“鳥嵐”を生む型破りなコウヨウチョウの秘密とは
アフリカで毎年のように起きる“鳥嵐”。草原一帯が動いて見えるほどの膨大な群れが現れ、わずかな期間で爆発的に数を増やします。その中心にいるのが、全長13cmほどの小さな鳥・コウヨウチョウです。今回の放送では、その知られざる繁殖戦略、驚異の時短ワザ、そして同じ仲間であるハタオリドリの複雑な巣作りなど、多彩な生態が次々と明かされました。
大自然のリズムに合わせ、雨を追いかけながら大移動するその生き方は、まさにアフリカの気候に適応した“究極の効率”。なぜここまで増えるのか、どうして彼らは短期間で子育てを完了できるのか。番組で紹介された情報をもとに、鳥たちの巧みな戦略に深く迫ります。
NHK【ダーウィンが来た!】密着11年!ワオキツネザル メスの“友情”物語 血縁なき絆と授乳できない理由…カメレオンを食べた驚きの行動とは|2025年11月16日
雨がコウヨウチョウを呼び寄せる 広大な大地を渡る旅
物語はジンバブエの草原からスタートしました。乾期が長い地域ですが、雨期になると一気に緑が芽吹き、草の種が豊富に実ります。この変化を敏感に察知して、コウヨウチョウは南の方からこの地にやって来ます。
しかし、彼らの“出現ポイント”は年によって変わるため、まずは大雨の影響を受けた地域を時間をかけて探す必要があります。取材班はぬかるんだ道を車で進みますが、あまりの悪路に車が立ち往生する場面もありました。この日は鳥の姿をついに確認できず、自然相手の難しさが浮き彫りになりました。
それから1週間後。ようやく草原を飛び交う群れを発見。数百羽が同時に地面へ降り立ったり、一斉に舞い上がったりする迫力は圧倒的です。
オスは鮮やかな顔色で個体によって配色が違い、メスから見分けられやすくする工夫がされています。メスは全体的に色が薄く落ち着いた姿で、草の中でも目立ちにくい作りです。こうした色の違いも、生き残りのために進化してきたものです。
つがい成立は“スピード勝負” 巣作りに隠された効率重視の戦略
コウヨウチョウの繁殖シーズンが雨期と重なる理由は、草の種が大量に手に入り子育てがしやすくなるためです。ただし、恵みの期間は長くありません。食べ物が尽きる前に卵を産み、育て、巣立たせなければならないため、全工程が高速で進みます。
その象徴が“スピード婚”です。多くの鳥ではパートナー選びは慎重に行われますが、コウヨウチョウは巣の土台の出来を見てすぐにつがい成立。わずか4日で巣の基礎を編み上げ、メスが納得すればそのまま子育てに突入します。
しかし、油断はできません。他のオスが草を盗みに来ることもあるため、巣の完成が早いほど有利です。巣を奪われれば、また材料を集めてやり直す手間が生じるため、1秒でも早く形にすることが成功への近道になります。
ハタオリドリの“職人技”が光る巣の世界
コウヨウチョウはハタオリドリの仲間に属します。このグループは植物を編んで巣を作る高度な技術を持ち、種類ごとに全く違うデザインを持っています。
ここでは3種の巣が紹介されました。
キイロメンガタハタオリ
玉ねぎ型の巣が特徴的。揺れやすい枝先にぶら下げることで、蛇などの天敵が侵入しづらい工夫がされています。
キムネコウヨウジャク
細長い入り口が特徴で、長いものでは1mを超える例もあります。ヤシの葉を細く割き、まるで布のように編み込む精密さには驚くばかりです。
シャカイハタオリ
集団で巨大な巣を作り上げるタイプ。中には6m級の巨大建造物のような巣もあり、100年以上使われ続けるものも存在します。屋根が分厚いため断熱性が高く、強烈な日差しを遮断して仲間たちの暮らしを守ります。
これらを比べることで、コウヨウチョウの巣が“シンプルで時短”を重視していることが際立って見えてきます。
気温40度が味方に?驚きの抱卵時短テクニック
雨期のジンバブエは、昼間の気温が40度を超えることも珍しくありません。この気候が、コウヨウチョウの子育てを支えています。
巣は10cmほどのボール状で、複雑な造りではありませんが、その内部は太陽の熱で自然と37度前後に保たれます。鳥の卵が温まりやすい温度になるため、親鳥は日中“抱卵する必要がない”のです。
親鳥はその間、食事に集中し体力を回復できます。巣作りや産卵で疲れた体を休めながら効率よく育児が進み、短い雨期での繁殖を可能にしています。
繁殖のタイムラインは驚きの早さです。
・つがい成立から巣作り完了……約4日
・卵のふ化……約10日
・雛の巣立ち……約10日
わずか24日ほどで子育てを終える驚異的なスピードです。
さらに、雨雲が内陸へ移動するにつれて新しい草原が生まれます。親鳥は食料が尽きる前にその新天地へ移動し、条件がそろえば雨期の間に複数回繁殖することもあります。
鳥嵐が与える影響 農家にとっては脅威になることも
自然のサイクルに合わせて増えるコウヨウチョウですが、その繁栄が人間の生活に影響することもあります。群れが畑に押し寄せると、作物を食べ尽くしてしまうこともあり、収穫直前の畑で被害率95%に達するケースもあると紹介されました。
自然界の壮大な営みの裏には、人との関わりという別の一面も潜んでいます。
まとめ
コウヨウチョウの爆発的な増加には、雨を追いかける敏感な移動力、スピード婚による早い繁殖、抱卵を時短する環境条件など、いくつもの巧妙な仕組みがあります。
同じハタオリドリの仲間の“職人技”のような巣作りと比べると、その違いがより鮮明に浮かび上がり、繁殖戦略が環境と密接に結びついていることがよく分かりました。
自然のリズムを読み、限られた雨期の間を最大限に生き抜こうとする小さな鳥たち。その躍動感あふれる生態は、アフリカの自然の奥深さを改めて感じさせてくれるものでした。
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