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NHK【プロフェッショナル 仕事の流儀】音を置く、曲が在る〜音楽家 牛尾憲輔の劇伴制作の裏側〜2025年8月26日放送

プロフェッショナル 仕事の流儀

プロフェッショナル 仕事の流儀 牛尾憲輔

2025年8月26日深夜に放送された「プロフェッショナル 仕事の流儀」では、音楽家・牛尾憲輔が特集されました。彼は映画やドラマ、アニメといった映像作品の劇伴を数多く手がけており、国内以上に海外での評価が高い人物です。視聴者の多くが気になるのは、「どうやって作品に寄り添う音楽を作り出しているのか」「なぜ彼の音が世界で支持されているのか」という点でしょう。この記事では番組で紹介されたエピソードを整理し、彼の音楽哲学や歩んできた道のりを詳しく掘り下げます。

40台以上のシンセサイザーに囲まれた創作現場

番組は2024年10月に行われた自宅取材から始まりました。牛尾さんの仕事部屋は40台以上のシンセサイザーで埋め尽くされ、まるで音楽研究所のような空間。その光景からは、彼が音を探し求める姿勢が一目で伝わります。取材当時は、人気アニメ「ダンダダン」の劇伴制作の真っ最中。映像を見ながら音を「置く」ように配置し、場面ごとに最適な響きを作り上げる姿が紹介されました。音楽を“盛り上げるため”ではなく、“物語を支えるため”に選び抜くところに、彼の職人的なこだわりが表れています。

「自分の枠外へ」広がる音の旅

牛尾さんの創作のキーワードは「自分の、枠外へ」。これは常に新しい音を求める姿勢を示しています。楽器店を巡って珍しいシンセサイザーを手に入れ、実際に触れる中で想像力を膨らませているのです。過去には映画「リズと青い鳥」でもその精神が発揮され、少女たちの繊細な心情を音で表現する挑戦が話題になりました。自分の枠を越えることが、作品に新鮮な空気をもたらす原動力になっています。

「cocoon~ある夏の少女たちより~」への挑戦

番組では、新作アニメ「cocoon~ある夏の少女たちより~」の劇伴制作も密着。監督の伊奈透光との打ち合わせでは、物語が描く夏の少女たちの心情を丁寧に聞き取り、それを音に落とし込む過程が紹介されました。制作では、映像に寄り添いながら「音が出しゃばりすぎない」ことを意識。2ヶ月にわたる試行錯誤の末、バイオリニスト勝井祐二を招き「弦が切れる音」までも劇伴に取り入れるという斬新な発想を見せました。その結果、完成試写で監督の意図に合致し、採用が決定。まさに物語と音が溶け合う瞬間でした。

少年期からクラブカルチャーへの歩み

牛尾さんの音楽人生の原点は、6歳から習い始めたピアノです。中学生の頃、アルバム「Coda」に触れたことで電子音楽の世界にのめり込みました。大学進学後も専門書を読み漁り、シンセサイザーで作曲を続けます。その後、渋谷のクラブで石野卓球と出会い、アシスタントとして活動した経験が大きな転機に。ここで実践的にクラブミュージックを学び、音の可能性を広げていきました。ソロ活動を経て映画やアニメの劇伴制作に携わるようになり、「聲の形」や「戦場のメリークリスマス」といった作品で音楽が深く記憶に残る仕事をしています。

坂本龍一からの継承

番組の中でも大きな注目を集めたのが、故坂本龍一との関わりです。坂本から「自分の作品の後継を託したい」との言葉を受けた牛尾さんは、その出来事を「生涯の光栄」と語りました。坂本が築いた音楽の遺産を未来につなげる存在として、自身の責任と誇りを強く感じていることが伝わりました。彼の音楽に流れる“静かで深い感情”の背景には、このような師からの影響もあるのです。

「作品と添い遂げる」プロの姿勢

牛尾さんの言葉で印象的だったのは「作品に殉死したいくらい、添い遂げたい」という一言。自分の表現ではなく、あくまでも作品を支えるための音を作るという姿勢が徹底されています。取材中も「独りよがりにならないように」と語り、常に客観性を持って創作に向かう姿はプロフェッショナルそのもの。音楽と映像が切り離せない形で存在することを目指す彼の姿勢に、多くの視聴者が感銘を受けたはずです。

新たな挑戦「連続テレビ小説 ばけばけ」

放送の最後に明かされたのは、連続テレビ小説「ばけばけ」の劇伴を担当するというニュースでした。国民的番組である朝ドラでの音作りは、彼のキャリアにとって大きな挑戦。これまでのアニメや映画で培った表現力が、日常を描く朝ドラにどう生かされるのか、今後の注目ポイントとなっています。

まとめ

今回の「プロフェッショナル」では、牛尾憲輔という音楽家が「物語と世界を音でつなぐ橋渡し」であることが明確に描かれました。幼少期から積み上げた経験、クラブカルチャーでの修行、坂本龍一からの継承、そして最新作「cocoon」や「ばけばけ」への挑戦。そのすべてが「音を置く」という仕事の流儀へとつながっています。牛尾憲輔の音楽は単なるBGMではなく、作品の感情を増幅させる“もうひとつの登場人物”。視聴者にとっては、劇伴が作品体験をいかに深めているかを知る貴重な時間となりました。


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