はんぺんってなに?江戸の知恵とサメの秘密がつまった“ふわふわケーキ”とは
2025年5月30日放送のNHK総合「チコちゃんに叱られる!」では、「はんぺんってなに?」という一見シンプルな疑問が取り上げられました。出演はチコちゃん、塚原愛アナウンサー、岡村隆史さん、MISIAさん、DAIGOさん(BREAKERZ)。普段何気なく食べているはんぺんが、実はサメから作られた“ふわふわケーキ”だったという驚きの事実に、多くの視聴者が興味をひかれた内容となっていました。この記事では、番組のすべての内容をわかりやすくまとめ、はんぺんの歴史・原材料・地域の違い・おすすめレシピまでたっぷりご紹介します。
はんぺんの正体は“サメのふわふわケーキ”
チコちゃんが出題した「はんぺんってなに?」という問いに対する答えは、「サメのふわふわケーキ」。はんぺんは、見た目や味からは想像できませんが、主にサメの肉をすり身にして作られています。サメを使う背景には、江戸時代の貿易と食文化の歴史がありました。
当時、日本は鎖国していたものの、長崎・出島では中国などとの限定的な貿易が行われていました。そこでは、日本の輸出品として以下の「俵物三品」が非常に人気だったそうです。
・ナマコ
・アワビ
・フカヒレ
特にフカヒレは高級食材として海外で重宝され、そのためにサメ漁が全国に広がるようになりました。このとき副産物として大量に得られることになったのがサメの肉です。
しかしサメの肉にはアンモニアのもとになる尿素が多く含まれ、傷みにくい反面、強い臭みがあるのが難点でした。そこで各地で工夫が生まれ、臭みを抑えながらおいしく食べる知恵が発達していったのです。そうして江戸で誕生したのが、ふわふわ食感で人気を集めた「はんぺん」でした。
食感のカギは“ヨシキリザメ”と山芋の力
はんぺんの魅力は、なんといってもあのふんわりとした軽い食感です。番組ではその秘密を、使われている魚の種類と加工法に注目して詳しく紹介していました。
・主に使われるのは「ヨシキリザメ」という種類のサメです。
→「水ザメ」とも呼ばれ、水分が多くすり身にしたときに空気をたっぷり含んだ状態になり、自然とふわふわに仕上がるのです。
・弾力や食べごたえを出すためには「アオザメ」や「スケトウダラ」も加えられます。
→これにより、柔らかすぎず適度な食感になります。
・さらに「山芋」を練り込むことで、より口当たりのよいふわっとした食感が強調されるのです。
このように複数の魚と素材をバランスよく組み合わせることで、あのやさしくて奥深い食感が完成します。
江戸の暮らしとサメ料理文化の広がり
江戸時代にはサメの利用が広がる中で、各地でサメの臭みを消す調理法が工夫され、いろいろな料理が誕生しました。番組では以下のような伝統料理も紹介されていました。
・サメのすくめ(酢を使って臭みをやわらげる)
・サメの煮こごり(煮て冷やしてゼリー状に)
・モロの煮つけ(モロはサメの別名で煮つけにされることが多い)
これらの料理は、保存が効くことや調理しやすいことから、漁業の盛んな地域では重宝されていたそうです。
また、江戸の町の賑わいや職人文化を描いた「近世職人尽絵詞」の中にも、はんぺんを作る職人の姿が登場しているとのことで、当時から庶民の生活に根づいた食材だったことがわかります。
地域ごとに違う「はんぺん」の個性
番組では全国のはんぺん事情にも触れ、それぞれの地域でどんな風にアレンジされているかが紹介されていました。
・静岡県や鹿児島県の「黒はんぺん」
→イワシやサバを使い、色がグレー〜黒に近く、しっかりとした味と食感が特徴。焼いて食べることが多い。
・長崎県の「長崎はんぺん」
→フカヒレ文化とサメ利用の歴史が色濃く反映された、出島由来の伝統的な味。
・東京都中央区日本橋の江戸前はんぺん
→おでんの具として愛され、見た目が真っ白でふわふわなのが特徴。
・栃木県や青森県など内陸部でも独自の調理法があり、おでんや煮物に使われているとのことでした。
それぞれの地域で、使う魚・味つけ・調理法に違いがあるため、旅先ではんぺんを見かけたら、ぜひ地元の味を楽しんでみたくなります。
美術館と大学でも注目!はんぺんの文化的価値
今回の放送では、食文化を超えて、はんぺんが美術や学問のテーマとしても注目されていることが紹介されました。
・和泉市の久保惣記念美術館では、江戸文化の展示の中に、はんぺん職人の浮世絵資料も紹介されていました。
・宮城大学では、ヨシキリザメの構造や食感に関する研究が進められており、素材と製法の科学的分析が行われているとのことです。
こうした取り組みからも、はんぺんがただの食品ではなく、日本の文化と知恵が詰まった伝統的食材であることがわかります。
焼くだけでも絶品!おすすめはんぺんレシピ
番組では、手軽に楽しめる家庭用レシピも紹介されていました。ふわふわ感を活かした調理法で、シンプルながら奥深い味わいが楽しめます。
・焼きはんぺん
→フライパンで両面を焼くだけ。表面はこんがり、中はふわふわ。しょうゆや七味を少しかけると美味。
・うに焼きはんぺん
→はんぺんの上にウニをのせてトースターや魚焼きグリルで焼く。
→大葉やしょうが、みょうがを添えると香りも味わいもアップ。
はんぺんは調味料を加えなくても、素材のうまみと空気を含んだ軽い口当たりが楽しめるので、おつまみにもおかずにもぴったりです。
おわりに
「チコちゃんに叱られる!」2025年5月30日放送回では、はんぺんの意外な正体や背景にある歴史、使われる魚の種類や調理法の工夫まで、盛りだくさんの内容が紹介されました。普段は気にせず食べていた「はんぺん」が、江戸時代の知恵と工夫、そしてサメ漁の副産物から生まれた和の技術の結晶であることに、多くの人が驚いたのではないでしょうか。
これからはスーパーで売られているはんぺんを見かけたとき、どんな魚が使われているのか、どんな地域の製法なのか、少し意識して見てみるのも楽しいかもしれません。次回の放送でも、身近な疑問に潜む驚きの真実に注目です。
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