「愛媛 真夏の10円プール」とは?
夏の暑さをどう乗り切るかは、誰もが毎年直面する悩みです。涼しい場所で過ごす、海やプールに出かけるなど選択肢はありますが、やはり「気軽に楽しめる場所」が求められます。そんな中で注目を集めるのが、愛媛県新居浜市にある新居浜市東雲市民プールです。通称「10円プール」と呼ばれ、子どもはたった10円、大人でも60円で利用できるという驚きの安さが大きな魅力です。この記事では、このプールがなぜ半世紀以上も人々に愛され続けているのか、読むだけで、夏の風物詩としての存在感や地域に根付いた価値が伝わるはずです。
10円プールが抱える不思議な魅力
まず、利用者が抱える疑問は「なぜこんなに安いの?」という点です。普通のプールでは数百円から数千円の入場料がかかりますが、ここでは中学生以下は10円、大人でも60円という破格の料金で楽しめます。開業は1972年。翌年から子ども料金が10円に設定され、そのまま50年以上据え置かれてきました。背景には「子どもたちに思い切り遊んでほしい」という地域の願いが込められています。この安さと長年の継続が、地元の人にとっては誇りとなり、外から訪れる人にとっては驚きとなっているのです。
初日・親子連れから始まるプールの物語(7月16日)
撮影初日の舞台は新居浜市東雲市民プール。開放は7月と8月のわずか2か月です。券売機の前に並ぶ親子に声をかけると「親子で80円で入れる」と笑顔で答えていました。週1回は必ず来るという親子連れもいて、地元の子育て世代にとっては夏の定番スポットになっていることがわかります。
また、東京からUターンして地元で働く39歳の女性、中学1年生の仲良しグループ、32歳で軽作業をしている男性、そして23歳の会社員といった幅広い世代が集まっていました。午後6時、プールが閉まるころにはそれぞれの日常に戻っていきますが、短い夏を楽しもうとする気持ちが強く感じられました。
2日目・仕事帰りや健康づくりの場に(7月17日)
翌日、一番乗りしたのは夜勤明けの男性。休みの日には必ず泳ぎに来ると話していました。地元の中学生は学校が早く終わった日に立ち寄り、プールが夏の居場所になっていることを明かします。
一方で、退職後にプールの監視員を務める人の姿もありました。地域を支える存在として、安全を守りながら自分の役割を果たしているのです。さらに、銅製錬の仕事をしながらダイエット目的で通う男性、元水泳部で昨日も泳ぎに来ていた男性など、それぞれの目的を持つ人々が集っていました。プールはただの遊び場にとどまらず、健康維持や生活の一部としても根付いていました。
3日目・夏休み直前の特別な日(7月18日)
午前中にはトライアスロン初挑戦の男性が練習のために訪れ、ウェットスーツ姿で泳ぎ込みをしていました。午後になると学校の終業式を終えた子どもたちが大勢集まり、プールはにぎやかな声であふれます。
その中に70歳の幼なじみ同士の男性がいました。幼稚園からの付き合いで「お互い空気のような存在」と語る2人。人生の長い時間を共に歩んできた仲間にとって、このプールもまた共通の思い出を刻む場になっていました。
また、20歳の頃に難病で闘病生活を送った56歳の男性は、今こうして泳げること自体が大きな喜びだと語ります。水の中での時間が、人生を支える力になっていることが伝わってきました。
最終日・夏休みが始まる朝(7月19日)
撮影最終日、この日からは夏休み。朝から小学生や家族連れが大勢押し寄せました。小学6年生の男の子は元気いっぱいに水しぶきを上げ、高知から1時間かけてやって来た家族は小旅行気分で楽しんでいました。
また、帰省した大学生の娘と父親は、久しぶりの時間をプールで過ごしていました。親子の距離を縮める場としても、地域のプールは大切な役割を果たしています。
ラストにカメラが捉えたのは、ベンチに寝そべる64歳の男性。プールのざわめきに包まれながらうたた寝する姿は、この場所の自由で温かな空気を象徴するものでした。
10円プールが映す地域の絆
「10円プール」と呼ばれる理由は、その驚くほど安い入場料です。子ども10円、大人もわずかな料金で利用でき、親子で訪れても100円以下。これだけで夏の一日を過ごせることは、物価高の中で暮らす地域の人々にとって大きな支えとなっています。
さらに注目すべきは、ここに集まる人々の多様さです。子どもから高齢者、地元の労働者や帰省中の学生まで、世代や背景を超えて同じ水を楽しんでいます。経済的な事情に関係なく誰もが集える平等な場所であり、地域コミュニティの象徴とも言えるでしょう。
設備と内容の充実
安いからといって施設が貧弱というわけではありません。ここには50mプール、流水プール、子ども用プール、ウォータースライダーといった充実の設備が整っています。流水プールは全長170mあり、流れに乗るだけでも心地よい体験です。幼児向けの浅いプールもあり、水遊び用オムツを着ければ小さな子どもでも安心して利用できます。休憩用のテントや売店も完備され、真夏の日差しを避けながら遊べるのも魅力です。料金以上の価値を提供していることが、利用者の満足度につながっています。
地域に根付いた歴史と役割
10円プールは、新居浜市の夏の風物詩として根付いてきました。半世紀にわたり続くこの制度は、地域の人々にとって「夏が来た」と実感させる存在でもあります。子どもの頃に利用した人が、大人になって自分の子どもを連れて訪れる。そうした世代を超えた循環が起こっているのです。さらに、低料金で誰もが利用できることから、家庭の経済状況に関係なく、平等に夏の楽しみを共有できる場にもなっています。この「誰でも楽しめる」という姿勢こそが、多くの人に支持される理由です。
よくある質問(FAQ)
Q:本当に10円で入れるの?
A:はい。中学生以下は2時間以内なら10円、大人は60円で利用できます。超過すると追加料金がかかりますが、それでも非常に安価です。
Q:混雑はどう?
A:夏休み期間中や週末は特に混み合います。午前中の早い時間や平日の利用がおすすめです。
Q:小さな子どもでも安心?
A:幼児プールがあり、水遊び用オムツを着ければ利用可能です。ただし、小学校3年生以下は保護者の同伴が必須です。
Q:アクセス方法は?
A:JR新居浜駅から車で約5分。市民体育館の隣にあり、駐車場も無料で利用できます。
まとめ
NHK「ドキュメント72時間」で描かれた新居浜市東雲市民プールは、単なる遊び場ではなく、人生の一部を共有する場所でした。
日常の疲れを癒す人、健康のために通う人、家族や友人と笑顔を交わす人。そこには一人ひとりの物語がありました。真夏の太陽の下、たった10円で入れるプールが、多くの人にとってかけがえのない思い出をつくっているのです。
この夏、もし愛媛を訪れる機会があるなら、一度「10円プール」に足を運んでみてはいかがでしょうか。そこにはきっと、人の温かさと夏の特別な時間が待っています。
持ち物リストと利用のコツ

ここからは、私からの提案です。新居浜市東雲市民プールを快適に楽しむためには、事前に持ち物を準備しておくことが大切です。料金が安い分、必要なものは各自で持参する必要があります。特に屋外プールのため、暑さ対策や日焼け防止の工夫も欠かせません。ここでは、必ず必要なものと、あると便利なものを整理し、さらにスムーズに利用するためのコツを紹介します。
必須の持ち物
必須アイテムは安全や快適さを守るために欠かせないものです。水着やタオルはもちろん、プールサイドで履くサンダルも別に準備しておくと安心です。東雲市民プールでは「底のきれいなサンダル」を用意するよう案内があり、プールサイドに直接持ち込むのが基本となっています。忘れると不便なので注意が必要です。
必須の持ち物 | ポイント |
---|---|
水着 | 動きやすくサイズが合ったもの |
タオル | 大判のものと小さいタオルを2枚あると便利 |
サンダル | 底のきれいなものを別に用意してプールサイド専用にする |
水筒 | 熱中症予防のために必須 |
小銭 | 入場料支払い用(大人60円、子ども10円) |
あれば便利なもの
必須ではないものの、持っていくと快適さが格段に上がるアイテムもあります。例えば日焼け止めや帽子は強い日差しを防ぐのに役立ちます。売店はありますが種類が限られるため、軽食や冷たい飲み物を持参すると安心です。浮き輪やアームリングも子ども連れには欠かせないサポートアイテムになります。
あれば便利なもの | ポイント |
---|---|
日焼け止め | 屋外プールのため塗り直しが大切 |
帽子・ラッシュガード | 紫外線対策と冷えすぎ防止に効果的 |
軽食・おやつ | 売店以外でも手軽に食べられると安心 |
浮き輪やアームリング | 小さな子どもの安全と楽しさに役立つ |
保冷バッグ | 冷たい飲み物を長時間冷やしておける |
快適に過ごすための利用のコツ
口コミや利用者の体験を見ても、昼過ぎは混雑がピークになることが多く、午前中の利用がおすすめです。夏休みや休日は特に家族連れでいっぱいになるため、開場直後に行くと比較的落ち着いて遊べます。また、子どもは小学校3年生以下なら保護者同伴が必須なので、大人も一緒に水に入れる準備をしておくと安心です。さらに、水分補給をこまめに行うことが熱中症対策につながります。事前に持ち物を整えて時間帯を工夫すれば、安さ以上に快適で安全な時間を過ごせるでしょう。
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