近藤勇と新選組誕生の真実に迫る!志が生んだ“エピソード・ゼロ”
激動の幕末を駆け抜けた新選組。その名を聞くだけで、剣のきらめきと血煙、そして武士の誇りを思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、彼らがどうやって生まれ、何を信じて剣を取ったのか――そこには、知られざる“ゼロの物語”がありました。
2025年10月15日放送のNHK『歴史探偵』では、佐藤二朗が案内人として、新選組結成の裏にあった人間ドラマをひもときました。本記事ではその放送内容をもとに、近藤勇と仲間たちが「浪士」から「誇り高き武士」へ変わるまでの軌跡を、より詳しく紹介します。
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農民の子から剣豪へ ― 近藤勇の出発点
近藤勇は、武蔵国多摩(現在の東京都調布市)で農家の三男として生まれました。身分制度が厳しい江戸時代において、武士の道を歩むなど到底かなわぬ夢。それでも彼は剣を通して自分の運命を切り開いていきます。16歳のとき、近藤周助の養子となり、天然理心流という剣術の道場に入門しました。
当時の農村は、飢饉や治安の悪化で荒廃していました。農民が自衛のために剣術を学ぶのは珍しくなく、剣の腕を磨くことが“生き抜く術”でもあったのです。その中で近藤はめきめきと頭角を現し、やがて後に運命を共にする土方歳三、沖田総司らと出会います。
天然理心流は、他流派とは一線を画す「総合武術」でした。蹴りや投げ、締め技までも許され、勝敗はどちらかが降参するまで続くという過酷な稽古。江戸の剣士たちからは「田舎剣法」と揶揄されましたが、実戦に強く、命を懸けた戦場ではこの技が真価を発揮しました。
学問と友情が支えた志 ― 小島鹿之助との出会い
28歳のとき、近藤は師である近藤周助の後を継ぎ、道場の主となります。けれども“主君を持たぬ浪人”という立場に変わりはなく、社会的な地位はまだ不安定でした。そんな彼を支えたのが、裕福な豪農の息子であり、学識に優れた小島鹿之助です。二人は義兄弟の契りを結び、鹿之助は学問を通じて近藤の精神的支柱となりました。
鹿之助の蔵には多くの書物があり、近藤は剣だけでなく教養を学びます。後に彼が「武士らしくあろう」と志した根底には、この頃に培った“文武両道”の精神があったといえるでしょう。
幕末の転機 ― 浪士組から壬生浪士組へ
時代が大きく動きます。14代将軍・徳川家茂が攘夷実行のため上洛を決定。幕府は京の治安維持を目的に「浪士組」を結成しました。浪人だった近藤にとって、これは武士として認められる絶好の機会。仲間の土方歳三や沖田総司とともに志願します。
しかし、将軍の上洛前に「浪士組は解散せよ、江戸へ戻れ」との命令が下されます。多くが帰還する中、近藤は「まだ将軍が到着していない」と反発。たった24名の仲間とともに京都に残りました。その決断が、やがて歴史を動かすことになります。
彼らは京都守護職である松平容保の庇護を受け、「壬生浪士組」として再出発。これがのちの新選組の原型です。近藤はこのとき、戦国時代の甲冑(高岡市立博物館に現存)を身にまとい、「武士として生きる覚悟」を形で示しました。
芹沢鴨との対立 ― 血で染まった夜
壬生浪士組の初代局長に就任したのは、水戸藩出身の芹沢鴨。彼は尊王攘夷を掲げながらも、資金集めのために商人を脅したり、火を放ったりと暴力的な行動を繰り返しました。松平容保はその素行に激怒し、近藤に「処断せよ」と命じます。
そして1863年9月16日、京都・八木家で事件は起こります。酒に酔い眠る芹沢と愛妾・お梅を、土方歳三、沖田総司らが襲撃。平山五郎を斬り、芹沢を討ち取りました。これにより、新選組は実質的に近藤勇の指揮下に統一されます。この血の事件は、組織の秩序を守るために避けられなかった“宿命の夜”でした。
理想を貫いた男の最期
芹沢暗殺後、近藤勇は徳川家茂から「大久保大和」の名を与えられ、若年寄格の地位にまで昇進します。しかし、時代はすでに新政府軍の勢いに傾いていました。幕府崩壊後、近藤は捕らえられ、処刑されます。享年35。志半ばで倒れたその姿は、まさに“武士の理想”を貫いた象徴でした。
スタジオでは、近藤が農民に宛てた直筆の書状も紹介されました。そこには「将軍警護の任に就いた」と誇らしげに綴られ、彼の“誇り”と“人間らしさ”がにじんでいました。
新選組はなぜ人々を惹きつけるのか
『歴史探偵』での佐藤二朗のコメントが印象的でした。「荒くれ者をまとめるには、近藤自身も非情にならざるを得なかった」。それは冷酷ではなく、仲間を守るための覚悟だったのです。現代を生きる私たちにとっても、組織の中で信念を貫く難しさはどこか共通しているかもしれません。
また、アナウンサーの片山千恵子は、自身の先輩が土方歳三の子孫であることを明かし、スタジオが驚きに包まれました。150年以上の時を経てもなお、人々の中に新選組の魂が息づいていることを実感させるエピソードです。
まとめ:志を貫いた者たちの「原点」
この記事のポイントは次の3つです。
・農民の出であった近藤勇が、剣と志で「武士」への道を切り開いた
・浪士組から壬生浪士組、そして新選組へ――信念と仲間が作り上げた歴史
・芹沢鴨暗殺事件は、新選組の秩序と誇りを守るための“誕生の儀式”だった
新選組は単なる剣士集団ではなく、「志で身分を超えた人々の物語」です。彼らの生き様は、今を生きる私たちにも“信念を曲げずに立ち向かう強さ”を教えてくれます。
(ソース:NHK総合『歴史探偵 新選組エピソード・ゼロ』(2025年10月15日放送))
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