住まいの値上がり、あなたの家にも関係ある?
「最近、家賃がどんどん上がっている」「前に見た新築マンションが、もう手の届かない価格になっていた」――そんな声、身近でも聞こえてきませんか?
首都圏や大阪などの大都市では、今“住まいの高騰”が止まりません。家を買いたくても買えない、借りたくても予算内に収まらない。そんな人が急増しています。
私自身も街を歩いていて、「この地域のマンション、いつの間にこんなに高くなったの?」と感じることが増えました。かつて“住まい”は安心の象徴でしたが、いまや“資産”や“投資対象”として扱われているのが現実です。
この記事では、『クローズアップ現代』の放送「止まらない“住まい高騰” 大都市の不動産に何が」(2025年10月22日放送)をもとに、なぜここまで価格が上がっているのか、そしてこれから私たちはどう暮らしを守ればいいのかを分かりやすく解説します。
家賃も新築も中古も全部上がっている理由
まず結論から言えば、“住まい高騰”の最大の原因は「投資マネーの流入」です。
番組では、東京・千代田区の新築マンションに国内外の資金が集中している現状が紹介されました。かつて「住むため」に買われていたマンションが、いまは「運用するため」に買われているのです。
長嶋修(不動産コンサルタント)は「日本の低金利が海外マネーを呼び込み、東京が“資産の避難先”として見られている」と解説していました。実際、海外投資家が日本の高級物件を買い占める例が増え、その余波で中古市場や賃貸価格まで上がっています。
例えば、10年前に7,000万円ほどだった都心のマンションが、いまでは1億円を超えるケースも珍しくありません。
結果として、借りる人の家賃にも波及し、「一気に7万円値上げされた」「予算内ではもう住めない」という声が出ているのです。
千代田区が動いた“転売禁止”要請の意味
あまり知られていませんが、千代田区は不動産業界団体に「購入から5年以内の転売を禁止してほしい」と要請しました。
これは短期売買で価格を吊り上げる“転売ビジネス”を抑えるための動きです。
区の担当者は「地域に長く住む人が減り、短期滞在や空き家が増えてしまう」と危機感を語っていました。
番組では、実際に転売が繰り返される現場の取材映像も流れ、所有者が短期間で変わることで、地域コミュニティが失われる現実が映し出されました。
このような事態は東京だけでなく、名古屋や大阪などの大都市圏でも進行中です。
住宅が「住む場所」ではなく「資産運用の道具」になったことで、地域社会のつながりまでもが影響を受けています。
“住宅バブル”はいつまで続くのか?
では、この住宅高騰はどこまで続くのでしょうか。
明治大学の野澤千絵教授は、「人口減少の中でも大都市への人口集中が止まらず、住宅需要が下がらないことが原因」と分析します。
つまり、今後もしばらくは“高止まり”が続く可能性が高いのです。
ただし、すべての地域で同じではありません。
都市中心部は引き続き高騰する一方、郊外や地方都市では価格が安定しているところもあります。
番組では、郊外の中古リノベーション物件やシェアハウスなど、新しい住まい方を選ぶ人たちの姿も紹介されていました。
「便利さ」だけを求めて高い家賃を払い続けるよりも、自分の生活スタイルに合った“ちょうどいい暮らし”を選ぶ人が増えているのです。
これからの“住まい選び”で大切なこと
住まいの高騰が続く今、私たちができる対策は「立地の柔軟化」と「視点の転換」です。
例えば、
・駅近にこだわらず、交通の選択肢が多いエリアを選ぶ
・新築ではなく中古+リノベで自分仕様に整える
・家を“買う”ではなく“借りる”選択も検討する
番組では、こうした柔軟な考え方が、今後の住まい選びに欠かせないと強調されていました。
“住まい”とは単なる建物ではなく、“暮らし方の選択”そのものなのです。
まとめ
この記事のポイントは3つです。
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不動産価格の高騰は、国内外の投資マネーが原因。
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千代田区は“転売禁止”要請で短期売買を制限。
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これからは「どこでどう暮らすか」を考える時代に。
家が資産になる時代は、一見豊かそうに見えても、実は「住まう人」を置き去りにしてしまう危うさがあります。
それでも私たちは、自分にとっての“心地よい暮らし”を選ぶ力を持っている。
住宅バブルの波にのまれず、「どこで、どう生きたいか」を軸に暮らしを見つめ直すことが、いま最も大切なのだと思います。
出典:
NHK『クローズアップ現代 止まらない“住まい高騰” 大都市の不動産に何が』(2025年10月22日放送)
https://www.nhk.jp/p/gendai/
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