NHK【午後LIVE ニュースーン】「嫌なこと」にあえて挑むと見えてくる景色　“経験回避の転換”が導くコンフォートゾーンから抜け出す方法｜2025年10月14日★

「嫌だ」と思ったことの先に、思いがけない“景色”があった

誰にでも「これは苦手」「正直やりたくない」と感じることがあります。たとえば職場での新しい業務、定年後の地域活動、家族やご近所との交流、あるいは運動やスマホの使い方を覚えることもそうかもしれません。人は誰でも、“変化”や“未知のこと”に対して抵抗を感じます。心理学ではこれを「心理的回避」と呼びます。つまり、避けたいと思うことの多くは、私たちの心が“安全な場所から出たくない”と感じているサインなのです。
しかし、この「嫌だ」と感じることに、あえて一歩踏み出した人たちがいます。10月14日放送の『午後LIVE ニュースーン』では、そんな“嫌なこと”に挑んで人生が変わった人々を取材。彼らの姿から、私たちが生きるうえで大切な“心のしなやかさ”を見つめ直します。この記事では、心理カウンセラー・行動心理学者の視点から、そのテーマを深掘りしていきます。

「嫌なこと」に挑むと、なぜ人生が変わるのか

行動心理学では、人の行動を左右する要因を「快」と「不快」に分けて考えます。私たちは無意識のうちに“不快”を避けようとしますが、実はその中に“学び”や“変化のきっかけ”が潜んでいます。嫌なことにあえて向き合うことは、脳に「新しい刺激」を与え、神経細胞のつながりを強化します。これを「脳の可塑性（かそせい）」と呼び、年齢を重ねても人が成長できる理由の一つです。

番組では、リタイア後の男性が「嫌だと思っていた地域の防災ボランティア」に参加したことで、人との交流が増え、生きがいを見つけていく様子が紹介される見込みです。最初は「自分には関係ない」「面倒だ」と思っていたことでも、実際に関わるうちに感謝の言葉をもらったり、頼られる喜びを感じたりと、心の変化が起きていくのです。心理学では、このような経験を**「自己効力感の再獲得」**と呼びます。
つまり、“嫌なこと”の先には、失われかけていた「自分を信じる力」が眠っているのです。

定年後の「やりたくない」を変えるきっかけ

リタイア後、多くの人が直面するのが「自由なのに、やりたいことが見つからない」という悩みです。これまでの仕事中心の生活が終わり、時間はあっても心に空白ができてしまう。そんな中で、“嫌なこと”を通じて再び人生の目的を見いだした人がいます。

番組で紹介される予定の一人は、退職後に人付き合いを避けていた男性。妻のすすめで地域の合唱サークルに参加したところ、最初は気まずくて居心地が悪かったといいます。ところが回を重ねるうちに声を合わせる喜びを感じ、いまではその活動が生きがいになったそうです。
行動心理学では、このような変化を「経験回避の転換」と呼びます。避けていた行動を受け入れることで、自分の中に眠っていた“新しい感情”を発見する。これは年齢を問わず、人が前向きに変わるための重要なステップなのです。

「嫌なこと」を乗り越える3つのコツ

“嫌なこと”に挑むと聞くと、多くの人は「頑張らなきゃ」と気負ってしまいます。しかし心理学的には、頑張りすぎは逆効果です。大切なのは「無理をせず、心が折れない方法」で挑戦すること。ここでは、行動心理学の知見をもとにした3つのコツを紹介します。

1. 小さく始める
   「やりたくない」と感じることほど、いきなり大きく動こうとすると失敗します。たとえば「毎日ウォーキングする」のではなく、「家の前を1分歩くだけ」から始める。小さな成功体験を積むことで、脳が「できた」という報酬を受け取り、次の行動へのモチベーションが生まれます。

2. 意味を見つける
   「嫌なこと」を“自分のため”ではなく“誰かのため”に置き換えると、苦手意識は薄れます。掃除が嫌なら「家族が気持ちよく過ごせるように」、会話が苦手なら「相手を安心させるために」と考えるだけで、行動のハードルが下がります。心理学ではこれを「動機づけの再定義」といいます。

3. 過程を楽しむ
   結果ばかりを追うと、「うまくいかなかった」「やっぱり無理だ」と挫折しやすくなります。むしろ“挑戦している自分”を肯定し、変化の途中を味わうことが大切です。失敗しても、「それでもやってみた自分」を褒めることが、次の挑戦につながります。

「嫌なこと」が映す“本当の自分”

心理カウンセリングの現場でも、「嫌なことを避ける人ほど、自分の本音に気づけない」という傾向があります。たとえば「人と話すのが嫌」と感じる人の多くは、実は“人と関わりたいけれど傷つきたくない”という気持ちを抱えています。嫌なことの裏側には、「本当はこうなりたい」という願いが隠れているのです。
番組でも、挑戦を通じて自分の本心を知った人の物語が紹介される予定です。自分を変えようとする努力の中にこそ、人間の持つ強さと優しさが現れます。

放送後に追記予定

10月14日放送の『午後LIVE ニュースーン』では、実際に「嫌なこと」に挑戦した人たちのリアルな姿が描かれる予定です。どんなきっかけで行動を起こしたのか、挑戦を通じてどんな感情の変化が起きたのか、そしてその後の人生がどう変わったのか——。
放送後は、番組で紹介された人物のエピソードを詳しく追記し、心理的効果や専門家コメントを交えて解説します。行動の裏にある“心の動き”を、さらに深く読み解く予定です。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。
・「嫌なこと」に挑むことで、脳と心の柔軟性が高まり、人生が前向きに変わる。
・小さな行動・意味づけ・過程の楽しみ方が、苦手克服の3本柱。
・“嫌なこと”は本当の自分を映す鏡。恐れの裏にある願いに気づくことが、成長への第一歩。

嫌なことを避けるのは自然な反応です。でも、その中に“自分を変える入口”が隠れています。リタイア後の人生だけでなく、日常の小さな習慣にも応用できるテーマです。今日、あなたの心が「少しだけやってみようかな」と動いたなら——それがすでに、変化の始まりです。

（出典：NHK総合『午後LIVE ニュースーン』2025年10月14日放送）
https://www.nhk.jp/p/ts/8R9K9Z7W3V/