福山雅治〜長崎に生きて 亡き父の思い〜
福山雅治さんが自らのルーツをたどる特別回が「ファミリーヒストリー」で放送されます。舞台は長崎。昭和20年8月9日の原爆投下に巻き込まれながらも奇跡的に命をつないだ福山家の歴史や、祖父母の出会い、父の思い出が、発見されたカセットテープによって蘇ります。福岡から長崎へ、そして山口や朝鮮半島ともつながる福山家の軌跡は、ひとつの家族の物語を越えて、戦争と平和を考えるきっかけにもなる内容です。
祖父母の出会いがつないだ家族のはじまり
大正時代、祖父・敬一さんは旧日本海軍の通信員として朝鮮半島・鎮海に赴任していました。その地で出会ったのが、山口県から来ていた祖母・石田久さんです。久さんは高等女学校を卒業し、家族の商売の関係で海を渡っていた女性。やがて二人は結婚し、敬一さんの実家がある福岡県柳川市に移り住みました。この出会いがなければ、福山家の長崎での生活は始まっていなかったと言えるでしょう。
柳川から長崎へ 造船の町で新たな暮らし
結婚後、敬一さんと久さんは造船業でにぎわう長崎に移住。当時、日本を代表する港町だった長崎では、新しい仕事や生活のチャンスが広がっていたと考えられます。昭和7年には、福山雅治さんの父・明さんが誕生します。福山家の新たな暮らしは、時代の波とともに進んでいきました。
原爆の記憶を伝えるカセットテープの発見
この番組の大きな見どころは、原爆が投下された1945年8月9日、祖母と父がその瞬間を語った貴重なカセットテープが見つかったことです。当時、祖母は米の配給を受ける列に並び、幼い明さんは近くの木陰にいたと語られています。上空にB-29が現れ、午前11時02分に爆発。祖母はとっさに溝に身を伏せて助かり、父も防空壕に隠れて無事だったといいます。カセットテープには、70年以上前の記憶がそのまま残されており、まるで時を越えて声が届くようです。
稲佐山が命を守った場所に
福山家が暮らしていたのは、爆心地から約3キロ離れた稲佐山のふもと。丘陵の地形が盾となり、爆風の直撃を免れました。また、空襲対策として進められていた建物疎開政策の影響で、自宅が以前の場所から移されていたことも命を救う要因となったとされています。この“偶然の連続”が、今の福山さんの命へとつながっているのです。
祖母と詩人・中原中也との縁
祖母・久さんの弟、憲太郎さんは詩人・中原中也と同じ山口の学校に通っていました。中也さんが毎朝迎えに来ていたというエピソードもありました。福山さんは学生時代から中原中也の詩を好んでおり、「汚れつちまつた悲しみに…」という詩にロック的な感性を感じていたそうです。祖母のルーツと自らの芸術的感性が、思いがけないところで交わっていたことに、福山さんは驚きと喜びを感じていました。
父と母、それぞれの“偶然”が今へつながる
父・明さんは長崎で不動産業を営む実直な男性で、母・勝子さんは洋裁を学んでいました。出会いのきっかけは、勝子さんの叔母が営んでいた駄菓子屋。そこへ通っていたことから、明さんの目にとまり、やがて結婚へとつながります。ここでもまた偶然が運命をつなぎ、現在の福山雅治さんが生まれることになりました。
番組では、こうした家族のつながりを一つひとつ丁寧にたどりながら、福山さんの表情や想いも交えて描いていく予定です。過去と現在、そして未来を結ぶ“家族の物語”は、見る人の心に静かに届くはずです。
出典:
https://www.nhk.jp/p/ts/YMKRGX6N49/
https://www.sponichi.co.jp/
https://note.com/
https://amass.jp/
中原中也詩集(新潮文庫)で「汚れつちまつた悲しみに…」を読む
福山雅治さんが番組で語っていたように、彼が特に心を動かされた詩が「汚れつちまつた悲しみに…」です。この詩は、日本の近代詩の中でも特に有名な一編で、詩人・中原中也の代表作として広く知られています。その詩を含むのが、新潮文庫から出版されている『中原中也詩集』です。福山さんが感じたように、この詩にはロックのような力強さと静けさが同居していて、読む人の心に深く響きます。
中原中也の詩の世界にふれる
この詩集には、「山羊の歌」「在りし日の歌」「春の日の夕暮」「湖上」「一つのメルヘン」「骨」など、数々の名詩が収録されています。その中でも、「永訣の朝」や「臨終」などは、身近な死を通して言葉にできない感情を淡々と表現しており、多くの読者の心に残る作品となっています。それぞれの詩が短くても力強く、読み手の想像力をやさしく刺激します。
詩の内容は難解ではなく、言葉のリズムや情景の描写が分かりやすいため、詩にあまり触れたことがない方でも気軽に楽しめます。また、ひとつひとつの詩がコンパクトにまとまっているため、日々の生活の中で少しだけ時間をとって読むこともできます。詩が日常に寄り添ってくれる、そんな感覚を味わえるのが中也の詩の魅力です。
この新潮文庫版の詩集は、文庫サイズで持ち運びにも便利です。表紙には中原中也の写真が使われており、どこか憂いを帯びたまなざしが印象的です。価格も数百円程度と手ごろで、詩にふれる第一歩としておすすめです。
福山雅治さんが感じたように、「汚れつちまつた悲しみに…」には音楽的な響きと、時代を超えて心に残る切実な感情があります。そんな詩の世界に触れてみたい方には、ぜひこの一冊を手に取っていただきたいと思います。購入はAmazonなどの書籍販売サイトで可能です。以下のリンクから詳細を確認できます。
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