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NHK【ドキュメント20min.】戦争の魅惑 開高健からの手紙|ベトナム戦争の現場で何が起きていたのか──輝ける闇と未公開手紙が示す“取材の真実”(開高健 戦場取材 家族への手紙・輝ける闇 第三部 未完)|2026年1月19日

ドキュメント20min.
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手紙が語る、戦争と作家の真実

戦争とは何か、人はなぜそこに引き寄せられてしまうのか。作家・開高健が遺した手紙は、その答えを簡単には許してくれません。ベトナム戦争の最前線で見た光景、家族にだけ明かした迷いと怒り、そして言葉にできなかった絶望。その一通一通が、戦争と人間の本質を鋭く照らします。
このページでは『ドキュメント20min. 戦争の魅惑 開高健からの手紙(2026年1月19日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。

開高健という作家を形づくった原点

昭和を代表する作家である開高健は、大阪で育ち、若い頃から社会の矛盾に目を向ける鋭い視点を持っていました。27歳で芥川賞を受賞して一気に注目され、文章の力で真実をえぐり出す作家として大きく存在感を示します。
その歩みの中で、彼がとくに強くひかれていったのが「人間が極限に追い詰められた場に立ち会うこと」でした。安全な場所から遠く離れ、あえて危険のただ中に入り、そこで何が起きているのかを自分の目で確かめようとする、その姿勢こそが開高の作品世界を大きく動かす原動力になったのです。
番組では、そんな彼の人生の核心にある“戦争”というテーマが、どれほど深く心を支配していたのかを、手紙という非常に個人的な記録を通して浮かび上がらせています。

ベトナム戦争を100日間追い続けた取材と家族への手紙

1960年代後半、ベトナム戦争の泥沼化が進む中、開高は朝日新聞社の記者として現地に向かいます。前線へヘリで入り、軍隊とともに行動し、銃弾の飛び交う中で人々の生活、兵士の感情、戦闘の現実に触れていきました。
遺品整理で見つかった300通以上の手紙のうち、ベトナムから送られた12通は、とくに生々しい戦場の記録です。砲撃の合間に、ホテルの薄暗い部屋で、あるいはメコン川沿いの拠点から、家族へ宛てて静かに綴られた言葉には、死がすぐそばにある生活の緊張と、それでも家族を想う優しさが同時に存在していました。
番組が紹介する手紙には、戦争の悲惨さと、言葉にできない迷いが何度も書き残されています。その言葉は、取材者としての冷静さと、一人の人間としての恐怖や悔しさのあいだを揺れ動く開高健の心をそのまま伝えています。

「平和のために戦争をする」という言葉が問いかけるもの

手紙の中には、「平和のために戦争をする」「自由のために死ぬとはどういうことか」といった矛盾を抱えた強烈な言葉が並びます。こうした表現は、単なる比喩ではなく、実際に彼が目にした現実から生まれたものでした。
手紙を書いた前日には、公開処刑される二十歳の青年を目撃したとされ、その場に漂った恐怖や無力感が、手紙の筆致に影を落としています。「自由」「平和」という大きな言葉の裏側で、日常を奪われる住民たちの生活、その理不尽さに押しつぶされそうになる心境が、淡々と記されています。
帰国後、開高は市民運動にも参加し、日本が戦争に加担しないよう訴え続けました。けれど同時に、「自分の見た現実をうまく伝えられない」という深い葛藤を抱え続け、その苦悩が次第に彼を文学へと向かわせていくことになります。

小説『輝ける闇』に刻んだ戦争の絶望

帰国から3年後、開高が発表した小説『輝ける闇』は、ベトナムの戦場で体験した恐怖や絶望を、文学として昇華しようとした作品です。従軍体験そのものを描くのではなく、戦争という極限状況で揺れる人間の心を、より深く、より重く描いています。
作品には、銃声の響きが止んだあとの異様な静けさ、人の姿が消えた熱帯の森、生きて帰れないかもしれないという覚悟がにじむ描写が続きます。戦場に漂う「気配」や「匂い」、言葉では説明しきれない“恐怖の温度”のようなものが、そのまま文章に刻み込まれています。
番組は、この小説を “戦場で見たものをどうにか伝えようとした試み” として扱い、手紙とともに紹介しています。開高が何を見て、どう傷つき、何に耐えられなかったのかを、この作品がもっとも正確に語っているためです。

それでも戦争は続くと語った晩年の開高

1975年にベトナム戦争が終わっても、世界のどこかでは常に戦争が続きました。開高はカンボジアの悲劇、歴史に刻まれた戦争画、世界各地の紛争の現場などを訪れ、人間がなぜ争い続けるのかを探り続けます。
その過程で、晩年の言葉はますます鋭さを増し、「戦争をやってもやらなくても人間の本質は変わらない」「これからも戦争ははびこる一方」と語るようになります。長年の取材の果てにたどり着いたその確信には、冷たさと、どうしようもない諦めが混ざっていました。
番組では、こうした晩年の言葉を、若い頃の手紙と並べて紹介し、開高健という作家が一生をかけて向き合い続けた重いテーマを、視聴者に深く考えさせる構成になっています。

未完の第三部が残した問いかけ

晩年、開高は神奈川の自宅で、戦争と人間をテーマにした『輝ける闇』の第三部に取り組んでいました。書斎には、世界中の紛争に関する資料が並び、そこに向き合い続ける日々がありました。
友人に宛てた手紙には、「書きたいことが多すぎてペンから出てこない」「おれは生を貪るつもりであります」と記され、まだ言葉にしたいものがたくさんあったことが伝わります。しかし、開高は58歳で亡くなり、第三部は未完のまま静かに残されました。
この未完の作品は、戦争を憎みながらも、なぜか人間は戦争にひかれてしまうという矛盾したテーマを、そのまま未来へ投げかけています。番組は、手紙の言葉と彼の生涯を丁寧に重ね合わせながら、いま世界で起きている戦争に向き合う私たち自身へ、静かで強い問いを突きつけて終わります。

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