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NHK【クローズアップ現代】解熱鎮痛薬で大腸がん予防!?AI創薬とドラッグリポジショニングの最前線(2025年8月27日放送)

クローズアップ現代

解熱鎮痛薬でがん予防?AIが進める“既存薬革命”とは

「普段飲んでいる薬が、がんの予防や難病の治療に役立つかもしれない」そんなニュースを聞いたら、誰もが驚きと期待を抱くはずです。2025年8月27日に放送されたNHK「クローズアップ現代」では、解熱鎮痛薬と大腸がん予防、そしてAIによって進化する既存薬活用(ドラッグ・リポジショニング)の最前線が紹介されました。この記事では、番組で取り上げられた事例や専門家の意見をまとめ、私たちが知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

家族性大腸腺腫症とアスピリンの挑戦

最初に登場したのは、家族性大腸腺腫症という遺伝性の難病を抱える44歳の有香さんです。この病気では、大腸に無数のポリープができ、進行すると大腸がんになるリスクが極めて高くなります。特に1センチほどの大きさに育ったポリープは、約4人に1人の確率でがん化すると言われています。

そんな彼女に勧められたのが、アスピリンによる臨床研究でした。アスピリンはもともと解熱鎮痛薬として広く使われていますが、研究によって大腸ポリープの発生を抑える可能性が見えてきたのです。いわば「すでにある薬を新しい目的に使う」というドラッグ・リポジショニングの典型例です。有香さんにとって、それは「病気の未来を変えるかもしれない希望」となりました。

ドラッグ・リポジショニングとは何か

ドラッグ・リポジショニングとは、すでに世の中で使われている薬を、新しい病気に応用する研究開発のことです。これまで偶然の観察や臨床の中から見つかることが多かったのですが、近年はAIの活用によって加速しています。AIは膨大な医学論文や臨床データを解析し、薬の成分と病気の仕組みを組み合わせて新しい効能を予測できるようになったのです。

この方法は、新薬を一から作るよりも開発コストや時間を大幅に削減できる利点があります。新薬開発には10年以上の時間と数百億円以上の費用がかかることも珍しくありませんが、既存薬ならすでに安全性が確認されているため、より早く患者に届けられる可能性が高いのです。

製薬会社とAIのタッグ

番組では、大阪・鶴見区にある創業137年の製薬メーカーが登場しました。ここでは新薬開発と並行して、AIを使ったドラッグ・リポジショニングの取り組みが進められています。AIを導入することで、膨大な候補から有望な薬を短期間で絞り込めるため、効率のよい研究が可能になります。

実際に、日本のFRONTEO丸石製薬といった企業も参入し、日本製薬工業協会など業界全体でも注目を集めています。ここには糖尿病や肺炎、関節リウマチなど、多くの生活習慣病・慢性疾患への応用が期待されています。

難病患者を救った事例:慢性活動性EBウイルス病

40歳の三平さんは、慢性活動性EBウイルス病という非常に重い病気と闘っていました。この病気は発熱、臓器障害、皮膚の異常など多彩な症状を引き起こし、進行すると命を落とす危険が高い病気です。根本的な治療法は骨髄移植しかなく、多くの患者が苦しんでいます。

しかし三平さんは、大学病院のドラッグ・リポジショニングによる治験に参加。候補薬を服用したことで症状が抑えられ、移植まで耐えることができました。最終的に骨髄移植に成功し、病気を克服することができたのです。彼は「仲間の中には治療を受けられず亡くなる人が多い。もっと治療の幅が広がってほしい」と語っていました。

AIと偶然の違い

立命館大学の間宮教授は、番組の中で「ドラッグ・リポジショニングは以前からあったが、もともとは偶然に発見されることが多かった。しかしAIが登場したことで、より計画的に新しい効能を探せるようになり、開発が加速するだろう」と説明しました。
つまり、今までは「たまたま効いた」という発見が主流でしたが、今後はAIが根拠を持って「この薬はこの病気に効くはず」と予測する時代に入ったのです。

課題となる薬価と制度

効率的な方法とはいえ、ドラッグ・リポジショニングにも課題があります。それは薬価の問題です。臨床試験には多額の費用が必要ですが、もし承認された後の薬価が低く設定されてしまうと、企業が採算を見込めず研究が止まってしまう恐れがあります。結果として、せっかく有効な薬の候補が見つかっても、多くの患者に届かないという現実があるのです。

番組では、中央社会保険医療協議会日本バイオテク協議会の取り組みにも触れながら、公的な支援や制度改革の必要性が指摘されました。

広がる可能性:がんから感染症まで

ドラッグ・リポジショニングの可能性は大腸がんや難病に限りません。番組では、アルツハイマー病、パーキンソン病、白血病といった重い病気や、SARSやエボラウイルスなど感染症への応用も紹介されました。これまで治療法が限られていた病気に対し、既存薬が新たな光を投げかけています。

よくある疑問Q&A

Q:アスピリンを飲めば大腸がんを防げますか?
A:臨床研究は進んでいますが、自己判断での服用は危険です。副作用もあるため、必ず医師の指導が必要です。

Q:AIはどんな仕組みで薬を見つけるの?
A:膨大なデータを解析し、薬の成分と病気のメカニズムを照らし合わせることで、偶然ではなく論理的に新たな効能を見つけます。

Q:なぜ企業が研究をやめてしまうことがあるの?
A:薬価が低いと利益が出ず、臨床試験の費用を回収できないからです。制度面の支援が不可欠です。

まとめ:希望と課題の両面を知る

今回の「クローズアップ現代」で紹介されたように、解熱鎮痛薬や既存の薬が新しい治療や予防につながる可能性は大きく広がっています。AIの力によって、偶然ではなく必然的に薬の効能を導き出す時代が到来しました。
しかしその一方で、研究開発を支える資金や薬価制度といった現実的な課題もあります。患者の命を救うために、科学だけでなく社会の仕組み全体が進化していく必要があるのです。

私たちができるのは、この新しい流れに関心を持ち続け、自分や家族の健康のために正しい知識を得ておくことです。近い未来、日常的に使う薬が命を守る“切り札”になるかもしれません。

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