どうして「痛い!」って感じるの?体の中で起きていることを知ろう
転んだり、指をぶつけたり、熱い鍋に触ったとき――思わず「痛い!」と声が出る瞬間。けれど、その一言の裏では、体の中でとても緻密なやり取りが起きています。番組『チコちゃんに叱られる!』(2025年10月10日放送予定)では、この「痛み」の仕組みを、実験を交えて分かりやすく紹介しました。スタジオでは澤部佑さんが体験実験に挑戦し、電気刺激によるリアルな反応に思わず声を上げる場面もありました。解説を行った専門家は、「痛みは体からの大切なSOS」と説明。つまり痛みは、私たちが自分を守るための信号なのです。
痛みの正体は“電気信号と化学物質”のリレーだった
番組の最初のテーマは「『痛い!』ってとき体の中ではなにが起きている?」というシンプルながら奥の深い問い。
澤部佑が「電気信号が脳に伝わるから」と答えると、チコちゃんは「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱り、会場が笑いに包まれました。実はそれだけでは不十分で、正解は「電気信号と化学物質のリレー」。つまり、私たちの体では、電気と化学のバトンリレーが痛みの感覚を脳まで届けているのです。
神田浩里助教によると、人が痛みを感じるとき、まず皮膚や筋肉の中にある“痛み受容体”が刺激をキャッチします。たとえば指をぶつけた場合、受容体が「危険な刺激が来た!」と感知し、その情報を電気信号に変えて神経を通して伝えます。
このとき働くのが「末梢神経」。体の隅々まで張り巡らされたこの神経が、痛みの情報を「中枢神経(脳や脊髄)」へと送り届けます。
情報が脊髄に届くと、そこから脳の“感覚中枢”へとバトンが渡されます。脳がその信号を解析し、「痛い!」と判断することで初めて私たちは痛みを認識します。
驚くべきことに、刺激を受けてから「痛い」と感じるまでの時間はわずか0.3秒以内。まばたきよりも速いスピードで、体の中では緻密な通信が行われているのです。
神経細胞の間をつなぐのは“化学物質”の橋渡し
では、どうやってこの信号が途切れず伝わるのでしょうか?
神経は一本の長い線のように見えても、実は細胞と細胞の間には“隙間”があります。そこを埋めて情報を伝えるのが化学物質の役割です。
代表的なのがグルタミン酸。この物質は、ある神経が発した電気信号を次の神経に伝えるための“橋渡し”を担っています。
具体的には、神経の末端からグルタミン酸が放出され、それが次の神経の受け皿に届くと、再び電気信号に変換されて伝達が続く――この繰り返しで、痛みはまるでドミノ倒しのように連鎖していきます。
このリレーが途中で滞ると、痛みを感じにくくなったり、逆に必要以上に敏感に感じてしまったりすることもあるそうです。個人差があるのは、この“リレーの精度”が人によって違うからなのです。
スタジオ実験「痛みのリレー」をドミノで再現!
番組ではこのメカニズムを視覚的に理解するため、スタジオに巨大ドミノ装置を設置。神経のリレーをドミノで再現する“痛みのリレー実験”が行われました。
最初のドミノが倒れると、次々に連鎖して倒れていく様子が、まるで神経を走る電気信号のよう。途中には化学物質をイメージした色付きのピースも登場し、視覚的にもわかりやすい仕掛けでした。
最後のトリガー役を務めたのは岡村隆史。勢いよくドミノを倒した拍子に“本物の痛み”を体験してしまい、思わず「これリアルに痛いわ!」と苦笑い。スタジオは笑いと歓声に包まれました。
科学の難しい話を、遊び心たっぷりの実験で伝える――それが『チコちゃんに叱られる!』らしさでもあります。
痛みを感じることは“生きるためのサイン”
こうして見ると、「痛い!」という感覚は決して悪者ではありません。
痛みは体が危険を察知し、私たちに「すぐにやめよう」「逃げよう」と知らせる命を守るアラート信号なのです。
もし痛みを感じなければ、火に触れても気づかずに火傷を負ったり、骨折しても動き続けてしまったりと、命に関わる危険があります。
つまり、「痛み」とは、体と脳が協力して発する“生存のための合図”。
たとえ不快でも、それは体が正常に機能している証拠なのです。
現代では医療現場でも、この神経伝達の仕組みを応用して痛みをやわらげる治療が進化しています。グルタミン酸の働きを抑える薬や、神経の興奮を調整するリハビリ法などもその一つ。痛みを理解することが、健康な暮らしの第一歩につながっているのです。
この記事のポイント
・痛みは「電気信号」と「化学物質」のリレーで脳に伝わる
・刺激から痛みを感じるまでの時間は0.3秒以内という高速反応
・グルタミン酸が神経間の情報伝達を担う“バトン役”
・スタジオでは岡村隆史が参加し、ドミノで神経の伝達を再現
・痛みは「危険を知らせる」体の重要なセンサーである
まとめ
「痛み」は、私たちの体が生きるために持っている大切なシステム。
兵庫医科大学の神田助教が語ったように、体の中では電気と化学が見事な連携を取りながら、命を守るための信号を送り続けています。
次に「痛い!」と感じたとき、その瞬間の中にある“科学のリレー”を思い出してみてください。
きっと、ほんの少しだけ痛みを違う目で見られるはずです。
(ソース:NHK総合『チコちゃんに叱られる!』2025年10月10日放送)
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