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Eテレ【先人たちの底力 知恵泉】麻婆(マーボー)豆腐の父と母 陳建民・洋子|家庭中華の誕生秘話×エビチリ“ケチャップ+卵”誕生理由×担々麺“汁あり”の由来|2025年11月18日

先人たちの底力 知恵泉

あの“おなじみの中華”はどうやって生まれたんだろう?

マーボー豆腐、担々麺、エビチリ──どれも日本の食卓で当たり前に並ぶ人気メニューですよね。でも、ふと立ち止まって考えてみると、「本場の料理がどうしてこんなに日本の家庭に馴染んだの?」と気になったことはありませんか?

実はその裏には、陳建民さんと洋子さんという夫婦の、長い挑戦と深い愛情がありました。四川省から日本へ渡り、言葉・文化・食の違いを抱えながらも、日本人の暮らしに寄り添った“家庭中華”を作り上げた二人。その道のりは、料理の工夫だけでなく、人としての強さや優しさが詰まった物語です。

この二人が出会わなければ、いま私たちが当たり前に食べているメニューは生まれなかったかもしれません。

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四川省で始まった“さすらいの少年時代”

陳建民さんが生まれたのは1919年、四川省の富順県陽家嘴。豊かな自然はあるものの、家計はとても苦しく、小学校も2年しか通えませんでした。この幼少期の苦労が、後に料理の腕を磨く原動力になっていきます。

若いころの陳建民さんは、中国各地を渡り歩きながら、さまざまな店の厨房に入り、技を学びました。いわば“流れの料理人”。その経験が、後の大胆な発想や柔軟な工夫につながります。

日本へ渡り、ゼロからの再スタート

1952年、ついに日本へ。言葉も文化も違う国で、料理だけを頼りに立つのは決して簡単ではありません。しかし、持ち前の明るさと料理への情熱で、徐々に日本での仕事をつかんでいきます。

そして、ここで運命の出会いが訪れます。のちに妻となる洋子さんとの出会いです。

“夫婦の知恵”で家庭中華が生まれた理由

本場の四川料理は、とにかく辛くて痺れる「麻辣」が主役。しかし、日本では当時、この強さは受け入れられにくいものでした。

そこで陳建民さんは、「日本人が毎日家で食べられる中華」に作り変えようと決意します。ここで頼りになったのが、妻の洋子さんの感覚です。

たとえば──

・マーボー豆腐は、見た目を引き立てるため「赤く」
・担々麺は、ラーメン文化に合わせて「汁あり」で
・エビチリは、子どもにも人気が出るよう「ケチャップ+卵」でマイルドに

洋子さんは、味のバランスや見た目、日本の家庭で使える調味料などを助言しながら、レシピの完成を支えていきました。

さらに驚くべきは、陳建民さんが中国に残してきた妻子の世話まで洋子さんが見ようとしたという肝っ玉ぶり。人としての大きな懐が、家庭も料理も支えていました。

『きょうの料理』出演で全国に広まる味

1966年、NHK『きょうの料理』への出演が決まると、家庭向けの中華料理は一気に全国区になります。

分かりやすい説明、手に入る調味料、そして親しみやすい味つけ──これらが日本中のお茶の間に受け入れられ、家庭の食卓に“新しい定番”が登場しました。

マーボー豆腐
担々麺
回鍋肉
エビチリ

こうした料理が、全国の家庭に浸透したのはこの時期です。

三世代に続く“陳家の料理”

陳建民さんの背中を追うように、息子の陳建一さんが料理人へ。『料理の鉄人』で活躍し、“四川の鉄人”として人気を博しました。

さらに孫の陳建太郎さんも料理の道へ。三代で四川料理を日本に根付かせる「陳家ブランド」が確立されていきました。

そして全国に広がる四川飯店は、家庭では再現できない本格的な味を届ける存在として、多くのファンを生んでいます。

料理に込めた想い──困難を越えた先に生まれた“やさしさ”

中国からの移住、文化の壁、家族との別れ。簡単には語れない苦労の中で、陳建民さんは料理を通して人の心をつなごうとしていました。

自伝『さすらいの麻婆豆腐』には、そんな思いが随所に記されています。2003年には『麻婆豆腐の女房』としてドラマ化されるほど、その人生は多くの人の心を打つものでした。

まとめ:陳さん夫婦が残した“家庭中華”の大きな意味

この記事で紹介したポイントをまとめます。

陳建民さんは四川省出身で1952年に来日
・本場の味にこだわるのではなく「日本人が食べたい中華」を開発
・マーボー豆腐、担々麺、エビチリなどの家庭版を確立
・妻の洋子さんは味の調整・生活の支え・家族の橋渡しを担った
・『きょうの料理』で家庭中華が全国区に
・陳家三代が日本の四川料理を文化として根づかせた

今日からいつもの一皿がちょっと特別に

こうして歴史を知ると、いつも食べるマーボー豆腐が少し違って感じられませんか?
料理には、人の人生や努力が溶け込んでいます。
これを知ったうえで味わう家庭中華は、きっともっと温かいはずです。

最後に、番組の内容と異なる場合があります。


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