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Eテレ【チョイス@病気になったとき】変形性ひざ関節症の“再生医療”が進化!APS療法・骨切り術・人工膝関節の違いをわかりやすく解説|2025年10月5日

チョイス@病気になったとき

ひざの痛みをあきらめないで!変形性ひざ関節症の最新治療と生活改善のヒント

「歩くたびにズキッと痛む」「階段がつらくて外出が減った」――そんな悩みを抱えていませんか?
変形性ひざ関節症は、軟骨がすり減ることで起こる代表的な関節の病気です。進行すると歩行が困難になり、生活の質が大きく低下してしまいます。

今回の『チョイス@病気になったとき(10月5日放送)』では、ひざを守るための最新の治療情報効果的な予防法が紹介されます。この記事では、放送内容を先取りしつつ、2025年現在の医療現場で注目される保存療法・再生医療・手術法をまとめました。

保存療法とは?まずは「自分の関節を生かす」治療から

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変形性ひざ関節症の治療で最初に行われるのが、保存療法
これは手術を行わず、薬や運動・装具などを組み合わせて、進行を抑えながら痛みを軽くしていく治療法です。

運動療法・筋力トレーニング

最も重要とされるのが、大腿四頭筋(太ももの前側の筋肉)を鍛えること
この筋肉が弱ると、ひざ関節を支える力が失われ、軟骨への負担が増してしまいます。
理学療法士の指導のもと、仰向けで片脚をゆっくり持ち上げる「ストレート・レッグ・レイズ」や、座ってひざを伸ばす「膝伸展運動」などを継続的に行うことが推奨されています。
水中ウォーキングや自転車こぎも、膝に負担をかけずに動かせるため効果的です。

体重管理と生活習慣の見直し

体重1kgの増減で、膝にはその約3〜4倍の負担がかかるといわれます。
つまり、たった3kg減らすだけで膝への負担が10kg以上軽くなる計算です。
無理なダイエットではなく、栄養バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせて、「体重を少し減らすだけでも痛みが軽くなる」という実感を目指しましょう。
また、階段の上り下りや長時間の正座を避け、杖や膝サポーターを上手に取り入れることで、日常生活の負担を減らせます。

薬物療法と関節内注射

痛みが強い場合は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を短期間使用し、炎症を和らげます。
膝に直接注射するヒアルロン酸注射
もよく行われ、関節液の潤滑を高め、軟骨の摩耗を防ぐ働きがあります。
ただし、これらはあくまで一時的に痛みを軽くする治療であり、根本的な治癒ではありません。
医師の指示のもと、他の療法と組み合わせて続けることが大切です。

装具・物理療法

膝を支える膝装具(サポーター)や、温熱療法・電気刺激療法も補助的に行われます。
冷えによる痛みが強い人は温熱パッド、炎症が強い人はアイシングが効果的です。
「痛みの部位や時期によって使い分ける」ことが、上手に症状をコントロールするコツです。

進化する再生医療 ― “修復する治療”という新しい選択 ―

近年、従来の保存療法と手術の間を埋める形で注目されているのが再生医療です。
目的は「軟骨を修復して機能を取り戻す」こと。2025年現在では、以下のような治療法が臨床の現場で広がっています。

PRP療法(多血小板血漿注射)

自分の血液から血小板を取り出し、濃縮して膝に注射する方法です。
血小板には成長因子が含まれており、傷ついた組織の修復や炎症の抑制を促します。
副作用が少なく安全性が高いのが特徴で、スポーツ選手が怪我の治療に用いることでも知られています。

APS療法(自己タンパク質溶液注射)

PRP療法をさらに進化させた治療で、PRPを加工して抗炎症成分を高めた液を注射します。
藤田医科大学や獨協医科大学などで臨床が進んでおり、持続的な痛みの軽減効果が報告されています。
自費診療のため費用は高額(30〜50万円程度)ですが、手術を避けたい患者にとっては新たな希望の一つです。

幹細胞治療(脂肪由来・滑膜由来など)

体内の脂肪や滑膜から採取した幹細胞を培養し、膝に注射して軟骨の再生を促します。
幹細胞には「必要な細胞に分化して修復を助ける」働きがあるため、理論的には軟骨再生の可能性が期待されています。
ただし、現時点では研究段階であり、効果の持続性や適応基準はまだ議論中です。

症状が進んだら?手術という選択肢

保存療法で十分な改善が得られない場合、手術が検討されます。
手術にはさまざまな方法があり、膝の変形の程度や年齢、生活スタイルに応じて選ばれます。

  • 骨切り術(高位脛骨骨切り術など)
    自分の骨を切り、膝にかかる荷重のバランスを変える方法。関節を温存でき、スポーツ復帰も目指せます。

  • 人工膝関節単顆置換術(UKA)
    膝の内側または外側の一部だけを人工関節に置き換える手術。痛みを抑えながら自然な動きを保てます。

  • 人工膝関節全置換術(TKA)
    膝関節全体を人工関節に交換する方法。重度の変形や強い痛みに対応し、最も効果的な手術の一つです。

  • 関節鏡視下手術
    炎症を起こした滑膜や損傷組織を除去。初期の変形性関節症に適します。

どの方法もメリット・デメリットがあり、耐用年数や再手術の可能性も含めて検討することが重要です。

手術後のリハビリと生活の工夫

手術を受けたあとは、リハビリが回復のカギを握ります。
手術翌日から足首を動かしたり、ベッド上で脚を上げる軽い運動を開始。
1週間後には歩行訓練が始まり、2〜3週間後には階段昇降や筋力回復を目指します。

退院後も自宅での訓練が続きます。ウォーキングや水中運動、自転車こぎなどを日課にして、膝の可動域と筋力を維持することが大切です。

また、生活の中で次のような工夫を心がけましょう。

  • 正座やあぐらを避けて椅子生活を中心にする

  • トイレは洋式に、浴室には手すりを設置する

  • 滑りにくい床材を選び、転倒を防ぐ

  • 適正体重を保ち、膝の負担を減らす

人工関節は平均で15〜20年ほどの耐用年数があるといわれます。
定期的な検診で緩みや摩耗をチェックし、無理のない運動を続けていくことが、長持ちの秘訣です。

まとめ

・変形性ひざ関節症は、早期発見・早期治療が何より大切
・筋力トレーニングや体重管理などの保存療法を継続することが進行を防ぐ近道
・再生医療は「修復をめざす新しい選択肢」として期待が高まっている
・進行時には、関節温存術から人工関節まで、症状に応じた手術が選べる時代に

ひざの痛みと向き合うことは、人生の“歩み方”を見直すことでもあります。
無理をせず、自分の体に合った方法で「もう一度しっかり歩ける毎日」を取り戻しましょう。

(出典:NHK公式番組情報・ひざ関節症クリニック・藤田医科大学・獨協医科大学・東京女子医科大学)


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