コメの裏側を調査
2025年6月16日(月)放送の「あさイチ」(NHK総合)では、「コメの裏側」をテーマに、価格高騰の原因から備蓄米・輸入米の現状まで幅広く紹介されました。スーパーやコンビニで始まった備蓄米の販売や、価格がどこまで下がるのかなど、今まさに注目を集めている“ごはん事情”に迫りました。放送後、米を買い控える声や輸入米への関心も広がっており、家庭の台所にも影響する話題です。
米価格が高騰した本当の理由
現在、5キロあたりのお米の価格は平均で約4285円に達しており、これは昨年と比べて2倍以上の水準です。こうした高騰の背景にはいくつもの要因があります。
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2023年の猛暑と豪雨による不作
特にコシヒカリなどの人気品種は高温に弱く、品質と収穫量が大きく落ち込みました。 -
外国人観光客の増加による外食需要の回復
コロナ禍が明けてインバウンド需要が一気に戻り、飲食店での米の消費が急増しました。 -
地震の臨時情報により、家庭での“買い溜め”が発生
災害への備えとして、多くの人が急いで米を買い占める動きが広がりました。 -
長年続く減反政策と農業人口の高齢化
作付面積は減少し続け、若い担い手が不足しています。このため急に増産するのが難しい状況です。 -
肥料や資材の高騰、燃料費の増加
生産者の負担が増えているため、販売価格にも反映されやすくなっています。
このように「自然」「政策」「消費」「コスト」など、さまざまな原因が複雑に絡み合って今の価格になっているのです。
備蓄米の販売とその効果
6月から、政府が保有している備蓄米をコンビニやスーパーで販売する動きが加速しています。これは、価格高騰を抑える目的で随意契約方式により古米を放出するものです。農林水産省によると、6月13日時点で133社が申し込み、すでに約4万5000トンの備蓄米が出回る見込みです。
主な販売例は以下の通りです。
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ファミリーマート:1kgあたり388円で一部地域にて販売開始
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ローソン:1kg389円・2kg756円で6月14日から全国展開
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セブン-イレブン:無洗米2kgで約800円の想定価格で準備中
地方のスーパーでも、兵庫県「マルアイ」では5kg2111円、広島のイオン系列では5kg2138円と、どちらも販売開始と同時に完売するほどの人気を見せました。消費者からは「味は普通においしい」「古米とは思えない」といった肯定的な声が多く聞かれています。
ただし、精米や物流に関わる負担が増えており、販売期間を8月末からの延長を希望する声もコンビニ各社から出ています。
銘柄米は2000円に戻るのか?
番組では、よく話題に上る「銘柄米は5キロ2000円に戻るのか?」という疑問にも触れました。専門家の試算によると、精米・卸・小売まで含めた実際の原価は5kgで約2007円となっており、これ以上安くするのは非常に難しいことが分かります。
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生産(農家):1kgあたり約1292円
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集荷(JAなど):約260円
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卸売:約176円
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小売:約279円
このように、生産から消費者に届くまでには多くの人と工程が関わっており、コストが積み重なっています。特に生産コストは全体の約65%を占めており、価格を抑えるには流通全体の見直しが必要となります。つまり、銘柄米が再び2000円台に戻る可能性はかなり低いというのが現実です。
輸入米はどんな味?驚きの実力と広がる可能性
価格の高止まりが続く中、注目されているのが「輸入米」の存在です。政府の備蓄米とともに、価格抑制の新たな選択肢として、輸入米を活用する動きが静かに広がり始めています。今回の放送では、アメリカ産や台湾産のお米を実際に試食し、国産米との味や風味の違いを比較する様子が紹介されました。
輸入米に対しては「パサパサしているのでは?」「香りや風味が違うのでは?」というイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし、試食した出演者たちからは、「思ったよりおいしい」「香りに違和感がない」「丼ぶりや炒飯なら十分使える」といった前向きな感想が多く聞かれました。国産米と比べて粘りは少ないものの、さっぱりとした口当たりで、料理によってはむしろ使いやすいという一面もあるようです。
特に外食産業の現場では、コストの観点からすでに輸入米を使っている例が増えてきており、ラーメン店、牛丼チェーン、弁当工場などで実績があることも紹介されました。味の安定感と価格の手ごろさから、飲食店や業務用の需要は今後さらに拡大していくと見られています。
また、番組内では「国産でなければダメ」という意識自体が少しずつ変わってきているという点にも触れられました。これまで「国産米=安心・高品質」という認識が根強かった日本において、物価高や食料不安などの影響で、“味と価格のバランス”を重視する動きが家庭にも広がり始めているのです。
さらに、輸入米の品質も年々向上しており、日本向けに品種改良されたお米や、保管・精米の技術の進歩により、味の面でも以前とはまったく違うレベルに達していることが分かります。日常の主食としてだけでなく、弁当用、カレー用、冷凍ごはんなど用途別に選ぶスタイルもこれから広がっていくかもしれません。
このように、輸入米は「値段が安いだけの代用品」という見方から、日常に取り入れられる“第2の選択肢”として再評価されつつあります。消費者の意識が柔軟に変化していけば、輸入米は今後の食料安定の柱のひとつとなる可能性が高まっています。
今後の価格の見通しと気になるポイント
お米の価格が高騰し続けている中で、今後どこまで値下がりするのかは、多くの家庭にとって重要な関心事です。政府はすでに60万トン以上の備蓄米を市場に放出しており、スーパーやコンビニを通じて広く流通させています。農林水産省の小泉農相は、「必要に応じて備蓄米をさらに放出する」と明言しており、今後も状況を見ながら柔軟に対応する構えを見せています。
また、石破大臣は国会で「目指す価格は5kgあたり3000円前後」という目標を示しました。この価格は、以前のように家庭で買いやすい水準であり、現状の2倍近い価格からすれば大きな引き下げとなります。政府としても、消費者負担を軽減するため、価格安定に向けた強い意志を持って対策を進めていることがうかがえます。
民間の見通しとしては、流通経済研究所が最新の予測を出しており、それによれば「6〜7月には5kgあたり4000円を下回る水準に落ち着く可能性がある」とのことです。さらに、8月以降に新米が市場に出回る時期になれば、収穫量が一定以上確保される前提で、3500円台までの価格下落が期待できると分析しています。
しかし一方で、必ずしも楽観視できる状況ばかりではありません。現場ではいくつかの不確定要素が価格の行方を左右しています。
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2025年夏の猛暑や天候不順が続いた場合、収穫量が再び減少する恐れがあります。とくに高温に弱い品種では品質が安定しない可能性もあります。
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輸入米の供給量や価格も大きなカギになります。もし国際情勢や為替の変動によって輸入が滞った場合、価格の調整効果が薄れるおそれがあります。
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流通や販売の現場がどこまで対応できるかも重要です。備蓄米が十分にあっても、精米や配送に負担がかかれば、消費者に行き渡るまでに時間がかかる可能性があります。
このように、今後の価格は下がる方向に動いているとはいえ、まだ不透明な要素が多く残っているのが実情です。政府の追加対策と、新米の出来具合、そして輸入米の受け入れ拡大など、いくつもの条件がうまく重なれば、家庭にとって安心できる価格帯に戻る日も遠くないかもしれません。今後も動向をこまめにチェックし、賢く買い物する姿勢が求められそうです。
三重・四日市市の名産「かぶせ茶」の魅力
番組内のリポートコーナーでは、三重県四日市市の名産「かぶせ茶」が紹介されました。「かぶせ茶」は、収穫前の茶の木に黒い覆いをかぶせて日光を遮ることで、うま味と甘みが増すのが特徴です。玉露のように香り高く、煎茶よりも渋みが少ないのが魅力で、四日市では古くから作られています。
リポートでは、地元の茶農家が丹精込めて育てた「かぶせ茶」の畑の様子や、手作業での収穫風景が映し出されました。さらに、地元の若手生産者が新しいお茶の飲み方として、冷茶やラテ、スイーツとの組み合わせを提案している様子も紹介され、お茶文化の進化と地域活性化の取り組みが伝えられました。
とくに印象的だったのは、お茶農家の方が「今の若い人たちにも“お茶っておいしい”と感じてほしい」と話していた場面で、伝統を守りながら新しい飲み方を探る姿勢が感じられました。
富山・富山市から生中継「あやめ団子」
中継コーナーでは、富山県富山市の初夏の風物詩「あやめ団子」が紹介されました。あやめ団子は、端午の節句にちなんで作られる団子で、あやめの葉を模した形と色合いが特徴的です。もっちりとした生地に、こしあんがたっぷり詰まった見た目にも美しい和菓子で、富山の老舗和菓子店などで季節限定として販売されています。
中継では、地元のお菓子職人が団子を一つずつ丁寧に仕上げる様子が映され、もち米の蒸し方やあんこの練り加減など、職人技が光る工程に注目が集まりました。また、富山ならではの風習として、あやめ団子は「家族の健康や子どもの成長を願うお菓子」として親しまれており、地域の人々の思いも伝わってきました。
みんな!ゴハンだよ「お手軽!油揚げでトンカツ風に」
料理コーナー「みんな!ゴハンだよ」では、料理研究家の脇雅世さんが登場し、「お手軽!油揚げでトンカツ風」というユニークなレシピを紹介しました。
この料理は、油揚げの中にスライスチーズやハムを挟み、衣をつけて焼くことで、お肉を使わずにトンカツのような食感と味わいを再現できる一品です。外はカリッと、中はジューシーで、少ない材料でも満足感のある主菜として仕上がります。
作り方のポイントとして、油揚げの開き方や、中身が飛び出さないように詰めるコツ、衣のつけ方なども丁寧に解説されており、初心者でも作りやすい構成になっていました。節約にもなり、ボリューム感もあることから、視聴者からは「今夜作りたい!」という声が多く寄せられました。
まとめ
今回の「あさイチ」では、お米を通じて日本の食料事情や農業の今を知ることができました。価格、流通、政策、そして食卓までを一気につなぐ情報は、家庭での選択にも役立つ内容ばかりでした。今後も、私たちの主食である「ごはん」に関する動向から目が離せません。
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