激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜そばSPが大河ドラマ「べらぼう」と夢のコラボ
2025年8月12日に放送された「激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜」は、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」との特別コラボ回。テーマは日本の食文化を象徴するそばです。全国から集まったアマチュアのそば職人たちが、自分の好きな食材を生かしたオリジナルそばで勝負しました。ゲストにはドラマ出演中の山路和弘さん、そして審査員としてタサン志麻さん、堀井良教さん、小高孝之さんが登場。応援団長は岡田結実さんが務め、笑顔と緊張が交差する45分間でした。
そば頂上決戦の舞台とルール
今回のそば頂上決戦には、全国から応募が寄せられた中から書類審査で選ばれた3名が出場しました。それぞれが1か月間という限られた試作期間を使い、何度も試作と改良を重ねて本番に挑みます。ルールは1人前あたりの食材費を1000円以内に抑えること。そしてテーマは「あなたの好きな食材を生かすオリジナルそば」。この条件のもと、畑や市場、さらには家庭の台所からも、多彩で個性的な食材が集められました。参加者は単に味を追求するだけでなく、自分の背景や思いも料理に込めています。
エントリーNo.1 小板橋みくるさん
福島県猪苗代町在住の高校生、小板橋みくるさんは、地域学習の授業でそば作りを学び続けてきました。今回使用したのは、地元・猪苗代湖に自生するヒシという食材。ヒシは硬い殻に包まれ、中の実は白く、栗のような香りとやさしい甘みがあります。小板橋さんはこれをそば粉に練り込み、独特の香りと風味をそばに加えました。地元愛が強く、料理を通して猪苗代の良さを全国に知ってもらいたいという強い思いが込められています。
エントリーNo.2 海老根慎太郎さん
神奈川県相模原市在住の海老根慎太郎さんは、医療機器メーカーで営業職をしながら、そば打ち歴3年の腕前を持っています。月に2回はそば打ち道場に通い、それでも満足せず自宅でも練習を重ねてきました。今回は、父と一緒に家庭菜園で育てた葉玉ねぎを使用。葉玉ねぎは甘みと香りが強く、加熱するとさらに旨みが引き立ちます。これを海老と組み合わせ、発酵させた特製のあえそばに仕上げました。家族との思い出と手間が詰まった一品です。
エントリーNo.3 武石眞澄さん
東京都新宿区在住の主婦、武石眞澄さんは、自らそばの実を栽培するほどのこだわり派です。今回のそばは、粗さの異なる14種類のそば粉をブレンドし、香りや食感のバランスを緻密に計算しています。さらに選んだ主役食材はカキ。ただのカキではなく、酢に漬けるという特別な調理法を採用しました。この方法は、武石さんにとって過去の思い出とつながるもので、カキの旨みを閉じ込めながら爽やかな酸味を加える効果があります。手間を惜しまず仕上げたそばは、見た目も香りも豊かな逸品です。
個性あふれる3つのそば
武石眞澄さん「香薫カキそば 北のあじわい」
武石さんが作り上げたのは、海の恵みとそばの風味を一度に楽しめる一品です。酢に漬けたカキは、旨みが凝縮されつつも爽やかな酸味が加わり、食欲をそそります。その力強いカキの味わいに負けないよう、そばは粗さの異なる14種類の粉をブレンド。噛むほどに香りが広がり、審査員からも味の深みとバランスの良さが高く評価されました。見た目にも艶やかなカキと艶のある麺が美しく、北国の食材を存分に堪能できるそばです。
海老根慎太郎さん「父の葉玉ねぎと海老の発酵あえそば」
海老根さんのそばは、家庭の温かさと発酵の奥深い味わいが詰まった料理です。葉玉ねぎは甘みがあり、発酵によって旨みがさらに引き出されます。そこに燻製した海老を組み合わせることで、香ばしさと風味の広がりが加わりました。葉玉ねぎは家庭菜園で父と育てたものを使用しており、その思い出も一皿に込められています。燻製香と発酵の複雑な味わいが重なり、審査員に強い印象を残しました。
小板橋みくるさん「猪苗代のいっぱい〜辛みとうまみたっぷり麻辣湯そば〜」
小板橋さんは、地元・猪苗代の個性を最大限に生かした麻辣湯そばを披露しました。スープのベースにはザリガニを使用し、甲殻類ならではの濃厚な旨みを引き出しています。そこに花椒や唐辛子の辛みを加え、旨みと辛さのバランスを巧みに調整しました。そばには地元のヒシを練り込み、香りとほのかな甘みをプラス。地元の湖や畑から生まれた食材が見事に調和し、見た目も鮮やかな一杯に仕上がっています。
審査と結果
3つのそばが揃った試食審査では、それぞれの一皿に込められた技術と工夫がはっきりと伝わりました。審査員は麺の打ち方、食材の組み合わせ方、そして味の仕上げ方まで細かくチェック。香りや舌触り、見た目の美しさも重要なポイントとなりました。どの料理も完成度が高く、甲乙つけがたい状態が続きました。
優勝を手にしたのは…
最終的に頂点に立ったのは、小板橋みくるさんの「猪苗代のいっぱい〜辛みとうまみたっぷり麻辣湯そば〜」です。ザリガニの旨みをベースに、花椒と唐辛子で辛さを効かせたスープは、一口目から印象的な刺激と深みを感じさせました。そばに練り込まれたヒシの香りと甘みが、辛さをやわらげつつ全体をまとめ上げています。地元食材への愛情と、他にはない独創性、そして食べた瞬間のインパクトが総合的に評価され、見事優勝を飾りました。
番組を見て感じたこと
今回の放送は、大河ドラマ「べらぼう」との特別コラボというだけでなく、そばという日本の食文化を舞台にした“食の真剣勝負”でした。見ていてまず感じたのは、参加者それぞれの背景や物語がそのまま料理の味や個性に表れていたことです。単なる料理番組ではなく、「なぜこの食材なのか」「どうしてこの作り方なのか」という理由が明確にあり、それが視聴者にも自然と伝わってきました。
特に印象に残ったのは、地元・猪苗代の食材ヒシを使った小板橋みくるさんのそば。若さと情熱、そして地域を愛する気持ちが一杯に込められていて、食材の新しい可能性を見せてもらった気がします。ザリガニの旨みと麻辣の刺激を組み合わせる発想は、見た目にも味にもインパクトがあり、優勝も納得でした。
一方、武石眞澄さんの「香薫カキそば」は、経験と技術が生み出す安定感のある味わいが魅力。14種類の粉をブレンドする繊細さと、思い出の調理法である酢漬けカキの組み合わせが、深い余韻を残しました。
海老根慎太郎さんの「父の葉玉ねぎと海老の発酵あえそば」は、家庭の温もりとプロ顔負けの発酵技術が融合していて、香りの広がりがテレビ越しにも伝わってきました。
全体を通して感じたのは、この番組が単なる料理対決以上の価値を持っていることです。参加者の背景や食材の物語をしっかり描くことで、視聴者が「この一皿を食べてみたい」と強く思える。そんな力を持った回だったと思います。
コメント