未来は真っ白だ!空を目指した20分の記録
このページでは『ドキュメント20min. 未来は真っ白だ!〜車で空を飛びたい男〜(2026年1月12日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
地上を走り、空を飛ぶ車を一人で作る研究者がいます。部品はすべて手作り。締切が迫る中、体調不良や家族の用事も重なり、開発は思うように進みません。それでも諦めず、完成と失敗の両方を抱えて展示の場に立ちます。
番組が描くのは、成功だけではない挑戦の姿と、「未来は自分で描くものだ」という静かな覚悟です。
夢の原点と「ゼロから作る人」への憧れ
主人公は、徳島大学の助教・山中建二さんです。
山中さんが挑んでいるのは、地上を走り、空も飛ぶという発想そのものが挑戦である空飛ぶ車の開発です。既存の技術を組み合わせるのではなく、部品を一つ一つ手作りしながら、自分の手で形にしていきます。
番組では、山中さんの原点として、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に登場するドク博士の存在が語られます。完成された未来の道具ではなく、「ゼロから作り出す人」への強い憧れが、研究の根っこにあります。だからこそ、失敗や遠回りを含めた過程そのものが、開発の中心に置かれています。
この姿勢は、番組タイトルである未来は真っ白だ!という言葉に重なります。正解のない未来に、自分の手で線を引き、形を描いていく。その覚悟と情熱こそが、山中さんのものづくりを突き動かしているのです。
手作り開発の現場と資金支援
番組でまず強く印象づけられるのは、「部品はすべて手作り」という事実です。
山中建二さんは、研究だけに専念できる環境にいるわけではありません。仕事の合間を縫いながら開発を続け、通勤に使っているのは40年前のバスです。研究者としての生活と、空飛ぶ車の開発は切り離されたものではなく、同じ日常の延長線上にあります。派手な設備や最新の工場ではなく、手の届く材料と工夫を積み重ねることで前に進んでいく開発だと、はっきり伝わってきます。
資金面でも、この挑戦は決して夢物語ではありません。
福祉施設社長の沼田美雪さんから1000万円の出資を受けていることが明記され、個人開発が現実のプロジェクトとして動いていることが示されます。資金は次の作業へ進むための力であり、覚悟を共有した支援でもあります。
さらに、山中さんは基本的に一人で製作を行い、回路設計や機械設計まで自分で手がけています。
すべてを自分の手でつくるという姿勢が、番組の描写を通して確かな重みをもって浮かび上がります。
締切1か月の追い込みと体調・家族の時間
山中建二さんの目標は、ジャパンモビリティショーへの出展です。
番組では「期限まで残り1か月」という厳しい状況が示され、さらに自身が体調を崩したことで、開発は思うように進まなくなります。時間も体力も足りない中で、それでも作業を止めない姿が映し出されます。
この挑戦は、研究だけの物語ではありません。
山中さんは、2月に一度は必ず両親と会い、病院へ連れて行くことを欠かしません。家族の時間と開発の時間は常に重なり合い、どちらかを切り捨てることはできない現実があります。その中で徹夜作業を重ね、予定より遅れながらも車体を完成させていく過程が、番組の大きな軸になります。
そして強く心に残るのが、「人が乗らなくても展示はできるが、それはやりたくない」という言葉です。
合理性よりも、開発者としての覚悟を選ぶ姿勢が、未来は真っ白だ!というタイトルと重なり、物語をより深く印象づけています。
完成後の改良とテストで見えた課題
車体は完成した瞬間がゴールではありません。
番組では、完成後さらに10日以上かけて改良を重ね、ようやく本格的なテストに進んだことが描かれます。陸上走行は成功し、形としての手応えは確かにありました。しかし、飛行は不安定で、試験中には部品の一部が壊れてしまいます。その結果、飛行試験を断念する判断に至ります。
ここで浮かび上がるのは、理想とは異なる現実の流れです。
挑戦し、部分的に成功し、問題が起き、そして引き返す。この順番こそが、実際の開発現場の姿だと、番組ははっきり示します。派手な成功談ではなく、限界を見極める決断まで含めて、ものづくりだと伝えてきます。
さらに番組では、会場の規則上、ジャパンモビリティショーでは実際に飛ばすことができない事情にも触れられます。それでも山中建二さんは、「本当に飛んだ車を展示したい」という思いを捨てませんでした。展示は飾りではなく、到達点を示す証であるという考えが、ここで明確になります。
安全が最優先される会場で、何を見せ、何を示すのか。
その葛藤の中で見えてきた課題は、次の挑戦へとつながる確かな一歩として残されました。
展示当日と「未来は真っ白だ」という言葉
展示当日、会場には多くの人が集まりました。
飛行試験を断念する判断を経ても、山中建二さんの挑戦はそこで終わりません。展示の場に立ち、「これで終わりじゃない」「未来は真っ白だ。自分で描いてつくっていくものだ」と語る姿が、番組の最後を締めくくります。完成しきらなかった現実を前にしても、視線は次の一歩へと向いています。
この場面が伝えるのは、成功だけが前進ではない、という事実です。
未完成のまま立ち止まらず、未完成だからこそ続いていく挑戦がある。その姿勢こそが、20分のドキュメント全体の結論として浮かび上がります。
過去には、徳島大学の空飛ぶ車が、有人での短時間の浮上実験に成功したという報道もあります。番組とは別の時点の出来事ですが、「飛ぶ」という目標が現実から遠い夢ではなく、少しずつ確かに近づいている分野であることを示しています。
だからこそ、この物語は終わりではなく、未来へ続く途中経過として心に残ります。
まとめ
山中建二さんの挑戦は、完成や成功だけを描く物語ではありません。部品を手作りし、時間や体調、家族の事情と向き合いながら、それでも前に進もうとする姿が描かれました。飛行試験を断念する判断も、挑戦の終わりではなく次につながる選択です。「未来は真っ白だ」という言葉には、正解のない道を自分の手で描いていく覚悟が込められていました。未完成のままでも歩みを止めない、その姿勢こそが、この番組が伝えた一番のメッセージです。
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