猫と物語がそっと寄り添う時間
ものを書く人のそばには、いつも静かな気配があります。この回の「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」は、児童文学作家 あんびるやすこ と愛猫エルの穏やかな日常を通して、『創作』がどのように続いていくのかを見つめる番組です。魔法やお菓子、猫が登場する物語を20年にわたって生み出し続けてきた作家の仕事と、その足元にいる猫の存在から、物語が生まれる場所の空気が伝わってきます。
ものを書く人のそばにいる猫
番組の軸にあるのは、「もの書く人の傍らにはいつも猫がいた」という視点です。
創作というと特別な才能やひらめきを想像しがちですが、この番組では、もっと身近で静かな時間として描かれます。
あんびるやすこ の仕事場には、堂々とした体つきの 愛猫エル がいます。
エルは、原稿を書く手元に割り込んだり、作業を止めたりする存在ではありません。
そばにいながら、作家の動きや空気を感じ取り、静かに見守る存在 としてそこにいます。
原稿を書く時間、言葉が浮かばずに考え込む時間、ふと手を止めて視線を上げる時間。
そのすべてに 猫の気配 が自然に重なります。
エルの存在は、創作を特別な儀式のようなものにするのではなく、
日常の延長線上にある営み として感じさせてくれます。
人と猫が同じ空間で同じ時間を過ごすことで生まれる、ゆるやかなリズム。
その積み重ねが、物語を生み出す土台になっていることが、静かな映像と空気感から伝わってきます。
あんびるやすこの創作の原点
あんびるやすこ は、児童文学作家・絵本作家として、長い時間をかけて多くの子どもたちに物語を届けてきました。
作品に登場するのは、魔法 や お菓子、魔女、そして 猫。
どれも子どもたちの心をやさしく引き寄せるモチーフで、読み進めるうちに自然と物語の中へ入り込める世界観が広がっています。
その創作の原点にあるのが、「子どもの頃に欲しかったもの、読みたかったもの」という感覚です。
大人になってから考え出した設定ではなく、幼い頃に胸の中に残っていた思いや憧れが、物語の芯になっています。
だからこそ作品には、無理のない温度と、長く読み続けたくなる居心地のよさがあります。
番組では、あんびるやすこ がいきなり作家になったわけではないことも描かれます。
アニメーションやおもちゃに関わる仕事を経験し、形や動き、子どもが何に心を動かされるのかを学んだ時間が、今の創作につながっています。
その積み重ねが、物語の世界を支える確かな土台になっています。
想像の世界は、ある日突然ひらめいて生まれるものではありません。
これまで歩んできた道や、心に残り続けた記憶が重なり合い、少しずつ形になっていくものです。
番組を通して、あんびるやすこ の物語が、そうした積み重ねの先にあることが静かに伝わってきます。
20年続く物語が生まれる場所
魔法 や お菓子 を題材にしたシリーズを、20年 にわたって発表し続けている点は、この回のとても大きな見どころです。
長く続く作品というと、同じ形を守り続ける印象を持たれがちですが、あんびるやすこ の物語はそうではありません。
世界観の土台は大切にしながらも、登場人物や舞台、物語の角度を少しずつ変えています。
読み手が成長しても、また新しい読者が加わっても、自然に物語に入り込めるよう工夫が重ねられてきました。
その背景にあるのが、子どもたちと 『つながり続けたい』 という強い思いです。
一冊ごとに完結しながらも、同じ世界の空気が流れている。
その安心感と新しさのバランスが、長く読み継がれてきた理由のひとつです。
番組では、こうした作品づくりの姿勢が、作業の様子や言葉を通して描かれる予定です。
また、物語の中で生まれる 魔女 や 猫 といったキャラクターが、どのように形になっていくのかも注目されます。
最初から完成された存在ではなく、考え、描き、選び直しながら少しずつ命を持っていく過程。
その積み重ねが、20年という時間を支えてきた仕事ぶりとして静かに映し出されていきます。
エルという存在がつくる間
愛猫エル は、ただ同じ部屋にいるだけの存在ではありません。
そこに「いる」ということ自体が、創作の時間を包み込む役割を持っています。
あんびるやすこ が考え、書き、ふと手を止める時間。
言葉が浮かばずに黙り込む瞬間や、次の物語を探す静かな間も、
エルは変わらずそばにいて、その時間をまるごと受け止めています。
番組では、あんびるやすこ と エル との コミュニケーション が、ひとつの大切なテーマとして置かれています。
それは、声をかけ合ったり、特別なやり取りをする関係ではありません。
同じ空間で、同じ時間を過ごすことで生まれる、言葉を必要としない関係 です。
視線を向けるだけで伝わる気配。
近くにいることで生まれる安心感。
そうした積み重ねが、創作の流れを乱すことなく、創作のリズム を整えています。
番組では、人と猫が無理なく寄り添うことで生まれる、静かな循環が映し出されていくと考えられます。
エルの存在があるからこそ、物語を書く時間が自然な日常として続いている。
その関係性が、ゆっくりとした映像の中で伝わってきます。
朗読が伝える言葉の温度
書き下ろしエッセイの朗読を担当するのは 上白石萌音 です。朗読が入ることで、映像だけでは伝えきれない作家の内側の言葉が浮かび上がります。日常の風景に重なる声は、物語が生まれる瞬間の温度をやさしく伝える役割を果たします。語りを務める 森下絵理香 の落ち着いた声も、番組全体の静かな流れを支える存在です。
まとめ
「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」は、派手な出来事ではなく、書くことと生きることが自然につながる時間を描く番組です。あんびるやすこ の創作の原点、20年続く物語の背景、そして愛猫エルの存在が重なり、『創作は日常の中にある』というメッセージが浮かび上がります。
【ネコメンタリー】猫も、杓子も。小路幸也とメイ 東京バンドワゴン作家が語る“猫はブルース”と江別での創作生活|2025年12月11日
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