京都修学旅行の異変と白河の旅で見えた“今の日本”とは?
修学旅行といえば「京都」と思っていた方も多いのではないでしょうか。でも今、その常識が変わりつつあります。さらに、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』に出演中の井上祐貴さんが、役のゆかりの地・福島県白河市を訪ね、意外な歴史とグルメに触れる旅も紹介されました。この記事では、番組の内容を通して「観光」「学び」「地域の魅力」について深掘りしていきます。
NHK【あさイチ】愛でたいnippon冬の長野特集!野沢温泉・背徳のあんバターおやき・黒曜石ミュージアム|1月9日放送
修学旅行の定番・京都に異変
番組の冒頭では、京都への修学旅行が減少している現状が伝えられました。取材された中学校では、開校以来20年近く行き先が京都だった修学旅行を、来年度から四国へ変更することを決定。
理由は、昨年の旅行でオーバーツーリズムに直面したことです。観光客で混雑し、バスにも乗れず目的地に行けないなどのトラブルが多発。さらに、物価上昇で旅費が予算を超過し、やむを得ず行き先を見直す結果になりました。
白鳥久美子さんは自身の中学時代を振り返り、「京都はベタだと思っていたけど、歴史の勉強には本当に役立った」と語りました。
一方、井上祐貴さんは「自分の修学旅行は長崎でした」とコメント。行き先は違っても、当時の学びや記憶が今も強く残っていると話しました。
日本修学旅行協会の竹内秀一さんは、「費用が高騰しても追加徴収を家庭が受け入れにくい」「経済的理由で参加できない生徒も出てしまう」と指摘。2023年度の平均費用は1人7万円を超え、コロナ前より約3万円増加。教育現場の悩みが浮き彫りになりました。
修学旅行を支える旅館の苦悩と努力
京都の旅館業界もこの変化に直面しています。番組が取材した京都市内の老舗旅館では、年間約4万7000人の修学旅行生を受け入れています。客層の7~8割を占める学生旅行が減ると、経営に直結する大問題です。
物価上昇による影響も深刻で、米の仕入れコストだけで年間約280万円増。電気代・人件費・クリーニング代なども高騰しており、来年度から宿泊費を500円値上げしても赤字を避けられない状況が続いています。
それでも旅館側は、「子どもたちに京都の文化を体感してもらいたい」との思いで、布団を自分で敷く体験や、伝統芸能のステージなど、教育的な付加価値をつけて努力を重ねています。
一部の自治体では、修学旅行費の一部補助や無償化を進める動きもあり、「教育としての旅」をどう守るかが問われています。
井上祐貴さん、松平定信ゆかりの地・白河へ
続く「愛でたいnippon」では、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で松平定信を演じる井上祐貴さんが、定信ゆかりの地である福島県白河市を訪れました。
最初に立ち寄ったのはしらかわ観光ステーション。ここでは、白河市名物のラーメン情報を集めた白河ラーメンデータベースが公開されており、100軒以上の店舗情報を検索できます。
さらに注目なのが「白河ラーメンタクシー」。ラーメン好きなタクシードライバーが観光客をお気に入りの店に案内してくれるユニークな取り組みです。
井上さんが訪れた1軒目の店では、注文前に「お通し」として鶏ガラが出てくるという、珍しいスタイルに驚きの表情を見せました。
次に案内された店では、洋食出身の店主が開発したタピオカれもんラーメンを試食。はちみつを加えて味の変化を楽しめる一杯で、ラーメン文化の多様化を実感していました。
白河ラーメンのルーツは“松平定信”
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福島出身の白鳥久美子さんは、「白河では昔からラーメンが生活の一部だった」とコメント。
そのルーツをたどると、江戸時代に松平定信が凶作対策としてそばの栽培を奨励したことに行き着きます。これが後に製麺文化の発展を促し、今日の白河ラーメン文化につながったといわれています。
「食が地域の記憶をつなぐ」ことを象徴するエピソードでした。
南湖神社と定信の心
井上さんが旅の中で訪れたのが、定信が祀られる南湖神社。
天明の大飢饉で全国が混乱する中、当時わずか26歳の藩主だった定信は、自ら倹約を実践し、商人に協力を求めて食料を領民に配給。結果として白河藩では1人の餓死者も出なかったと伝えられています。
この功績により幕府の老中に抜擢されましたが、厳格な改革路線への反発から6年で失脚。しかしその後、白河に戻り、藩士も庶民も楽しめる南湖公園を整備しました。
当時としては画期的な「誰でも入れる公園」であり、日本の公共公園の原点とも呼ばれています。
また、公園の完成を祝って職人たちにふるまわれたお菓子が、今も地元に残る名物南湖だんご。素朴ながら、定信の“人を思う優しさ”が受け継がれている逸品です。現在、公園周辺では紅葉が見頃を迎え、湖面に映る景色と共に団子を味わう観光客で賑わっています。
白河だるま市とダルライザーの物語
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白河市のもう一つの伝統が、白河だるま市です。およそ300年前、松平定信が地域産業を活性化させるために奨励したのが始まり。現在では毎年2月に開催され、全国から10万人以上が訪れます。
近年は進化系だるまも登場し、京友禅を用いた華やかなだるまや、水晶をまとった高級だるまなども人気です。東京・浅草のアンテナショップでは外国人観光客にも好評で、海外からの需要も高まっています。
そして、白河を拠点に活躍するご当地ヒーローダルライザーも番組に登場。サングラスを外すと“だるまー”に変身するユニークな設定で、地域の子どもたちに大人気。伝統文化を現代的に発信する新しい形として注目されています。
スタジオにはさまざまな白河だるまが並び、干支やラーメンの絵柄など個性豊かな作品が紹介されました。
視聴者から井上さんへの質問「大河ドラマ『べらぼう』で一番大変だったことは?」に対し、井上さんは「セリフが多かったことです」と笑いながら答え、スタジオを和ませました。
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八潮市の道路陥没事故、その後
続く「ニュースのその後」では、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故の現在が報告されました。
事故から9か月が経過しても影響は続き、住民の多くが硫化水素による悪臭や健康被害に悩まされています。
事故現場周辺ではメッキが錆びるなど、生活環境にも変化が見られ、子どものぜんそくが悪化したという声もありました。
近畿大学の浦上拓也教授は、「下水道の老朽化が全国的な課題。特に地方自治体は財政難で、料金値上げの可能性もある」と解説。
県は住民への補償として、1世帯3万円+1人あたり2万円を支給。車のサビや健康被害についても追加補償を検討しています。完全復旧までは5〜7年を要する見込みです。
新潟から届いた“雪国アボカド”
「いまオシ!LIVE」では、雪国・新潟市で育てられる国産アボカドの話題。
ビニールハウス内で温度管理しながら、寒暖差を活かして栽培されています。アボカドは1万輪咲いても実をつけるのは1つほどという繊細な果実。
その希少な実を使ったスイーツ「アボカドと牛乳のゼラチンデザート」も紹介され、会場では驚きの声が上がっていました。
NHK【あさイチ】雪国アボカドが話題!新潟・せきね農園が育てる“日本一濃厚なアボカド”の秘密|2025年11月6日
「みんな!ゴハンだよ」豚バラとろろの混ぜそば・あおさの酢の物
料理コーナーでは、井上祐貴さんが登場。地元・白河のそばを使った豚バラとろろの混ぜそばと、あおさの酢の物が紹介されました。
レンジ調理で簡単にできる混ぜそばは、白河そばのもちもち感ととろろのまろやかさが絶妙。仕上げにあおさを加えることで香り豊かに。
あおさの酢の物は、シンプルながら磯の香りが引き立つ一品。どちらも「手軽に作れて体に優しい」と紹介されました。
NHK【あさイチ】井上祐貴が作る“白河風まぜそば”が話題!豚バラとろろ×手打ち麺の作り方・レシピ 奇跡のコラボとは|2025年11月6日
まとめ
この記事のポイントは3つ。
・京都修学旅行の定番が揺らぎ、教育旅行の形が多様化している
・白河では松平定信の「民を思う改革精神」が現代にも息づいている
・地域の伝統と新しい文化が融合し、全国各地で新しい魅力が生まれている
あさイチの今回の放送は、過去と未来、地方と都市、人と人とのつながりを考えさせられる内容でした。
修学旅行というテーマから見えてきたのは、「旅は学びであり、地域をつなぐ架け橋である」ということ。
そして、白河の松平定信が示した「誰もが笑顔になれる社会」の理念は、今も日本の各地で受け継がれています。
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