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Eテレ【ネコメンタリー】猫も、杓子も。 山下和美とモンド|数寄屋造りの家と老猫がつくる創作空間の秘密|2025年12月4日

ネコメンタリー
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ネコメンタリー「山下和美とモンド」

東京世田谷の数寄屋造りの家で、漫画家 山下和美 さんと老猫モンドがともに過ごす日々。その時間を追いながら、創作に向き合う姿や、四季の移ろいに寄り添う暮らしの尊さを見つめる内容です。この記事では、山下さんの作家性、代表作、猫モンドとの関係、そして番組のテーマとなる“創作と生活”を深く読み解きます。

山下和美さんとはどんな漫画家?

1959年生まれ、小樽出身の 山下和美 さんは、少女漫画誌でデビューし、その後青年誌へ活動の場を広げました。ジャンルを越えて読者に愛される理由は、日常の中にある心の揺れ、静けさ、人間の不器用さをそっとすくい上げる表現力にあります。

特に長く親しまれてきた『天才柳沢教授の生活』では、大学教授の日々のこだわりや小さな喜びをユーモアを交えて描き、キャラクターのモデルには山下さんの父親が挙げられることも知られています。この作品で、日常の“当たり前”がいかに豊かな物語になり得るかを示しました。

最新の代表作『ランド』では、人間の生き方や存在をめぐる深い問いが描かれ、2021年には手塚治虫文化賞を受賞。静かに読者の心へ踏み込む作品づくりが評価されています。

数寄屋造りの家と老猫モンドがつくる創作の空気

番組の舞台となるのは、東京世田谷に構えた数寄屋造りの家。木材の質感や自然光を大切にした家で、山下さんは創作の時間を過ごしています。そこに寄り添うのが老猫モンド。

モンドはデスク下と寝室を行き来し、いつも山下さんのそばにいます。その姿は「見守る」という言葉が自然に浮かぶ存在で、ただ隣にいるだけで、部屋の空気がゆるんでいくような落ち着きを生んでいます。

作業机の横で静かに横たわるモンドの存在が、創作の緊張感を和らげ、作品に流れる“静かな人間味”とも響き合っているように感じられます。

庭の四季が運んでくる時間の流れ

山下さんの家には庭があり、そこに集まる鳥たち、風、光の変化が一年の流れをそっと知らせてくれます。春のやわらかな芽吹き、夏の濃い緑、秋の色づき、冬の静けさ。四季のうつろいは、手を止めた山下さんがふと見つめる“生活の時間”として番組にも映し出されます。

自然と共にある家の景色が、作品にも流れる「生活の視点」を支えているようにも見えます。

“表現の喜び”と“人生観”に触れる番組

山下さんの作品には、派手さではなく、日々の小さな選択や気持ちの動きが描かれます。その根底にあるのは、「人間の普通の生活こそ豊かで価値あるもの」という視点です。

老猫モンドとの暮らしは、その視点を象徴するように静かであたたかく、創作の背景を深く理解するうえでも欠かせない存在として映ります。

番組では、映像を通して山下さんがどんなふうに生活を受け止め、作品へ昇華しているのかが描かれます。朗読を担当するのは俳優 松本若菜 さん。その声が加わることで、山下さんの人生観や作品に流れる静けさが、より深く響いていきます。

まとめ

12月4日のネコメンタリーは、マンガ家 山下和美 さんと老猫モンドの“生活そのもの”を通して、創作と人生の関わりを感じる特別な回になりそうです。

数寄屋造りの家で流れるゆっくりとした時間、庭の四季、老猫のまなざし、創作の積み重ね──それらを見つめることで、山下さんの作品世界が新たな角度から見えてくるはずです。

Eテレ【ネコメンタリー】猫も、杓子(しゃくし)も。 蛭田亜紗子とわさび 札幌の小説家が見つけた“柔術と猫”がつなぐ生きる力|2025年11月13日

『天才柳沢教授の生活』と『ランド』の“生活観”について紹介します

しげゆき
しげゆき

山下和美さんが長く描き続けてきた2つの代表作。この2作には、見た目のテーマや舞台が違っていても、深くつながる“生活のまなざし”があります。そのつながりを、ここでは追加情報としてより詳しく紹介します。どちらの作品にも、毎日の暮らしを大切に見つめる視線があり、読んでいると人間の生活そのものが物語になっていく流れを感じます。

日常の細部をすくい上げる視線

『天才柳沢教授の生活』では、大学教授である主人公が、家事の手順、食事の時間、身だしなみ、散歩の道順など、生活の細かい部分を大切に守って暮らしています。朝食の支度や帰宅後の習慣といった何でもない時間の積み重ねが、読者に“生活そのものが心を整える力になる”ことを伝えています。キャラクターをとおして、日々の暮らしの中にある静かな喜びや安心感がそのまま作品の魅力につながっています。

『ランド』になると、この視線にさらに深みが加わります。物語は日常の場面だけでなく、社会の仕組み、人とのつながり、世代を越えて続く暮らしの循環にまで広がります。登場人物たちの生活の選択や思いが重なり、普通の暮らしの背景にある“生きるという営みの重さ”が浮かび上がります。舞台となる世界は架空ですが、そこで描かれる暮らしは現実の私たちの生活とも重なって見えてきます。

“普通の暮らし”から“暮らす意味”へ

両作品の共通点は、どちらも 普通の暮らしを大事に描いている ことです。朝起きて、何かを食べて、誰かと話して、仕事をして、家に帰ってくる。こうした小さな出来事が積み重なって人生が形づくられるという考えが、山下さんの作品全体に流れています。

しかし、『ランド』ではそこから一歩進み、 暮らしの意味を考える視点 が強く表れます。時代や背景が変わっても、人がどのように生活し、何を信じて生きていくのか。その問いが物語の中で自然に提示され、その答えを登場人物たちが探していきます。読者もまた“一緒に考える体験”をするような流れになっています。こうした深さは、長年にわたって日常生活を描いてきた山下さんだからこそ生まれたものです。

生活そのものを物語に変える力

この2つの作品を並べると、山下さんがずっと追いかけてきたテーマが見えてきます。それは、 人が生きるとはどういうことかを生活の中に探す視線 です。特別な事件が起こらなくても、日常は十分に物語になり、登場人物の気持ちや選択に大きな意味をもたらします。

『天才柳沢教授の生活』で描かれる落ち着いた暮らしは、小さな行動のひとつひとつが人生を豊かにすることを教えてくれます。対して『ランド』は、その暮らしが社会の中でどう作用し、どんな意味をもつのかを広い視点で見せてくれます。2つの作品を通して、生活はただの毎日ではなく、生きる理由を形づくる大切な土台であることが強く伝わってきます。

このように、『天才柳沢教授の生活』と『ランド』を並べて読むことで、山下和美さんが作品をとおして育ててきた生活観の深さと広がりをより強く感じられます。


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