ダーウィンが来た!「あつまれ どうぶつの群れ」2025年8月31日放送回まとめ
NHKの人気自然番組「ダーウィンが来た!」では、毎回ユニークな視点から動物たちの生きる知恵を紹介しています。2025年8月31日の放送回のテーマは「あつまれ どうぶつの群れ」でした。魚や昆虫、哺乳類まで、世界中で見られる「群れ」の行動に焦点を当て、なぜ動物たちは群れるのか、その結果どのように命をつないでいるのかをわかりやすく解説していました。群れの力は捕食者から身を守るだけでなく、恋の儀式や子育てにも深く関わっています。今回は番組内容を細かく追いながら、その魅力をたっぷり紹介します。
数億匹のマイワシが描く海の大スペクタクル
最初に登場したのは東京都・伊豆大島近海のマイワシの群れです。1匹の大きさは20cmほどと小さな魚ですが、数億匹もの群れを作ることで海面を黒い帯のように覆い尽くします。その様子はまさに海のカーテンのようで、空から見ると動く大陸のようにも見える迫力でした。
マイワシたちは常に敵に狙われています。サメが群れに突入すると、まるで花火のように魚が散り、群れの中にぽっかりと穴が空きます。捕食者から逃れるために瞬時に方向を変える連携は、1匹では不可能な高度な防御行動です。さらに強敵のクロマグロに対しては、群れ全体で海底近くに散らばり、勢い余って岩にぶつかるように仕向けます。小さな魚が知恵を絞り、群れの動きで巨大な捕食者を翻弄する姿に自然の戦略性を感じました。
小さな勇者ニホンミツバチの必殺技
続いて紹介されたのは京都府綾部市のニホンミツバチです。花から蜜を集め、せっせと巣に運ぶ姿は身近ですが、外敵への対抗策には驚きがありました。日本の在来種のミツバチは、外からやって来るオオスズメバチという強力な敵に狙われます。体格差があるため1対1では勝てません。しかし数百匹の仲間が一斉に覆いかぶさり、羽ばたきで熱を発生させると、あっという間に周囲は48℃まで上昇。オオスズメバチは耐えられず命を落とします。この戦術は「熱殺蜂球」と呼ばれ、群れでしか成し得ない究極の必殺技です。小さな体でも群れの知恵と協力で巨大な敵に勝つことができるのです。
10万頭のトナカイが挑む過酷な移動
次はアラスカ州からカナダへと続く広大なツンドラ地帯を舞台にしたトナカイの物語です。10万頭以上の群れが、子育てに適した平原を求めて数百キロの移動を行います。途中でヒグマに狙われることもありますが、群れ全体で走り出せば個体が特定されにくく、捕まるリスクを減らすことができます。
しかし彼らにとって本当に恐ろしいのは肉食獣ではなく蚊でした。夏のツンドラは凍った大地が解けてあちこちに水たまりができ、そこから無数の蚊が発生します。血を吸われ続ければ体力を消耗し、子どもは命の危険さえあります。そのためトナカイたちは蚊のいない場所を探し、さらに大移動を続けるのです。意外な存在が大群の行動を大きく変えることに驚かされました。
ムンクイトマキエイの恋のジャンプ
メキシコ・カリフォルニア湾では、幅2m、体重20kgにもなるムンクイトマキエイの大集団が観察されました。海面から次々とジャンプする姿は、まるで空を舞う鳥のよう。実はこれはオスによる求愛行動で、メスに自分をアピールしているのです。群れの中で次々に繰り広げられるジャンプは自然のショーのようで、観察する人々を魅了します。恋の競争も群れだからこそ起こる壮大な現象であることが分かりました。
オナガカゲロウの2時間限定大乱舞
続いて紹介されたのはハンガリーのティサ川で見られるオナガカゲロウの一斉羽化です。川底で3年間を過ごした彼らは、成虫になるとわずか2時間だけの命を燃やします。夕暮れ時、一斉に数百万匹が羽化し、川面を埋め尽くすように乱舞する光景は幻想的で、人々から「ティサの花」と呼ばれています。メスは飛びながら卵を水に落とし、次の世代を残します。ほんの一瞬の命の輝きですが、大量に羽化することで生存率を高める戦略でもあります。自然が生んだ究極の時間制限イベントに胸を打たれました。
絆で子を守るアフリカゾウ
最後に紹介されたのはケニアのアンボセリ国立公園のアフリカゾウです。普段は10頭ほどの家族単位で生活していますが、乾季の始まりには「絆群れ」と呼ばれる大きな群れを作ります。目指すのは水が湧き出る湿地帯で、そこには栄養豊富なカンダリという草が生えています。カンダリは薬草としても知られており、ゾウが健康維持のために選んで食べていると考えられています。
さらに群れの結束を示す場面も描かれました。子どもをブチハイエナが狙ったとき、大人のゾウたちが立ちはだかり、一丸となって敵を追い払ったのです。命を守るために仲間が協力する姿からは、人間社会にも通じる家族や仲間の絆の強さを感じました。
まとめ 群れの力は生き抜くための知恵
今回の「ダーウィンが来た!」では、海の魚群から陸のゾウまで、群れが持つ多様な力を見せてくれました。群れは捕食者からの防御であり、繁殖の舞台であり、子どもを守る盾でもあります。自然界では一匹では生きられない小さな命が、群れという仕組みを通じて強さを得ているのです。
私たち人間にとっても、仲間や社会とつながることの大切さを考えさせられる内容でした。動物たちの姿を通して、協力や絆の価値を改めて学べる放送回でした。
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