50年ぶりの再会に涙…ひむバス!が見届けたタイムカプセルの奇跡
「もし、自分が子どもの頃に埋めたタイムカプセルを、50年後に開けるとしたら…?」
そんな想像をしたことはありませんか?時間がたつほどに、過去の自分が書いた文字や絵は、まるで“未来への手紙”のように輝きを増します。今回の『ひむバス!』では、日村勇紀さんが岩手県花巻市を訪れ、半世紀前に小学生たちが埋めたタイムカプセルの開封式を見届けました。埋めたのは、今はなき八日市小学校の子どもたち。そのひとり、当時の児童会長だった柏原さんと仲間たちの再会には、涙があふれる瞬間がありました。この記事では、感動のエピソードと地域の絆を丁寧にたどります。
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日村勇紀が乗せた“思い出のバス”が向かう先
今回の『ひむバス!』の出発地点は、晩秋の花巻市。黄金色の田んぼが風に揺れ、遠くには雪をかぶった山並みが見える。季節は巡っても、この土地の空気はどこか懐かしい。
そんな風景の中を、日村勇紀さんが運転する“ひむバス”が走ります。彼の今回のミッションは、タイムカプセル開封式に参加する人たちを送迎すること。最初に乗り込んだのは、当時の小学生だった佐々木さんと柏原さん。
2人はかつての八日市小学校の同級生で、50年前、学校創立100周年を記念してタイムカプセルを埋めたメンバーの一人です。バスの中では、「あのとき井戸の下に埋めたんだ」「50年も経ったなんて信じられないね」といった会話が自然にこぼれ、日村さんも「まるで映画みたいですね」と優しく笑います。
八日市小学校の思い出と地域に残る井戸
八日市小学校は昭和55年に閉校し、今では校舎は取り壊されました。しかし、当時タイムカプセルを埋めた枯れ井戸だけは、今もそのまま残っています。地域の集会所や公園として整備された場所の一角で、草木に囲まれながら静かに佇むその井戸は、まさに“過去と現在をつなぐ記憶のシンボル”。
柏原さんは、当時の児童会長として埋設に立ち会った中心人物。50年の時を経て、今は開封式の実行委員長として再び現場に立ちます。
井戸の周りを眺めながら「この下に、みんなの夢が眠ってるんです」と語るその表情は、懐かしさと誇らしさが入り混じったものでした。地域の人々も井戸を見守りながら、まるで自分たちの青春を掘り起こすような気持ちで、この日を迎えています。
妹との約束を胸に迎えた特別な日
柏原さんには、一緒にタイムカプセルを埋めた妹がいました。当時小学1年生だった彼女は、兄の背中を追いかけながら、一生懸命スコップを握っていたそうです。しかし、残念ながらその妹さんは13年前にがんで亡くなってしまいました。
兄にとって、この開封式は「妹との約束を果たす日」。妹が入れたものをこの目で確かめることが、長年の願いでした。
当日のバスには、妹さんの同級生たちも乗り合わせており、「お兄ちゃんがモテてね、妹さんはヤキモチ焼いてたのよ」と昔話に花が咲きます。バスの中は笑いと涙が入り交じる、温かい時間。日村さんもその空気を感じ取りながら、「50年経っても、みんなの気持ちはあの頃のままなんですね」としみじみと語りました。
開封式、そして奇跡の再会
会場には、およそ60人もの人々が集まりました。卒業生、地域の人々、そしてその家族たち。誰もが胸に期待と緊張を抱えながら、井戸の前に立ちます。
掘り起こされたタイムカプセルは、土に覆われながらも形を保っていました。慎重に蓋が開けられると、中からは自画像の彫刻、作文、習字、そして当時の写真が現れます。50年の時間を経ても、そのひとつひとつが鮮やかに生きていました。
その中に、柏原さんの妹が描いた童話の絵も見つかりました。色は少し褪せていましたが、彼女の丁寧な筆遣いと温かい色合いは、今も変わらずにそこにありました。兄の目には自然と涙があふれます。「母も、この絵を見たがっていた」と柏原さんは語り、その絵を母の仏壇に供えたそうです。半世紀を越えて、家族の想いがつながった瞬間でした。
日村勇紀が見届けた“人の縁”の力
番組後半では、日村勇紀さんが地域の人々と語り合う場面も描かれました。花巻の人々の温かさ、そして“地域のつながり”の強さが印象的です。学校がなくなっても、井戸が残り、人々の記憶が残る。それは、形は変わっても消えない“地域の心”そのもの。
日村さんは「バスで人をつなぐ番組だけど、今日は“時間”までつないじゃいましたね」と微笑みました。彼の言葉には、この企画の本質が詰まっています。タイムカプセルは“過去のもの”ではなく、今を生きる人たちを再びつなぐ“未来の糸”だったのです。
まとめ:タイムカプセルが教えてくれたこと
この記事のポイントは次の3つです。
・岩手県花巻市で、50年前に埋められた八日市小学校のタイムカプセルがついに開封された。
・当時の児童会長柏原さんが中心となり、亡き妹が残した童話の絵と再会。
・日村勇紀さんが運転する“ひむバス”が、人と人、そして時代と時代をつなげた。
タイムカプセルとは、ただの箱ではありません。そこに詰まっているのは、時間を越えても色あせない人の想い。
花巻の地で掘り起こされたのは、思い出の品だけでなく、「忘れかけていた絆」そのものでした。
50年という長い時間を経ても、人の心はつながり続ける――そのことを静かに、しかし確かに教えてくれた『ひむバス!』の旅でした。
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