氷点下20度でも生き抜くサルたちの知恵と旅
このページでは『シリーズHidden Japan マイティーモンキー 日本に新天地見いだしたサル(2026年1月4日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
舞台は北アルプスのふもと、上高地。ここで暮らすのは、世界でもっとも寒い環境に適応したサル、ニホンザルです。雪に覆われた森、凍りつく川、食べ物がほとんど見つからない冬。それでも群れは知恵と協力で命をつなぎ、春になれば子を産み、夏には標高1500mを超える大移動に出ます。番組が追ったのは、寒さに耐える姿だけでなく、進化の歴史と生きる力そのものでした。
世界でも異例の寒冷地に暮らす上高地のニホンザル
上高地は北アルプスのふもとに広がる山岳地帯で、冬になると気温はマイナス20度近くまで下がります。森の中では雪が1m以上積もることもあり、動物にとっては命の危険と隣り合わせの環境です。
それでもここには約250匹のニホンザルが群れで暮らしています。霊長類の中で、これほど寒い場所に定住している例は非常に少なく、上高地は「世界でもっとも寒いサルの生息地のひとつ」とされています。
雪に覆われた地面に直接座ると、体温は一気に奪われます。そこでサルたちは、笹を束ねて地面に敷き、即席の座布団を作ります。見た目は素朴ですが、体を冷やさないための合理的な行動です。
こうした小さな工夫の積み重ねが、長く厳しい冬を乗り越える力につながっています。上高地のニホンザルは、寒さをただ耐える存在ではなく、環境に合わせて行動を選び続けてきたサルだと分かります。
冬を越えるための食べ物探しと川の利用
冬の森では、木の実や草の葉はほとんど見つかりません。上高地のニホンザルは、栄養が多くないと分かっていても木の皮をかじり、空腹を抑えます。これは生き延びるための選択です。
それでも森の中だけでは食べ物が足りません。そこで群れは川へ向かいます。冷たい水の中で石をひっくり返し、その裏に隠れている水生昆虫を探して食べます。
この行動は冬の貴重なタンパク源となり、上高地ならではの特徴的な採食行動として知られています。
番組ではさらに、浅い湿地で魚を捕まえる姿も紹介されました。ニホンザルが生きた魚を捕食する例は世界的にも極めて珍しく、上高地の環境が生んだ特別な行動といえます。
食べ物が少ない冬ほど、群れの中の序列ははっきりします。順位の高い個体が先に食べ、奪い合いになれば激しい争いに発展することもあります。限られた資源の中で生きる厳しさが、群れの姿から伝わってきます。
群れのルールと命を守る行動
ニホンザルの群れは、母親とその子、さらに孫へと続く母系を中心に成り立っています。雌は生まれた群れで一生を過ごしますが、雄は5歳ほどになると群れを離れ、別の群れへ移動します。
新しく来た雄は、雌たちに受け入れられて初めて群れの一員として認められます。
子育ては基本的に母親の役目です。子ザルは母親の体にしがみつきながら成長し、少しずつ行動範囲を広げていきます。
もし雄が子どもの世話をしている姿が見られた場合、それは群れの中で信頼を得ている証とされています。
また、天敵であるキツネの気配を感じると、1匹が察知した危険を声や動きで群れ全体に知らせます。
こうした情報共有は、個体だけでなく群れ全体の命を守るために欠かせません。厳しい自然の中では、協力し合うことが生存につながります。
寒さをしのぐ猿団子と温泉という特別な環境
夜の冷え込みが特に厳しい日、ニホンザルたちは体を寄せ合い、「猿団子」と呼ばれる状態になります。
何匹もの体が密着することで体温が保たれ、寒さをしのぐことができます。これは冬の上高地でよく見られる行動です。
番組では、群れとはぐれた子ザルが必死に後を追い、雪と冷たい川を越えて群れに合流する場面も描かれました。
母親の元へ一目散に駆け寄る姿からは、厳しい環境の中での家族の結びつきが強く感じられます。
さらに群れが移動した先には、水温40度ほどの温泉が湧く場所がありました。野生のニホンザルが天然の温泉を利用する姿は非常に珍しく、上高地という土地の特異な自然条件を象徴しています。
地域ごとに違うニホンザルの暮らし方
番組では、上高地以外に暮らすニホンザルの行動も紹介されました。
宮崎県の幸島では、人が与えた芋を海水で洗い、塩味をつけて食べる行動が知られています。この行動は親から子へ伝わり、長い時間をかけて定着しました。
宮城県の金華山では、森の食べ物が不足すると、荒波が打ち寄せる海岸で海藻を拾って食べます。波の引く一瞬を狙う必要があり、危険を伴う行動です。
それでも命をつなぐため、サルたちは環境に合わせた選択をします。
同じニホンザルでも、暮らす場所によって知恵と行動は大きく変わります。地域ごとの違いは、サルの柔軟さと学習能力の高さを示しています。
春の誕生と夏の大移動
4か月に及ぶ冬が終わり、春になると森には若葉が芽吹きます。柔らかく栄養豊富な若葉は、冬を越えたニホンザルにとって欠かせない食べ物です。
春は出産の季節でもあり、子ザルは生後数日で歩き始め、周囲の物に強い興味を示します。少しずつ母親から離れ、1匹で行動する時間が増えていきます。
夏になると状況は一変します。葉は成長して硬くなり、川は増水して近づけなくなります。
群れは食べ物を求め、2か月以上歩き続け、北アルプスの槍ヶ岳頂上付近を目指します。ふもとの森との標高差は約1500mです。
頂上付近には高山植物の実がなり、ハイマツの実という栄養価の高い食べ物があります。過酷な移動の先にあるこの実りが、夏を生き抜く力になります。
日本に広がったニホンザルの歴史
ニホンザルは約40万年前、朝鮮半島から当時陸続きだった日本列島へ渡り、各地へ広がったと考えられています。
寒さに強い体と社会性を武器に、南から北へと生息域を広げ、ついには世界でもっとも寒い場所に暮らすサルとなりました。
番組が描いたのは、極寒の中で耐える姿だけではありません。知恵を使い、仲間と支え合い、長い時間をかけて環境に適応してきた進化の歩みでした。
上高地のニホンザルは、日本の自然とともに生きてきた存在であり、その姿は今も変わらず山の中で続いています。
まとめ
『シリーズHidden Japan マイティーモンキー 日本に新天地見いだしたサル(2026年1月4日放送)』は、上高地を中心に、ニホンザルが極寒の自然でどのように生き、群れを守り、次の世代へ命をつないでいるのかを丁寧に描いた回でした。
笹の座布団、川での採食、猿団子、温泉の利用、そして槍ヶ岳への大移動。一つひとつの行動の積み重ねが、過酷な環境で生き抜く力になっています。日本の自然とともに歩んできたサルたちの姿は、人が生きる知恵を考えるヒントも与えてくれます。
NHK【ダーウィンが来た!】「槍ヶ岳を目指せ!ニホンザル謎の登山」驚きの行動理由とは?1月12日放送
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