Eテレ【ETV特集】なぜ米軍統治下の沖縄で事件は続いたのか？軍法会議記録と琉球政府証言文書から読む1945−1972｜2025年12月6日

『琉球ノワール 1945−1972』

アメリカ統治下の沖縄で起きた数々の出来事を、眠っていた資料の発掘によって新しい角度から照らし出す番組です。終戦直後から本土復帰までの27年間、沖縄の人々がどんな現実と向き合い、どんな記録が残されてきたのか。その核心に迫る内容になっています。この記事では、放送前に分かっている情報を整理しつつ、この番組が描こうとしている「沖縄の知られざる歴史」の輪郭をお伝えします。放送後に、全内容を反映した記事に書き直します。

アメリカ統治下の沖縄はどんな時代だったのか

1945年、沖縄に米海軍が上陸し、同時に日本側の行政や司法は停止され、米軍の軍政が始まりました。この統治は、米軍政府、続いてUSCAR（琉球列島米国民政府）へと引き継がれ、1972年の沖縄返還まで続きます。
この間、広い土地が基地として接収され、島の社会構造は大きく変わりました。生活の場が奪われた地域も多く、経済・教育・自治制度も本土とは異なる特有の仕組みの中で進んでいきました。戦後の混乱と復興の狭間で、人々は基地と隣り合わせの暮らしを続け、行政も社会も“特別な状態”に置かれていた時代です。

米軍関係者による事件・事故の現実

統治下の沖縄では、米軍関係者が関わる事件や事故が繰り返されてきました。番組でも焦点となるのが、傷害、強姦、殺人、軍用機の墜落といった深刻な事例です。
一つひとつの事件を網羅できる資料は限られていますが、基地拡大や土地接収の影響で生活が壊れた住民の姿が多く記録されており、住民の権利や安全が脅かされていたことは確かです。当時は言論統制や監視も存在し、事件の扱いが住民と軍側で大きく食い違うこともありました。
公式記録が残っていない、または非公開のままというケースも多く、この分野の資料は断片化しやすい事情があります。まさに、番組が扱う「新たに発掘された資料」の意義がここに生まれます。

琉球政府が残した“被害者の証言文書”とは

補償を求めるため、当時の琉球政府は被害者の証言や状況をまとめた文書を作成していました。しかし、これらはすべてが整った形で残っているわけではなく、名称や体系が明確でない資料も珍しくありません。
当時は報道や出版が統制されていたため、被害の実態が表に出にくく、文書化が難航した背景があります。証言の多くが個人の聞き取りや非公開の書類として残っている可能性もあり、資料の保存・継承には大きな課題がありました。今回の番組が着目する“新たに発掘された文書”は、そうした失われかけた証言の姿を補う重要な史料となりそうです。

軍法会議の記録が示す米兵の裁かれ方

米軍関係者が事件を起こした場合、沖縄では日本の司法ではなく米軍の司法制度である軍法会議（court-martial）が適用されていました。どの事件がどう扱われ、どう裁かれたのか――その詳細は、当時の裁判記録を直接確認しなければ分からない部分が多くあります。
公的な情報として広く公開されている記録は限られており、住民の証言や新聞報道との間で食い違いが発生したケースもあります。つまり、軍法会議の記録は沖縄社会の歴史を読み解くうえで欠かせないものですが、その全容を知るためのハードルが高い領域でもあります。今回発掘されたとされる軍法会議の詳細記録は、当時の司法構造や米兵の扱いを理解する貴重な鍵になります。

新しい資料が照らし出す“沖縄の知られざる歴史”

沖縄の歴史研究では、占領行政、布告文書、土地収用記録、基地建設の経緯など、多様な資料が整理されつつあります。近年は、戦後直後〜返還までの空白を埋めるように、行政文書や個人の証言記録が次々と見つかり、新しい視点から沖縄の戦後史を再評価する動きが広がっています。
基地の存在が生活にどう影響したのか。復帰運動がどのように広がったのか。抑圧されていた言論の中で、人々が何を伝えようとしたのか。こうした点は、長いあいだ表に出てこなかった記録や証言がようやくつながり始めたことで、より立体的に見えてきています。
番組が扱う“琉球ノワール”というテーマは、暗い闇の中に隠されていた歴史の一部分を浮かび上がらせる試みでもあります。新資料を通して、沖縄が歩んだ特別な27年間の現実が新しい形で示されるはずです。

まとめ

今回のETV特集は、沖縄の戦後史を考えるうえで欠かせない資料に光をあてる内容です。米軍統治の背景、事件や事故の記録、琉球政府の証言文書、軍法会議の実像…これらは沖縄社会の根幹に関わるテーマであり、今を生きる私たちにも大きな示唆があります。
この記事では放送前の情報をもとに概要をまとめましたが、放送後に実際の内容を反映した形で全面的に書き直します。

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