春を迎える尼寺の暮らし
奈良の山あいにある音羽山観音寺。
ここで暮らす尼僧たちの四季の営みを描く番組がやまと尼寺 精進日記です。
この回では、ひな祭りの桃のお茶会、薪ストーブで作る干し野菜ピザ、そしてニワトコやフキノトウの山菜料理など、春の訪れを感じる出来事が続きます。
このページでは「やまと尼寺 精進日記(弥生 桃のお茶会 春はこぶ)(2026年3月7日放送)」の内容を分かりやすくまとめています。
山寺に訪れるやさしい春の気配と、人が集まり季節を迎える温かな時間を、番組の流れに沿って紹介していきます。
やまと尼寺 精進日記「弥生 桃のお茶会 春はこぶ」の舞台と春の始まり
やまと尼寺 精進日記「弥生 桃のお茶会 春はこぶ」は、奈良県桜井市南音羽にある音羽山観音寺を舞台に、住職の後藤密榮さんと副住職の佐々木慈瞳さんの春先の暮らしを映す回です。番組では、3月の山寺に少しずつ春が入りこみ、冬の名残と新しい季節の気配が同時に見えてくる様子が丁寧に描かれます。ひな祭りのお茶会、山菜料理、山仕事と、どの場面も大きな出来事ではないのに、見ているうちに心がゆっくりほどけていくのがこの回の大きな魅力です。NHKオンデマンドの番組紹介でも、干し野菜を使ったピザ作り、里の女性を招くお茶会、ニワトコやフキノトウの料理、展望台までの道を整える山仕事まで、この回で描かれる内容が一連の春の営みとして整理されています。
舞台の音羽山観音寺は、公式サイトによると奈良県桜井市南音羽832にある寺で、拝観案内では桜井駅南口から談山神社行きバスで下居バス停まで行き、そこから山道を歩いて向かう場所として紹介されています。山の中へ自分の足で入っていく寺だからこそ、番組に映る空気も町中の寺とは少し違います。寺伝では、藤原鎌足を祀る談山神社の鬼門除けの寺として始まったと伝えられ、奈良時代には「音羽百坊」と呼ばれるほど栄えた時期があったとされています。いまの静かな山寺の姿の奥に、長い祈りの歴史があることを知ると、番組の何気ない食事や作業の場面にも、時間の深みが加わって見えてきます。
冬を使い切る知恵 干し野菜と薪ストーブのピザづくり
この回の前半で印象に残るのが、冬のあいだに蓄えておいた干し野菜を使いきろうとする場面です。番組紹介では、三寒四温の尼寺で保存していた干し野菜を活用し、薪ストーブでピザを焼く流れがはっきり示されています。春が来るから新しいものへ向かうのではなく、まず冬にためたものをきちんと食べきる。その順番が、この寺の暮らしの美しさです。冷蔵庫に入っている物を何となく忘れてしまいがちな日常とは違い、山の暮らしでは保存した食材も季節の一部として扱われています。冬の知恵をしまうのではなく、春へ手渡していくような料理です。
干し野菜は、日本の山里で長く受け継がれてきた保存の知恵でもあります。水分を飛ばすことで日持ちをよくし、うまみを凝縮させる方法は、冷蔵設備が十分ではなかった時代から暮らしを支えてきました。番組はレシピ番組のように細かい分量を追うのではなく、保存食を無駄なく使う姿勢そのものを見せてくれます。しかもそれを、薪ストーブの火でピザに仕上げるところが楽しいです。精進料理というと質素で静かな印象を持つ人もいますが、この回では、火の力を借りてみんなで味わうあたたかな料理として表れます。山寺の台所は、我慢の場所ではなく、工夫で季節をつなぐ場所なのだと伝わってきます。
ひな祭りを彩る桃のお茶会と里の女性たちのにぎわい
3月3日のひな祭りには、潤子さんたち里の女性を招き、庭のイチョウの下で桃のお茶会が開かれます。番組概要でも、3月のひな祭りに里の女性を招いて庭のイチョウの下でにぎやかにお茶会をすることが、この回の柱として紹介されています。山の寺は静かな場所ですが、この日は閉じた空間ではなく、里とつながる開かれた場所になります。手づくりのお菓子が並び、春を迎える喜びをみんなで分け合う時間が流れます。寺の行事というより、地域の女性たちが季節を一緒に迎える集まりとして映るところに、この番組らしいやさしさがあります。
ひな祭りは、女の子の健やかな成長を願う行事として広く知られていますが、もともとは季節の変わり目にけがれを払う意味を持つ日本の年中行事です。桃の節句と呼ばれるのも、旧暦の3月ごろに桃の花が咲き、邪気を払う木と考えられてきたこととつながっています。だからこの回の「桃のお茶会」は、見た目が華やかなだけではなく、春を迎える節目の行事としてとても自然です。しかも、その舞台が音羽山観音寺の庭であることに意味があります。観音寺には奈良県指定天然記念物のお葉つきイチョウがあることで知られ、古木の存在が寺の風景に特別な厚みを与えています。番組で描かれるお茶会は、そうした歴史のある木の下で、人の時間と自然の時間が重なるひとときでもあるのです。
ニワトコとフキノトウで味わう早春の精進料理
今年は暖かく、番組ではニワトコやフキノトウが早く出てきたことが描かれます。そして、それらを白あえやかきあげにして、早春の味を楽しむ流れが続きます。ここで大切なのは、山菜がただ珍しい食材として出てくるのではなく、「春が来た」という知らせそのものとして料理になることです。冬の保存食を食べきる流れのあとに、今度は山から届く新しい恵みが食卓にのる。このつながりがあるから、番組全体が1本の季節の物語として立ち上がります。しかも精進料理として仕立てられることで、素材の香りや苦みが主役になり、春の輪郭がよりはっきり感じられます。
フキノトウは農林水産省の資料でも、平地では1月から3月ごろ、山間部では3月から5月ごろに出る日本原産の多年草フキの花茎で、独特の香りと苦みがあり、天ぷらやふき味噌などに使われると説明されています。また、しっかりあく抜きをして食べることが大切だとも案内されています。春先のほろ苦さを味わう山菜として、昔から親しまれてきた理由がよくわかります。いっぽうニワトコは、新芽やつぼみを山菜として利用する地域があり、天ぷらやおひたし、ごまあえなどに使われる例が紹介されています。番組で白あえやかきあげになるのも、山菜の香りややわらかさを生かす食べ方としてよく合っています。春の山菜が「苦いのにおいしい」と感じられるのは、冬のあとに体が季節の変化を受け取っているからかもしれません。そう思うと、この回の料理場面は、単なる献立紹介ではなく、山で暮らす人の体感そのものを映しているように見えてきます。
展望台への道を整える山仕事と音羽山観音寺の暮らし
この回の終盤では、里の大勢が集まって山仕事をする様子が描かれます。春の到来を前に、展望台までの道を整備するためです。番組紹介でも、この共同作業がはっきりと触れられていて、春を迎える準備が食卓の中だけで終わらないことがわかります。料理を作ることも、客を迎えることも、山道を整えることも、すべてが同じ暮らしの中にあります。ここがこの回のいちばん大きな見どころかもしれません。山寺の生活は、寺の建物の中だけで完結しません。参道や展望台へ向かう道、周囲の山の手入れ、人が安全に歩ける環境まで含めて、暮らしそのものが成り立っています。
音羽山観音寺の公式案内でも、下居バス停から寺まで約1.7キロ、駐車場からでも約1.5キロを歩く必要があるとされています。つまり、寺へたどり着く道は、訪れる人にとっても寺の一部です。山の寺にとって道を整えることは、景観づくりではなく、お参りする人を迎える準備でもあります。番組がこの山仕事をしっかり入れているのは、音羽山観音寺の暮らしが「自然の中で静かに暮らすこと」だけではなく、「自然と人の間を毎日手でつなぎ直すこと」だと伝えているからでしょう。春は勝手にやって来るのではなく、迎える人たちの手によって、少しずつ形になる。そう感じさせてくれる締めくくりです。ひな祭りのお茶会の華やかさも、山菜料理の香りも、この道を整える仕事があるからこそ、春の暮らしとしてひとつにつながって見えます。
この番組回は、やまと尼寺 精進日記らしい魅力がとてもよく出ています。冬の蓄えを食べきること、季節の行事を大切にすること、山菜で春を感じること、そして人が集まって山の道を整えること。その全部が、特別な言葉を使わなくても、暮らしの力として静かに伝わってきます。舞台となる音羽山観音寺の歴史や場所を知ると、その静かな30分の中に、奈良の山と人が積み重ねてきた長い時間まで感じられる1本です。
まとめ
奈良の山あいにある音羽山観音寺で営まれる、ゆったりとした春の暮らし。
この回では、ひな祭りの桃のお茶会、山菜料理、薪ストーブの料理、そして里の人たちと行う山仕事まで、やまと尼寺 精進日記らしい季節の営みが描かれます。
なお、この記事は番組の紹介情報をもとに内容を整理しているため、実際の放送内容と一部異なる場合があります。
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