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NHK【映像の世紀バタフライエフェクト】銀座 百年の記憶 ― ゴジラが見た時計塔、モガが歩いた街、マダムが守った夜|2025年11月10日★

映像の世紀バタフライエフェクト

銀座が語る百年の記憶――時代を映す街の物語

華やかなネオン、老舗の時計塔、そして夜のラウンジに漂う落ち着いた空気。けれどその裏には、震災や戦争、復興の記憶が何層にも重なっています。この記事では、1954年の映画『ゴジラ』に登場する和光の時計塔から、モダンガールの時代、占領期のナイトクラブ文化まで、銀座が歩んだ百年の軌跡をたどります。まだ放送前の段階ですが、番組『映像の世紀バタフライエフェクト 銀座 百年の記憶』では、この街がどう時代を映してきたのかが描かれる予定です。放送後に詳細を追記します。

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“焼け跡から復興”と和光の時計塔が語る再生の象徴

銀座四丁目の交差点に立つ和光本館は、今も銀座の象徴です。建築家渡辺仁によって1932年に完成したこの建物は、当初は「服部時計店本館」として誕生しました。白い外壁と角の時計塔は、モダンデザインの粋を極めた当時の最先端建築で、関東大震災からの復興を象徴する存在でもありました。
しかし、戦争の影はこの街にも及びます。1945年の東京大空襲では周囲の多くが焼け落ち、和光の建物だけが奇跡的に残りました。戦後、焦土の中で人々が見上げたこの時計塔の鐘の音は、まさに「希望の音」だったといいます。

そして、1954年公開の映画『ゴジラ』。この作品で和光の時計塔が破壊されるシーンは、日本映画史の象徴的な場面として知られています。ゴジラは原水爆実験によって目覚めた“人類の過ちの象徴”でもあり、その怪獣が破壊するのが「戦後復興の象徴・銀座の時計塔」だったことには深い意味がありました。
当時、和光側は破壊描写に抗議したとも伝えられていますが、それほどこの建物は“時代の希望”を背負っていたのです。鐘の音が鳴り響くたび、戦後の人々は「もう一度立ち上がる」力をもらっていたのかもしれません。
銀座の街は何度も壊され、そして再び立ち上がる。和光の時計塔はその繰り返しの中で、時代の痛みと希望を静かに見守ってきた存在なのです。

関東大震災後のモダンガール時代――新しい女性像の誕生

1923年9月1日、関東大震災が東京を襲いました。銀座も壊滅的な打撃を受け、レンガ造りの建物の多くが倒壊しました。ところが、その後の「帝都復興事業」によって、銀座は再び息を吹き返します。広い通り、ガス灯、洋風の建物が立ち並ぶ都市として再生し、人々の憧れの街へと生まれ変わりました。
そしてこの復興の中で登場したのが、モダンガール(モガ)たちです。短く切った髪に洋服、赤い口紅をつけてカフェーで働く姿は、それまでの「家にいる女性」像を一変させました。モガは自分の人生を自分で選ぶ象徴。彼女たちが銀座の街を闊歩することで、女性の社会進出や自己表現の自由が時代の風として広がっていったのです。
男性たちはモダンボーイ(モボ)と呼ばれ、彼らと一緒に「銀ブラ(銀座をぶらぶらする)」を楽しむ光景が当時の新聞や写真に残っています。カフェ・ライオン、資生堂パーラー、服部時計店などはその舞台となり、銀座は「西洋と日本が混ざり合う新しい文化の実験場」となりました。
この時代の銀座は、ただの繁華街ではなく、「新しい生き方」を提案する場所でした。震災から立ち上がり、近代の夢を描いたその姿勢こそ、今の銀座の原点といえるでしょう。

戦後・占領期の夜――伝説のマダムたちと社交の美学

1945年の敗戦後、銀座は一夜にして焦土と化しました。しかし、人々はあきらめませんでした。戦後数年のうちに、焼け跡に立つバラックの中から商店やバーが次々と復活します。アメリカ進駐軍の兵士たちが集うようになると、ジャズやブランデーが流れ、銀座は“アメリカ文化の窓口”へと姿を変えました。
この時代を彩ったのが、銀座のマダムたちです。彼女たちはただのホステスではなく、教養と気品を備えた“夜の経営者”でした。クラブ「おそめ」を率いた上羽秀ママ、「エスポワール」の川辺るみ子ママなどは、その立ち居振る舞いが多くの人の憧れでした。政治家、文化人、経済人たちが夜ごと集い、会話を交わし、人と人を結びつける――銀座の夜は、社交の場であり、情報と文化の交差点でもありました。
マダムたちは、客の人生を知り、心を読んで接する。そこには“もてなしの哲学”が息づいていました。華やかでありながら緊張感のある空気、そしてそこに流れる人間模様。それが「夜の銀座」という舞台の本質でした。
戦後復興の影で、女性たちが社会で輝くために必要な強さと誇りを、この街は教えてくれたのです。

変わることで変わらない街、銀座の哲学

昭和から平成、そして令和へ。銀座は常に変化を恐れず、しかし本質を失わない街として進化してきました。
高度経済成長期には百貨店やデパートが人々の夢の象徴となり、松屋銀座銀座三越が行列を作るほどの賑わいを見せました。バブル時代には一晩で数百万円が動く高級クラブが話題となり、夜の銀座は「成功者の社交場」として君臨しました。
そして今。老舗の木村屋總本店資生堂パーラーは変わらずその味と空間を守りながら、一方でルイ・ヴィトン銀座並木通り店ティファニー銀座本店といった世界ブランドが立ち並びます。
古き良き文化と最新トレンドが共存する――それが銀座の最大の魅力です。
この街は、時代の波を何度も乗り越えながら、「変わることで変わらない」哲学を持ち続けています。それは、過去を壊さず、未来へ重ねていくという日本らしい再生の形でもあります。

まとめ

この記事のポイントは以下の3つです。
和光の時計塔は「壊されても蘇る」銀座の象徴であり、時代の転換点を見届けてきた。
モダンガールの時代には、女性の自由と新しい生き方が銀座から広まった。
戦後のマダム文化は、銀座を社交と人間ドラマの舞台として輝かせた。

2025年の今も、銀座は世界中の人々を惹きつける街であり続けています。
『映像の世紀バタフライエフェクト 銀座 百年の記憶』の放送後には、番組で紹介される貴重な証言や写真資料をもとに、さらに街の歴史を詳しく追記します。
変わることで輝きを増す――銀座は、まさに“日本の記憶”そのものです。

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参考・出典リンク

・Time Out Tokyo「ゴジラの足跡をたどる:銀座和光の時計塔と日本映画の象徴」
https://www.timeout.jp/tokyo/ja/film/visit-godzillas-stomping-grounds

・MyKaiju.com「Godzilla and the Wako Clock Tower」
https://mykaiju.com/godzilla-and-the-wako-clock/

・三原本店コラム「銀座・和光の時計塔と『ゴジラ』の深い関係」
https://miharahonten.jp/topics/archives/52

・銀座天國「震災を越えて復興した銀座とモダンガールの誕生」
https://www.tenkuni.com/column02/

・Japaaan「大正・昭和を駆け抜けたモダンガールたちの生き方」
https://mag.japaaan.com/archives/172493

・親分文庫「モダンボーイとモダンガール―銀座からはじまった新しい文化」
https://www.oya-bunko.or.jp/

・NEWSポストセブン「伝説の銀座ママたちが築いた夜の文化史」
https://www.news-postseven.com/archives/20210911_1689446.html

・文春オンライン「夜の銀座をつくったマダムたち」
https://bunshun.jp/articles/-/62721

・食べログ「銀座・老舗クラブの記録」
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/


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