ふたを開けた瞬間ワクワクが広がる“秋弁当”対決を深掘りします
2025年11月19日放送の激突メシあがれ〜自作グルメ頂上決戦〜では、「ふたを開ければ笑顔になる秋弁当」をテーマに、3人のアマチュア料理家が腕を競いました。限られた食材費の中で、どう個性を出し、どんな工夫で“笑顔”を生み出したのか。それぞれのお弁当に込めた思いと技を整理しながら、読者が実際の弁当づくりで活かせるポイントも合わせて紹介します。番組の臨場感をそのまま届ける形で、調理から審査までの全エピソードを反映した内容になっています。
NHK【あさイチ】冷めても美味しい!お弁当にもぴったり『ごまみそつくね』の作り方・レシピ ヘルシーきのこアレンジ|2025年10月27日
愛知・瀬戸市 珠代さん「どちらがお好き?欲張ってちょうだい♡ダブルのり弁」
秋弁当対決に最も“映え”を持ち込んだのが、SNSでも人気の弁当インフルエンサー珠代さんでした。試作期間1か月を経て臨んだ勝負弁当は、15種類ものおかずをぎっしり敷き詰めた『どちらがお好き?欲張ってちょうだい♡ダブルのり弁』。ふたを開けた瞬間に色とりどりの世界が広がる、まさに芸術作品のような構成です。
メインのニギスは、出汁の旨味をしっかり含ませた天ぷらと、衣を2度づけして冷めてもサクサクが続くフライの2種類を用意。ソースをかけず素材の味を伝えるこだわりが光りました。米粉の皮を使った花シューマイは、豚肉の濃い旨味が引き立ち、チキンロールはサツマイモと栗の甘さをベーコンの塩気が包み込む秋らしい味わい。紫キャベツの酢漬け、コロコロ紫いも、ラディッシュの酢漬けなど、彩りを支える副菜も計算され、食べ進めるほど新しい発見がある弁当に仕上がっていました。
兵庫・神戸市 田島つむぐさん「みんなで楽しむ秋色パエリアいなりデリ弁当」
レシピ数300、料理教室で磨いた腕を持つ高校生、田島つむぐさん。憧れのタサン志麻さんの前で挑んだ弁当は、魚介の旨味あふれるパエリアをおいなりさんに詰めた斬新な『みんなで楽しむ秋色パエリアいなりデリ弁当』でした。
エビ・イカ・ムール貝の旨味がしみ込んだパエリアは、赤ワインとハーブで味付けした油揚げとの相性が驚くほど良く、見た目の華やかさと食べやすさを両立した構成。メインはローストビーフで、梨を使ったソースが肉の重さを軽くし、最後まで飽きずに食べられる仕上がりでした。デザートにも余念がなく、豆乳の優しい甘さを生かし、かぼちゃあんとリンゴソテーをのせた豆乳パルフェをはじめ、秋らしさをたっぷり詰め込んだ充実の内容でした。お弁当でここまで「多層的な味の組み合わせ」が成立することを示した、完成度の高い洋風弁当でした。
東京・町田市 月足里佳さん「わが子にささげる笑顔になる毎日おべん」
幼稚園の調理補助として働く月足里佳さんが作ったのは、家族への思いをそのまま詰め込んだ『わが子にささげる笑顔になる毎日おべん』。豪華さよりも、食材の良さがまっすぐ伝わる素朴さが魅力のお弁当でした。
メインのつくねバーグは、塩麹のやわらかな塩気とレンコンのシャキシャキ食感がポイント。だし巻き卵、サツマイモの甘煮、紫キャベツの酸味が全体の味のバランスを整え、日々の食卓で愛されるような“自然体のおかず”がそろいました。見た目よりも「毎日食べたいと思える味」に重きを置き、手をかけすぎない丁寧さが印象的でした。
優勝は 珠代さん!技術とバリエーションの幅が評価
審査の結果、頂点に立ったのは珠代さんの『どちらがお好き?欲張ってちょうだい♡ダブルのり弁』でした。審査員が評価したのは、飽きさせない構成力、15種類ものおかずを扱いながら全体の調和を失わない技術力、そして見た目の華やかさと味の奥行き。細かな工夫の積み重ねが、圧倒的な完成度へつながったといえます。
まとめ
今回の秋弁当対決は、それぞれが違う方向性で“ふたを開けた瞬間の笑顔”を作り上げた回でした。SNS映えの華やかさ、プロ並みの技と発想、家族のための安心感。どれも秋の食材を引き立て、温かい気持ちになれるお弁当ばかりでした。3人の工夫や味の組み立て方は、日々のお弁当づくりにも応用できるポイントが多く、食材の組み合わせ方や味のアクセント作りなど、すぐに試せるヒントが詰まっています。次のお弁当作りがもっと楽しくなる、そんな学びの多い放送でした。
野上優佳子の専門性と魅力を深掘り
野上優佳子さんは、料理家であり、独自の視点で“お弁当”を研究し続けてきたお弁当コンサルタントとして知られています。お弁当づくりを学生時代から始め、青森県で生まれ育ち、東京学芸大学教育学部を卒業したあとも、30年以上にわたりお弁当と向き合い続けてきました。現在は3人の子どもの母として日々台所に立ちながら、企業のプロダクト監修、メディア出演、講演など幅広い活動をしています。家庭での実践と専門的な視点が同時に積み重なっていることが大きな特徴です。
彩り・バランスへのこだわり
野上さんが特に大切にしているのが、彩りとバランスの考え方です。見た目を整えるだけでなく、食べる人が「おいしそう」と感じる色の組み合わせを研究してきました。**赤・黄・緑・白・黒(茶)**を取り入れると、お弁当全体が自然と整って見えるという視点は、多くの人に役立つ考えです。さらに、この色の組み合わせは栄養面でも偏りにくく、家庭の食卓にそのまま取り入れやすい工夫になっています。忙しい日でも一目でバランスを判断できるところが魅力です。
続けられるお弁当の仕組みづくり
毎日のお弁当づくりを無理なく続けるには、作り置きやおかずの組み合わせが大切という視点を、野上さんは長年の経験からまとめています。何日も続けるために工夫するのではなく、生活の中で自然に続けられる工夫を重視しています。たとえば冷めても味が落ちにくいおかずの選び方や、お弁当箱の形を生かした詰め方など、実際に家庭で役立つ工夫が多く、どの提案にも生活に寄り添う考えが込められています。この積み重ねが、無理なく続くお弁当づくりにつながります。
詰め方と見せ方の工夫
野上さんはお弁当箱の形や深さ、素材ごとの特徴をしっかり理解し、どのように詰めると美しく見えるかを長年研究してきました。これまでに300個以上の弁当箱を実験的に使用した経験があり、箱の違いが料理の収まり方にどのように影響するかを実際に体験してきました。お弁当箱をひとつの“枠”と考え、その中にどう配置すれば見映えが良くなるか、食べやすくなるかという視点は、コンテンツ制作の経験が活かされており、お弁当を「食のメディア」としてとらえる独自の考えにつながっています。
弁当づくりを深める情報発信
書籍の出版、企業向けのプロダクト企画、新聞やWebメディアでの発信など、野上さんの活動は多方面に広がっています。『学童弁当』『楽しくつくって毎日おいしいこどものおべんとう』『スープジャーで楽するおべんとう生活』といった著書では、家庭で実際に作れるお弁当の工夫をわかりやすく伝えています。家庭で使えるレシピだけでなく、道具へのこだわりや生活リズムに合わせた工夫が紹介されており、毎日の弁当づくりを支える視点が多く詰まっています。メディアを通じて、お弁当という身近なテーマをより深く、広く伝え続けている点に、野上さんの活動の大きな意味があります。
以上のように、野上優佳子さんは、家庭で作るお弁当を“日常の中の大切な文化”として積み重ねてきた人です。彩りの考え方、続けるための仕組み、詰め方や道具の使い方など、どれも生活者に役立つ視点が揃っています。お弁当づくりに向き合う多くの人が参考にできる、豊かな知識と経験が広がっています。
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