魅惑のスパイスが火花を散らす!“チキンカレー頂上決戦”の舞台裏へ
『激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜』(NHK総合・2025年10月22日放送)でテーマに選ばれたのは、「鶏の部位を3種類以上使うチキンカレー」。
この難題に挑んだのは、全国から選ばれた3人のアマチュア料理人。
どの一皿にも人生、情熱、そして“カレー愛”が詰まっていました。ここでは3人の挑戦をひとりずつ紹介します。
大阪・泉山友子さん 家庭の知恵とスパイスが融合する“チキン組曲”
最初の挑戦者は、大阪・箕面市在住の主婦 泉山友子さん(52)。料理歴30年、家族や近所の人々に長く愛される「家庭の味の達人」です。
泉山さんのテーマは『チキン組曲 3種カレーが奏でるハーモニー』。その名の通り、3種類のルーを組み合わせ、異なる部位と素材を“音楽のように調和させる”発想で挑みました。
使った鶏の部位は、もも肉・むね肉・ハツ・レバー、そしてアクセントに豚バラ肉。鶏のうまみを引き立てるために、あえて異なる脂質と食感をもつ豚肉を少量加え、深みのある味わいに仕上げました。
3つのルーの構成は以下の通りです。
-
ミートボール×ねぎ×ヨーグルト:ヨーグルトの酸味とねぎの香りが軽やかな“序曲”のような味わい。
-
鶏もも×黒豆ペースト×ココナツミルク×トマト:甘みとスパイスが絡み合う、濃厚でまろやかな“中盤の旋律”。
-
レバー×ハツ×生クリーム×りんご:コクとほのかな甘さで締める“終章”。
30年の経験が生み出した構成力は圧巻。家庭料理の枠を超え、プロ顔負けのバランスを見せました。
「鶏の個性を尊重しながら、一皿で物語を作りたい」という思いが、味の中にしっかりと宿っていました。
北海道・猪澤航さん 母の記憶を受け継ぐ“家族を結ぶチキンカレー”
続いて登場したのは、北海道・網走市の郵便局長 猪澤航さん(53)。料理歴はなんと40年。これまで作った料理は1000品を超え、地元では“郵便局のカレー名人”として知られています。
猪澤さんのテーマは『網走の恵み♪ 家族を結ぶ昔ながらのチキンカレー』。
使用した鶏の部位は、もも肉・せせり・手羽元・ハツ・皮の5種類。さらに“北海道のソウルフード・ザンギ”を要素として組み込み、地元食材で作る欧風チキンカレーを完成させました。
このカレーには、忘れられない母の記憶が込められています。猪澤さんが12歳のとき、母親は重い病で入院。しかし最期の8日間、退院して息子に料理を教え続けたといいます。
「食べ盛りのあなたに、これからもごはんを作れるように」と、母が残してくれたレシピノート。それが今も猪澤さんの台所にあります。
そんな思いをのせたチキンカレーは、ルーを口にした瞬間にやさしさが広がる味わい。
じっくり炒めた玉ねぎの甘みと、鶏の5部位から出る旨味が見事に調和。
審査員の大原千鶴さんも「懐かしさと温かさが伝わる」と感想を口にしました。
猪澤さんにとってこの一皿は、料理というより“母との会話”。
「食卓には、いつも誰かの思い出がある」――そんなことを感じさせる一品でした。
富山・登坂拓也さん 科学と情熱が融合した“Three爛火チキンカレー”
最後の挑戦者は、富山・魚津市の化学エンジニア 登坂拓也さん(32)。
テーマは『Three爛火チキンカレー〜うまみ・香・食感 マトリックスプレート〜』。
まさに研究者らしいネーミングです。
登坂さんは「カレーは化学だ」という信念のもと、スパイスの反応を分子レベルで研究してきました。
自作のホットプレートを使い、1℃単位で温度を調整。
焙煎したスパイスをブレンドして作ったのが、スリランカ発祥のローストトゥナパハ。
フェンネル・クミン・ターメリック・ガラムマサラなどを組み合わせ、黄金比を導き出しました。
使用した鶏の部位は、親鳥の皮・むね肉・もも肉・レバーの4種類。
親鳥特有の強いうまみと、スパイスの奥行きを融合させることで、食感と香りのマトリックスを形成。
化学の知識を駆使した緻密な温度管理と味の設計に、審査員たちは驚きを隠せませんでした。
さらに職場の同僚やその家族にも試食を依頼。南インド出身の男性が「むっちゃおいしい!」と絶賛するほどの完成度。
科学的理論と家庭的温かさが同居する、唯一無二のチキンカレーが完成しました。
優勝は登坂拓也さん!“うまみ・香・食感”で圧巻の統一感
3人のカレーが出そろい、審査員 稲田俊輔・有澤まりこ・大原千鶴 の試食が始まりました。
どの皿にもストーリーがあり、甲乙つけがたい戦い。
しかし最終的に頂点に立ったのは、富山の登坂さん。
「最小限のスパイスで最大限のうまみを引き出している」「鶏の部位が完全に調和している」「作り手の意思が強く伝わってきた」――審査員全員がその完成度に納得。
登坂さんの“科学と情熱のカレー”が、見事グランプリを勝ち取りました。
カレーがつなぐ、人・地域・物語
今回の放送は、単なる料理対決ではなく、“人生と料理の融合”を描いたドキュメンタリーでもありました。
大阪の家庭の知恵、北海道の母の愛、富山の科学の情熱――3人の人生が、スパイスの香りとともに交差しました。
家庭のキッチンでも真似できるヒントは多くあります。
・鶏の部位を変えるだけで味が大きく変化する
・スパイスは焙煎時間で香りが変わる
・ヨーグルトやフルーツを少し加えると味に奥行きが出る
それぞれの工夫が、あなたのカレーにも新しい可能性をもたらしてくれるでしょう。
まとめ
・テーマは「鶏の部位を3種類以上使うチキンカレー」
・挑戦者は大阪の主婦・泉山友子さん、北海道の郵便局長・猪澤航さん、富山の化学エンジニア・登坂拓也さん
・それぞれが人生をかけた一皿を披露
・優勝は登坂さんの『Three爛火チキンカレー〜うまみ・香・食感 マトリックスプレート〜』
スパイスが香るたびに、料理に込められた思いが蘇る――。
“チキンカレー”という身近な料理が、人の心をここまで動かすことを改めて感じさせてくれる放送でした。
出典:NHK総合『激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜』2025年10月22日放送(https://www.nhk.jp/)
気になるNHKをもっと見る
購読すると最新の投稿がメールで送信されます。


コメント