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NHK【ドキュメント20min. 写真家 浅田政志 “家族の15年”を撮る】 浅田政志が見つめた野田村の“家族の記憶” 野田村立野田小学校震災伝承館と道の駅のだでつながる物語|2026年2月2日

ドキュメント20min.
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浅田政志が見つめた“家族の15年”とは

このページでは『ドキュメント20min. 写真家 浅田政志 “家族の15年”を撮る(2025年2月2日)』の内容を分かりやすくまとめています。
岩手県野田村に通い続けた写真家が、一つの家族に宿る時間の積み重ねを家族写真という形に凝縮しようとするとき、そこには言葉では語りきれない想いがあふれます。

震災を越えて歩んできた日々、変わっていく景色、強くなる絆。浅田政志がレンズ越しに追いかけたのは、ただの記念ではなく「生きてきた証」を写し取る一枚。
その物語を、ぜひ深く感じてみてください。

浅田政志という写真家と「家族写真」の歩み

写真家・浅田政志は、家族を主役にしたユニークな作品で注目されてきました。両親と兄、自分の4人が消防士やレーサー、極道、ラーメン屋など、さまざまな職業になりきって撮影したシリーズ「浅田家」で、第34回木村伊兵衛写真賞を受賞しています。写真界の芥川賞とも呼ばれる権威ある賞で、一気に時代を代表する写真家のひとりとして知られる存在になりました。

その後も、国内外の美術館や写真フェスティバルで展示を重ね、家族写真をテーマにした作品集やエッセイを発表し続けています。ありふれた日常や、家族のちょっとしたユーモア、照れくささをすくい上げるスタイルは、決して特別ではない「ふつうの家族」にスポットライトを当てるものです。

この活動が原案となり、中野量太監督、二宮和也主演で映画『浅田家!』が公開されました。作品の後半では、東日本大震災後の被災地で、泥だらけになった写真を洗浄し持ち主に返す活動に参加する姿が描かれています。

今回の「ドキュメント20min.」は、その映画にもつながる東日本大震災との関わり、そして岩手県野田村の家族たちを撮り続けてきた15年の歩みを、ぎゅっと20分に凝縮して見せていきます。

野田村で始まった写真返却ボランティアとの出会い

番組の起点となるのが、岩手県野田村との出会いです。三陸沿岸に位置する野田村は、2011年の東日本大震災で大津波に襲われ、大きな被害を受けました。

震災直後、「写真家として何かできるはずだ」と現地に入った浅田政志は、あまりの被害の大きさに、「写真にできることなんてない」と心が折れてしまいます。そんな彼の前に現れたのが、津波で流された写真を洗浄し、持ち主のもとに返すボランティアたちでした。

がれきの中から拾い上げられたアルバムや写真を、冷たい水で丁寧に洗い、干し、整理していく人たち。寒さのなかで無言に作業する姿を目の当たりにし、「写真が人の心を支える力」を、浅田は改めて思い知らされます。実際に野田村では、写真救済に関わるメンバーが「チーム北リアス写真班」となり、「写真返却お茶会」という場を何度も開き、住民に写真を返す活動を続けてきました。

水に浸かり傷んだ写真は、そのまま放置すれば菌の働きで劣化し、二度と見られなくなるといわれます。ボランティアが時間と手間をかけて洗浄し、誰のものか分からない写真を一枚一枚並べ、持ち主の手に戻していく。その現場に身を置くことで、浅田政志は「写真には、思い出をつなぎ直す力がある」という確信を得ていきます。

野田村の人たちとともに活動するうちに、単なる“よそ者のボランティア”ではなく、村の歴史と痛みを共有する存在になっていったこと。それがのちに、「恩返しとして野田村の家族写真を撮りたい」という思いにつながっていきます。

尾崎さん一家 震災直後に結ばれた夫婦の「初めての家族写真」

番組でまず描かれるのが、尾崎さん一家の撮影です。夫婦が結婚したのは、震災直後の混乱のなか。家族として歩み始めたタイミングと、東日本大震災の記憶が重なっている世代です。

ところが、これまできちんとした家族写真を撮ったことがなく、「いつか撮りたい」という気持ちだけが心の奥にしまわれていました。夫は妻より16歳年上。自分が先に亡くなるかもしれないという不安があり、「その前に、胸を張って残せる一枚がほしい」というのが、妻の長年の願いでした。

浅田政志が撮影の場所に選んだのは、震災直後に避難した小学校です。番組のテロップに出てくる「野田村立野田小学校震災伝承館」は、今も震災の記憶を伝える場として整備されている場所で、津波の教訓や復興の歩みを伝える展示が行われています。

避難所となった校舎は、尾崎さん一家にとって「命をつないだ場所」です。同時に、二度と思い出したくないほどつらい記憶が残る場所でもあります。その前に立ち、カメラを向けられると、夫の表情はどうしても硬くなってしまいます。

そこで空気をやわらげたのが、娘の存在です。普段どおりにはしゃぎ、父親にちょっかいを出し、自然と笑わせていく姿に導かれるように、夫の表情から緊張がほどけていきます。

やがてシャッターが切られたとき、そこには「震災を乗り越えた夫婦」と「その後に生まれた命」が同じフレームに収まっていました。避難所だった学校を背景にしながらも、写真全体から伝わってくるのは、恐怖ではなく、これから先の時間に向かう明るさです。

尾崎さんの妻にとって、その一枚は「夫に先立たれても後悔しないように」と願ってきた“悲願の家族写真”。震災を経て築かれた家族のかたちを、ようやく形にできた瞬間でした。

大沢さん一家 エコー写真がつないだ15年の家族の物語

もうひとつの重要な撮影の依頼主が、大沢さん一家です。震災が起きたとき、長女はまだ母のお腹の中にいました。

目に見えない不安が渦巻くなかで、夫婦を支えたのが、病院でもらった胎児のエコー写真でした。津波にのみ込まれ、生活の基盤が崩れていくなかでも、「お腹の中には、ちゃんと命がいる」と実感させてくれるその一枚が、ふたりの心を何度も支えたといいます。

15年たった今、長女はすっかり成長し、家族を盛り上げる存在になっています。番組では、「お祭り好きの一家」であることが紹介され、撮影のセットにもその性格が強く反映されます。背景には、お祭りの装飾品がふんだんに飾られ、華やかな色とりどりの世界が広がります。

見どころは、娘が当時のエコー写真のポーズを再現する場面です。かつて超音波画像の中に小さく写っていた姿を、今度は本人が自分の体でなぞる。その前後には、きっと親子でエコー写真を見返し、「あのときはね」と語り合う時間があったはずです。

震災から15年。赤ん坊の姿だった影は、今や一人の人間として笑い、動き、家族の中心になっています。その変化を一枚の写真で表現しようとする試みこそ、今回の「家族の15年」というテーマの核心だと言えます。

浅田政志は、単に「今の家族の姿」を撮っているのではありません。震災という大きな節目を挟んで変化してきた時間そのものを、写真の中に折りたたもうとしているのです。

道の駅のだでのお披露目と「これからのお守り」になる一枚

番組のクライマックスでは、完成した家族写真が地元の道の駅でお披露目されます。舞台になっているのは、野田村の玄関口としても知られる「道の駅のだ」です。ここは三陸鉄道リアス線陸中野田駅と一体となった施設で、物産館やレストラン、産直コーナーなどが集まる、観光と日常の拠点になっています。

野田村は、映画『浅田家!』のロケ地のひとつにもなりました。震災後にボランティアとして何度も通った場所であり、その実話が映画として全国に届けられたのちも、浅田政志は節目ごとに村を訪れ、写真を通じてつながりを深めています。

道の駅での展示は、観光客だけでなく、地元の人たちも日常的に訪れる場所だからこそ意味があります。

尾崎さん一家の写真も、大沢さん一家の写真も、震災の記憶と切り離せない背景を持っています。しかし道の駅に並んでみると、それぞれが「野田村に生きるふつうの家族」の姿として、明るい空気のなかに溶け込んでいきます。

写真を前にした家族たちの表情は、一様にやわらかく、どこか誇らしげです。「これからのお守りになるような写真になったら嬉しい」と浅田政志が語るとおり、その一枚一枚は、過去の痛みを閉じ込めるだけでなく、これから先の人生を支えてくれる“お守り”のような存在になっていきます。

震災遺構や伝承施設に残された写真が「過去を語るための写真」だとすれば、ここに並んだ家族写真は、「未来を守るための写真」だといってもいいかもしれません。

ドキュメント20min.が問いかける「家族の15年」の意味

今回の「ドキュメント20min. 写真家 浅田政志 “家族の15年”を撮る」は、短い時間のなかに、いくつもの深い問いを埋め込んでいます。

ひとつは、「写真には何ができるのか」という問いです。震災直後、「写真にできることはない」と感じた浅田政志が、写真洗浄ボランティアとの出会いを通して、「写真にできることはたくさんある」と気づいていく。その原点に立ち返りながら、今回は、被災地の家族の“その後の15年”を撮ることで、写真の役割をもう一度掘り下げています。

もうひとつは、「家族写真とは何のためにあるのか」という問いです。尾崎さん一家のように、「先に死んでしまっても後悔しないように」という思いから生まれる一枚もあれば、大沢さん一家のように、「あのときお腹の中にいてくれた命の証」を確かめ直すための一枚もあります。

どの家族にも、その家だけの歴史と事情があり、カメラの前に立つまでに積み重ねてきた時間があります。それをていねいにすくい上げ、ユーモアとまなざしを添えて形にするのが、浅田政志のスタイルです。

ナレーションを務める二宮和也は、映画『浅田家!』で写真家のモデルとなった人物を演じた経験を持つ存在です。その声が、震災からの15年を生きてきた家族たちの物語に寄り添うことで、ドラマと現実が静かに重なっていきます。

2026年という節目の年に改めて、「あの日からの時間を、私たちはどう生きてきたのか」「大切な人との関係を、これからどう残していくのか」。この番組は、野田村の家族たちの姿を通して、そんな問いを視聴者ひとりひとりに突きつけているように感じられます。

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