切な筋肉です。さらに、話すときの発音にも深く関わっています。つまり舌が弱ると、「食べにくい」「むせやすい」「話しにくい」という変化が出やすくなります。
舌トレが注目される理由は、特別な道具がなくても始めやすいことです。椅子に座ったままでもでき、運動が苦手な人でも取り入れやすいのが大きな魅力です。番組で紹介された内容では、アーウー体操・イー体操・舌ストレッチという3つの動きを組み合わせ、できる範囲で朝・昼・晩に行う形が示されています。
ただし、舌トレは「1日だけやればすぐ変わる魔法」ではありません。大切なのは、歯みがきや顔を洗うのと同じように、毎日の流れに入れることです。口の筋肉は小さな筋肉ですが、続けることで「食べる」「話す」「飲み込む」という生活の土台を支えてくれます。
特に50代以降は、体力の衰えよりも先に、口の小さな変化が出ることがあります。最近むせやすい、滑舌が悪くなった、硬いものを避けるようになった、食事に時間がかかるようになった。こうした変化は、年のせいだけで片づけず、口の衰えのサインとして見ておくことが大切です。
口の衰えが50代から進むと何が起きるのか
口の衰えは、急に大きな問題として現れるわけではありません。最初はとても小さな違和感から始まります。
たとえば、次のような変化です。
・水やお茶でむせることが増えた
・食べ物をこぼしやすくなった
・会話中に言葉がはっきり出にくい
・硬い肉や野菜を避けるようになった
・食事の量が少しずつ減ってきた
・口の中が乾きやすい
・人と話すのがおっくうになった
こうした状態は、オーラルフレイルと呼ばれる口の機能の衰えにつながります。オーラルフレイルは、単なる口の老化だけではなく、食事量、栄養、体力、気持ち、人との関わりまで影響する考え方として注目されています。
たとえば、噛みにくくなると、自然とやわらかい食べ物を選ぶようになります。やわらかい食事ばかりになると、肉や魚、野菜などを食べる量が減りやすくなります。すると、たんぱく質不足や低栄養につながり、筋肉も落ちやすくなります。
筋肉が落ちると、外に出るのが面倒になります。外出が減ると、人と話す機会も減ります。話す機会が減ると、口や舌を動かす回数も減ります。すると、さらに口の機能が弱くなるという悪い流れが生まれます。
つまり、口の衰えは「食べにくいだけ」の問題ではありません。
食べる力が落ちる
栄養が足りなくなる
筋力が落ちる
外出が減る
会話が減る
気分が沈みやすくなる
生活全体の元気が落ちる
このようにつながっていく可能性があります。
特に見逃しやすいのが、むせと滑舌の悪化です。むせは、食べ物や飲み物をうまく飲み込めていないサインになることがあります。滑舌の悪化は、舌や口まわりの動きが弱くなっているサインかもしれません。
もちろん、むせたからすぐに危険というわけではありません。ただ、回数が増えている、食事中に何度もむせる、体重が減ってきた、食べるのが怖くなってきたという場合は、早めに歯科や医療の専門家に相談したほうが安心です。
健康寿命を守るカギは「舌」を動かすこと
健康寿命とは、元気に自分らしく生活できる期間のことです。長生きだけでなく、「自分の口で食べる」「会話を楽しむ」「外に出る」「人とつながる」ことも、健康寿命を考えるうえで大切です。
そこで大きな役割を持つのが舌です。
舌は、食べ物を味わうだけのものではありません。食べ物を歯の上に運び、噛みやすくし、唾液と混ぜ、飲み込みやすい形にまとめます。そして、のどへ送り込むときにも舌の力が必要です。
さらに、舌は発音にも欠かせません。「タ」「カ」「ラ」などの音は、舌の動きがはっきりしていないと発音しにくくなります。滑舌が悪くなると、会話に自信がなくなり、人と話す機会が減ることもあります。
この「食べる」と「話す」は別々のようで、実は同じ口の機能に支えられています。だから舌を動かすことは、食事だけでなく、会話や表情、社会参加にも関わってきます。
舌の力を保つ方法としては、舌を上あごに押しつける、舌を前に出す、左右に動かす、発声しながら口を大きく動かすなどがあります。舌に抵抗をかける運動や、舌圧を高める訓練は、口腔機能や飲み込みの力を支える方法として紹介されています。
ここで大切なのは、強くやりすぎないことです。舌やあごに痛みが出るほど頑張る必要はありません。目安は「少し使った感じがある」「口まわりがじんわり動いた感じがある」くらいです。
舌トレは、筋トレと同じで、正しく続けることが大切です。1回だけ全力でやるよりも、短い時間を毎日続けるほうが、生活習慣として定着しやすくなります。
おすすめの続け方は、毎日の行動にくっつけることです。
朝の歯みがき後に1回
昼食前または昼食後に1回
夜の歯みがき後に1回
このように決めておくと、「やらなきゃ」と思わなくても続けやすくなります。
また、鏡を見ながら行うと、舌がちゃんと動いているか確認しやすくなります。高齢の家族と一緒にやる場合は、無理に回数をこなすよりも、笑いながら続けられる雰囲気を作ることが大切です。
低栄養・筋力低下・寝たきりを防ぐ口の機能維持
口の衰えがこわいのは、口だけで終わらないからです。
噛めない、飲み込みにくい、むせる。こうした変化があると、人は自然と食べるものを選ぶようになります。肉は硬いからやめる、野菜は噛みにくいから減らす、魚は骨が気になるから避ける。すると、食事の幅が狭くなります。
食事の幅が狭くなると、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しやすくなります。特にたんぱく質が足りないと、筋肉を保つ材料が不足します。その結果、足腰の筋力も落ちやすくなります。
筋力が落ちると、歩くのがおっくうになります。転びやすくなったり、外出が減ったりすることもあります。外出が減ると、活動量が減り、さらに食欲も落ちることがあります。
この流れが進むと、低栄養、サルコペニア、フレイルといった状態に近づきます。口の機能低下は、フレイルや低栄養、サルコペニアと関係する重要な視点として扱われています。
ここで知っておきたいのは、「口を鍛えること」は食事制限とは逆の発想だということです。
年齢を重ねると、健康のために「あれを控えよう」「これを減らそう」と考えがちです。もちろん必要な場合もありますが、シニア世代では「食べられる力を守る」ことも同じくらい大切です。
食べる力があるから、肉や魚を食べられる。
肉や魚を食べられるから、筋肉を保ちやすい。
筋肉があるから、歩ける。
歩けるから、外に出られる。
外に出るから、人と会える。
この流れを守るために、口の機能維持が大切になります。
また、口の機能を守るには、舌トレだけでなく、歯や入れ歯の状態、唾液、噛み合わせ、食事内容も関わります。舌トレは大事な入口ですが、すべてを一人で抱え込む必要はありません。
むせが増えた、体重が減ってきた、食べる量が明らかに減った、飲み込みに不安がある場合は、歯科、耳鼻咽喉科、かかりつけ医、管理栄養士などにつながることが大切です。早めに気づけば、生活の中でできる対策も増えます。
おいしく食べて楽しく話すための舌トレ習慣
舌トレのよさは、「健康のために我慢する」ものではなく、おいしく食べ続けるための準備になることです。
好きなものを食べる楽しみは、年齢を重ねても大切です。家族と食卓を囲む、季節の料理を味わう、外食を楽しむ、旅行先で名物を食べる。こうした時間は、体だけでなく心の元気にもつながります。
そのためには、歯だけでなく、舌、唇、ほほ、のどがうまく働く必要があります。舌トレは、その中でも特に「食べ物を動かす」「飲み込む」「発音する」という基本の力を支える習慣です。
番組内容をもとにすると、舌トレは大きく3つの動きで考えるとわかりやすいです。

アーウー体操
舌を上あごに押しつけるようにして、口を大きく動かしながら声を出す体操です。舌と口まわりを一緒に動かすことで、発声と舌の筋肉を使います。
イー体操
あごの下にこぶしを当て、軽く抵抗をかけながら「イー」と発声する動きです。飲み込みに関わる筋肉を意識しやすい体操です。
舌ストレッチ
舌を前に出し、上下左右に動かします。舌の動く範囲を広げ、口の中をしっかり使う感覚を作ります。
それぞれ無理のない範囲で行うことが大切です。痛みがあるとき、あごに違和感があるとき、体調が悪いときは休んでください。舌やのどに病気がある人、飲み込みで強い不安がある人は、自己判断で続けず専門家に相談したほうが安心です。
また、舌トレを続けるコツは「気合い」ではなく「仕組み」です。
たとえば、テレビの前に座ったときにやる。歯ブラシの後にやる。スマホのアラームを使う。家族と一緒にやる。カレンダーに丸をつける。こうした小さな工夫で、続けやすさは大きく変わります。
さらに、日常の会話や歌も口のトレーニングになります。声を出すことは、口や舌、のどを自然に使う動きです。おしゃべり、音読、早口言葉、歌なども、無理なく取り入れられる口の運動になります。口の周りや舌を動かすことは、滑舌や食べこぼしの予防にもつながるとされています。
「人と話す」「笑う」「歌う」「よく噛んで食べる」。これらはすべて、口の健康を守る行動です。舌トレは、その土台を作るための短い習慣と考えると続けやすくなります。
録画して続けたいトリセツ舌トレの活用法
舌トレは、やり方を知るだけでなく、続けられる形にすることがいちばん大切です。だからこそ、3分という短さには意味があります。
長い運動は、最初は頑張れても続かないことがあります。忙しい日、疲れている日、気分が乗らない日もあります。でも3分なら、「これだけならできる」と思いやすい。これが毎日の習慣づくりに向いています。
録画して使う場合は、ただ保存するだけでなく、生活の中で見るタイミングを決めるのがおすすめです。
朝の歯みがき後に再生する
昼食前に口を動かす準備として使う
夕食前に家族で一緒に行う
夜の歯みがき後に1日の仕上げとして行う
このように決めておくと、運動というより「いつもの流れ」になります。
特にシニア世代では、「口の体操をしよう」と言われると少し身構えてしまうことがあります。でも、短い映像を見ながら一緒に動かす形なら、わかりやすく、家族も声をかけやすくなります。
家族がサポートする場合は、「ちゃんとやって」「もっと動かして」と注意するより、「一緒にやろう」「今日も3分だけやろう」と声をかけるほうが続きやすいです。口の衰えは本人にとって少しショックな話題でもあります。責めるのではなく、楽しく続ける雰囲気が大切です。
また、舌トレを始めたら、次のような変化をゆるく見ておくとよいです。
食事中にむせる回数
滑舌の変化
食べるスピード
食べこぼし
口の乾き
会話のしやすさ
食欲や食事量
変化はすぐに出る人もいれば、時間がかかる人もいます。大切なのは、焦らず続けることです。
ただし、舌トレをしていても、むせが強くなる、体重が減る、飲み込みにくさが続く、食事が怖い、発熱をくり返すなどがあれば、早めに専門家へ相談してください。舌トレは健康づくりの助けになりますが、医療的な確認が必要なサインを見逃さないことも大切です。
口は、体の入り口です。そして、人とつながるための大切な場所でもあります。おいしく食べること、楽しく話すこと、笑うこと。その全部を支えているのが、歯だけでなく舌の力です。
毎日3分の舌トレは、小さな習慣に見えます。でも、その先には、好きなものを食べ続けること、人と話す楽しみを保つこと、自分らしく暮らすことがあります。
口の衰えに気づいたときが、始めどきです。今日の3分が、これからの食事と会話を守る健康長寿の小さな貯金になります。
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