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【美の壺】唐草模様の奥深い魅力とは?世界に広がる歴史と現代デザインの進化|3月9日放送

文化

あちらにもこちらにも唐草

唐草模様と聞くと、緑色の風呂敷を思い浮かべる人が多いかもしれません。どこかレトロな雰囲気を感じさせるこの模様は、実は世界中で古くから愛されてきた特別なデザインです。「美の壺」第601回では、そんな唐草模様の魅力に迫ります。

今回の放送では、写真家の織作峰子さんが登場し、19世紀イギリスのデザイナーウィリアム・モリスの作品と唐草模様の関係について語ります。また、歌舞伎の衣装に使われた唐草模様の意外な歴史や、なぜ泥棒のアイテムとして知られるようになったのかについても紹介されます。さらに、伝統工芸有田焼の窯元と先端デザイナーが生み出した新しい唐草模様にも注目です。

唐草模様がどのようにして世界中に広がり、日本文化の中でどんな役割を果たしてきたのか、詳しく見ていきましょう。

唐草模様の起源と広がり

唐草模様の歴史はとても古く、起源は古代メソポタミア文明やエジプト文明にまでさかのぼるとされています。その後、ギリシャ・ローマを経由し、中国に伝わり、日本には奈良時代に入ってきました。シルクロードを通じて各地の文化と交わりながら、地域ごとにさまざまなデザインへと進化していきました。

この模様は、植物の蔓(つる)や葉、花が絡み合う様子を表現したデザインで、途切れることなく続く形が「繁栄」や「長寿」を象徴すると考えられました。そのため、日本では縁起の良い模様として、着物や陶器、仏具、建築装飾などに広く使われてきました。

唐草模様のデザインには国や時代によって特徴があります。

  • 日本の唐草模様:細い線で蔓が伸び、繊細なデザインが特徴的。着物や風呂敷、陶器に多く見られる。
  • 中国の唐草模様:龍や鳳凰などの伝統的なモチーフと組み合わされることが多い。
  • ヨーロッパの唐草模様:葉や花が装飾的に描かれ、ウィリアム・モリスのデザインにも影響を与えた。

ウィリアム・モリスと唐草模様

ウィリアム・モリスは、19世紀イギリスのデザイナーで、「アーツ・アンド・クラフツ運動」の中心人物として知られています。彼のデザインは、自然界の植物や花をモチーフにしたものが多く、唐草模様と似た要素を持っています。モリスの作品には、葉や花が流れるようにつながる装飾パターンが多く、唐草模様と同じように「生命のつながり」や「自然の美しさ」を表現しているのです。

彼のデザインは、壁紙やテキスタイル(布地)に使われ、今もなお世界中で人気があります。現代のインテリアデザインやファッションにも取り入れられ、日本の唐草模様とも共通する魅力があると言えるでしょう。

歌舞伎の衣装に見る唐草模様

江戸時代、歌舞伎は庶民にとってのファッションショーのようなものでした。華やかな衣装や豪華な舞台装飾には、流行の柄が取り入れられ、その中でも唐草模様はとても人気がありました。

  • 吉原遊郭の世界を舞台にした演目では、繁栄を願う意味で唐草模様が多く使われた。
  • 盗賊や悪役の衣装に唐草模様が描かれることもあり、「粋」なイメージとして定着した。
  • 庶民の着物にも唐草模様が流行し、おしゃれな柄として親しまれた。

歌舞伎役者の衣装だけでなく、舞台背景や小道具にも唐草模様が描かれることがあり、当時の江戸の町において、唐草模様は身近なデザインだったことがわかります。

なぜ唐草模様が泥棒のイメージになったのか

唐草模様の風呂敷といえば、「泥棒が荷物を包んで運ぶイメージ」が定着していますが、これはなぜなのでしょうか?

  • 江戸時代から昭和にかけて、唐草模様の風呂敷が広く普及していた。どの家庭にもあるありふれたアイテムだったため、泥棒が荷物を包んでも目立たなかった。
  • 昭和の映画や漫画で、唐草模様の風呂敷を背負う泥棒のイメージが定着。特に落語やコメディ映画で「泥棒といえば唐草模様の風呂敷」と描かれることが多かった。
  • もともと縁起の良い柄だったため、商売繁盛を願って商人が愛用。その影響で、盗んだものを運ぶ際に使われたのではないかとも言われている。

こうした歴史的背景から、唐草模様の風呂敷=泥棒というイメージが生まれましたが、実際には「どこにでもある普通の柄だった」というのが本当の理由なのです。

伝統と革新!現代の唐草模様デザイン

伝統的な唐草模様は、今もなおさまざまなデザインに取り入れられ、進化を続けています。今回の「美の壺」では、有田焼の窯元とデザイナーがコラボし、「新たな唐草模様」を生み出す試みが紹介されました。

  • 有田焼 × モダンデザイン:伝統的な有田焼の技術を活かしつつ、現代風にアレンジした唐草模様の器が誕生。
  • ファッション業界での活用:バッグや洋服、アクセサリーにも唐草模様が取り入れられ、オシャレなアイテムとして人気を集めている。
  • インテリアデザイン:壁紙やクッションカバー、タイルのデザインとしても使われ、「和モダン」な雰囲気を演出。

伝統的な模様ながら、デザイン次第で現代のライフスタイルにも馴染む唐草模様。今後もどのように進化していくのか注目です。

まとめ

唐草模様は、単なる装飾ではなく、世界中で愛され続ける歴史ある文様です。奈良時代に日本に伝わって以来、着物や工芸品、歌舞伎の衣装、風呂敷などに使われてきました。泥棒のイメージがついたのも、元々どの家庭にもある柄だったからこそ。

現代では、伝統とモダンデザインが融合し、新たな唐草模様が生まれています。これからの進化にも期待が高まります。

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