コメのウラ側を大特集!備蓄米の仕組み・価格高騰の理由・輸入米の実態まで徹底調査
2025年6月16日(月)放送のNHK『あさイチ』では、普段何気なく食べている「コメ」の知られざる現実をテーマにした特集が放送されました。価格高騰の背景から備蓄米の歴史、輸入米の増加、農家の苦悩まで幅広い視点で紹介され、視聴者からも多くの反響が寄せられました。ここでは放送内容をわかりやすくまとめてご紹介します。
コメの価格がなぜ高い?背景にある複雑な事情
2025年5月26日から6月1日にかけてのスーパーでのコメの販売価格は、5キロあたりで前年の同時期と比べて約2倍となっており、多くの家庭がその価格上昇を実感しています。日々の食事に欠かせない主食であるコメが、なぜここまで高騰しているのか。番組ではその背景にある複数の要因を紹介していました。
まず大きな要因のひとつが、物価の上昇です。エネルギー価格や資材の高騰に加え、物流費の増加も影響しており、コメの生産・流通コストが全体的に跳ね上がっています。さらに、訪日外国人観光客が増加したことでインバウンド需要が急増し、業務用のコメの需要も上昇しました。これにより、家庭向けのコメが不足し、価格が押し上げられる形となっています。
また、2024年の猛暑によってコメの品質にばらつきが出たことも供給不安に繋がりました。気温が高すぎると稲の育成に影響が出るため、例年のような収穫が見込めず、結果として市場に出回る量が減ったことも大きな理由です。
・2024年の猛暑でコメの品質が不安定になり、良質なコメの供給が減少
・飲食店向けやホテルなど、インバウンド対応の需要が急拡大し供給圧迫
・集荷競争も激しくなり、コメを買い集める企業間での価格の取り合いが発生
こうした中で取材されたのが、新潟県南魚沼市で農業を営む青木拓也さんです。祖父の代から続く田んぼを守りながら、日々の生産に取り組んでいます。今年は、主食用のコメの生産量を増やそうと準備を進めてきましたが、種もみが思うように手に入らず、想定していた規模には届きませんでした。コメの生産は計画から実際の収穫まで時間がかかるため、急激な需要に即座に対応するのは難しいのが現実です。
また、コメ農家に重くのしかかっているのがコストの上昇です。ロシアによるウクライナ侵攻以降、化学肥料の価格が約2倍に高騰しました。さらに、農業用機械の購入価格も上昇しており、修理費も増加しています。これらの費用は最終的なコメの価格にはあまり反映されず、農家の負担として残っています。
・肥料代が2倍以上に上昇
・機械の導入や維持にかかる初期投資・修理費用が高額
・収穫後に得られる利益が見合わず、赤字を抱える農家が95%にのぼる
こうした事情から、多くの農家が本業とは別に仕事を持ちながら、週末だけ田んぼを管理する兼業スタイルでなんとか農業を続けています。中には、自費で田んぼを維持していて、農業による収入はマイナスになっているという声も紹介されました。
現在、政府は主食用のコメの増産を呼びかけ、飼料用や加工用のコメを減らして対応しようとしていますが、それでも増産見込みは40万トン程度。需要に対して十分とは言えず、今後も価格がすぐに下がる見込みは立っていません。農家や流通関係者の努力が続く中、私たちが日々食べるお米の裏にある現実を改めて考える機会となりました。
備蓄米の役割とその流通の仕組み
1993年、記録的な冷害により日本中でコメが不足した「平成の大凶作」をきっかけに、政府は万が一の食料危機に備えて備蓄米制度を導入しました。これは、深刻な不作や災害時に国民の食を守るために一定量のコメを国家が買い取り、長期保存しておく仕組みです。
現在の備蓄量は玄米91万トンにのぼっていましたが、今回の価格高騰を受けて81万トンを市場に放出。これにより、残りの備蓄は約10万トンとなりました。これは国民1人あたりに換算すると約830グラムの備えに相当します。
・備蓄米は全国300か所の専用倉庫で管理されています
・保管場所は米どころである東北地方に集中していることが特徴
・備蓄米は5年間保管され、その後は飼料用や海外援助用に再利用されています
番組では、広島県東広島市にある大型精米工場の様子が紹介されました。この工場では、備蓄米を日々精米し、弁当店や飲食店に出荷しています。1日に100〜150トンもの精米作業が行われており、需要の高さと流通の活発さが伝わってきました。
これらの備蓄米は、通常のコメとブレンドされて使われることが一般的です。例えば、備蓄米2に対して通常米8の割合で混ぜられ、食味を保ちながら価格を調整しています。こうした工夫により、私たちは気づかないうちに備蓄米を口にしていることもあるのです。
・備蓄米は入札によって民間業者に出荷され、業務用として広く流通
・その一方で、随意契約も含まれるため、供給のスピードにばらつきがあることも指摘されています
・小売業者の多くが精米設備を持っていないため、一度卸売業者に精米を依頼する必要があり、これが流通の時間的ロスにつながる場合もあります
このように、備蓄米は非常時のセーフティーネットであるだけでなく、日常の食卓にも知らず知らずのうちに役立っています。しかし、その流通構造には改善の余地もあり、いかに迅速かつ柔軟に供給できるかが今後の課題となっています。今回の放送では、こうした備蓄米の意義と実情が具体的な現場とともに紹介され、視聴者にとっても大きな学びとなる内容でした。
輸入米の増加とその味・価格の実態
コメの価格高騰が続くなか、注目されているのが輸入米の急増です。番組では、神奈川県相模原市にある輸入食材店の現状が紹介されました。そこでは、ジャスミンライスやバスマティライス、カルローズ米など、10種類以上の輸入米を取り扱っており、店内には日本ではあまり見かけない珍しい銘柄のコメが並んでいます。
なかでも人気なのが、ベトナム産のジャポニカ米です。この米は見た目も味も国産米によく似ており、5キロで3240円という手頃な価格が支持されています。番組の取材時点で、この米はわずか1か月で200トンが完売し、すでに追加の輸入が決定されているとのことです。
・ジャポニカ米にはキロあたり341円の関税がかかっており、輸入にコストがかかる
・それでも価格を抑える工夫や円安の影響を受けて、輸入量は前年の2倍以上に急増
・背景には、業務用だけでなく家庭用としても輸入米が選ばれる機会が増えてきているという流れがある
スタジオでは、アメリカ産のカルローズ米とベトナム産のジャポニカ米を出演者が試食。試食では、見た目や食感の違いについてコメントされていましたが、実際に日常の食卓で出された場合、明確な違いに気づかない人も多いのではないかという印象を受ける結果となりました。ベトナム産のジャポニカ米は、国産米と比べて粒がやや小さく、粘りや風味に微細な違いはあるものの、炊き上がりの見た目や口当たりは非常に似ています。
・輸入米は、調理方法を工夫すれば家庭料理にも十分活用可能
・物価上昇のなかで、価格と品質のバランスが取れた選択肢として注目を集めている
今後も、国産米の価格が下がらない状況が続く見通しのなかで、輸入米の存在感はますます大きくなりそうです。これまであまり馴染みのなかった海外のコメが、これからはスーパーや食卓で目にする機会が増える可能性があります。輸入米の種類や特徴を知ることで、賢くおいしく活用する選択肢も広がっていきそうです。
コメの流通経路とコストの内訳
番組では、私たちの食卓に届くまでにどれだけの人や手間がかかっているのか、コメの流通経路とその中で発生するコストの内訳が詳しく紹介されました。解説を行ったのは、流通経済研究所の折笠俊輔さんです。
まず、農家がコメを生産し、それを集荷業者が買い取って保管します。保管には低温倉庫を使うため、温度管理や出し入れにかかる費用が大きな負担になります。次に、コメは卸売業者に渡され、ここで検査や精米、袋詰め、納品といった作業が行われます。これら一連の工程にも、それぞれ人件費や設備費が必要です。
・集荷業者は低温保管費と搬出入コストがかかる
・卸売業者は品質検査・精米・袋詰め・配送費用がかかる
・小売店に届くまでに多段階の経路があるため、コストが累積する構造
こうした流通の中で大きな利益を得ている業者はほとんど存在せず、農家や集荷業者は赤字、卸売・小売業者もわずかな黒字が精いっぱいというのが実情です。消費者が「お米が高い」と感じる一方で、生産・流通に関わる多くの人が利益を得られずに苦しんでいる現実があります。
・農家の取り分は店頭価格の約65%ほど
・高騰した価格でも、実際にはコストと手間が価格に追いついていない
・中間マージンの削減や直販の仕組みなどが模索されている
また、番組内では、今後コメの価格がいつ頃落ち着くかという予測も示されました。専門家によれば、価格が下がるのは早くても来年9月以降であり、現在の供給体制や物価の状況を踏まえても、すぐに安くなる見通しは立っていないとしています。
・2026年の新米価格は、安くても5キロあたり2980円程度が目安とされている
このように、コメの流通には多くの人と工程が関わっており、それぞれがコストと労力を抱えています。消費者としても、単に価格だけでなく、背景にある仕組みを知ることで、日々の買い物や食卓の見方が変わってくるかもしれません。
富山市の“あやめだんご”と三重・四日市市の“かぶせ茶”
「いまオシ!LIVE」では、富山県富山市から“あやめだんご”が紹介されました。初夏に咲くアヤメの季節にあわせて登場するご当地だんごで、通年でも購入できる人気商品です。
「いまオシ!REPORT」では三重県四日市市から、全国一の生産量を誇る“かぶせ茶”が紹介されました。収穫前に覆いをかけて渋みを抑え、うまみと甘みを引き出したお茶で、地元のカフェでは飲み比べも楽しめるそうです。
今日の料理「油揚げのカツ」と「おからの彩りサラダ」
「みんな!ゴハンだよ」のコーナーでは、以下の2品が紹介されました。
・油揚げのカツ
豚小間切れ肉と玉ねぎに塩・こしょうをし、油揚げで包んでサラダ油で両面を3分ずつ揚げます。その後、ラップをして電子レンジで3分温め、粗熱を取ってから完成。ベビーリーフと好みのソースを添えます。
・おからの彩りサラダ
かぶ、トマト、きゅうり、紫たまねぎ、ピクルス、パセリ、ミントなどを使い、塩・こしょう・酢・砂糖・オリーブオイルで和えたさっぱりサラダです。
どちらも家庭でも再現しやすく、栄養バランスも考えられたレシピでした。
【あさイチ】油揚げで驚きのトンカツ風!脇雅世さんの節約ヘルシーレシピ|2025年6月16日
まとめ
今回の『あさイチ』では、コメに関する知識が深まる内容が盛りだくさんでした。価格がなぜ高いのか、備蓄米や輸入米の存在、そして農家の現状や流通の問題点など、日々の食卓に直結するテーマばかりです。日常的に食べているコメが、どれほど多くの人の手を経て届いているのかを実感させられる放送となりました。明日からの買い物の視点が少し変わるかもしれません。
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