堀島行真が見たい「まだ見ぬ景色」と番組のテーマ
番組の主人公は、フリースタイルスキー・モーグル日本代表の堀島行真です。28歳になった今、彼がはっきりと口にするのが「五輪の金メダルは人生に必須」という言葉です。番組では、この強い言葉の背景にある不安や迷い、そのすべてと向き合う姿が描かれると紹介されています。
堀島が目指しているのは、迫るミラノ・コルティナ五輪でのモーグル日本男子初の金メダルという、前人未到の景色です。番組は、「まだ見ぬ景色」をテーマに、彼の日常の練習、遠征の様子、そして心の内側を追うドキュメンタリーとして構成されています。
岐阜から世界へ モーグル日本男子エースの歩み
堀島行真は岐阜県揖斐郡池田町出身。幼い頃から雪山に親しみ、1歳のころにスキーを始め、小学4年生で本格的にモーグル競技に取り組み始めたとされています。
高校3年生のときには、早くもワールドカップ開幕戦で3位に入り、国際スキー連盟(FIS)のルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出。中京大学進学後の2017年、スペイン・シエラネバダで開かれた世界選手権で、モーグルとデュアルモーグルの2種目を制し、日本男子として初の世界王者・しかも2冠という快挙を成し遂げました。
その後、平昌オリンピックでは11位に終わり、納得のいく結果を残せませんでしたが、2022年の北京大会では男子モーグルで銅メダルを獲得。日本中に名前が知られる存在になります。
現在はトヨタ自動車スキー部に所属し、ワールドカップ総合ランキング2位、個人総合優勝、通算20勝以上など、数字の上でも世界トップクラスの成績を積み重ねてきました。
ここで少し補足すると、モーグルは雪面のコブ(モーグル)をリズム良く滑り降りるスキー種目です。タイムだけでなく、ターンの質やジャンプの技の難度・完成度も採点対象で、スピードと技術、美しさを同時に求められる競技です。そのため、ワールドカップで何シーズンにもわたって上位を維持すること自体が、どれだけ大変な偉業かが分かります。
ノルウェー移住と「金メダルは人生に必須」という覚悟
番組紹介でも強調されているのが、堀島がスキー大国ノルウェーへ移住しているという点です。五輪本番とほぼ同じ時差・環境で過ごすことで、最高の状態でミラノ・コルティナに臨むための準備を進めているとされています。
ノルウェーはクロスカントリーやジャンプなど雪上競技王国として知られ、スキー技術だけでなく、雪質やコース作り、トレーニング環境も世界トップレベルです。そこに身を置くこと自体が、日々の生活から競技への意識を高める選択だと言えます。
堀島はインタビューで、「オリンピックの金メダルに敵うものは何ひとつない」「自分にとって金メダルは特別な存在」と語っています。その言葉は、番組サブタイトルにある「まだ見ぬ景色」とも重なります。手に入れたことがないからこそ、それをどうしても見たい。そのために、生活の拠点から人間関係まで大きく変える決断をしているのです。
番組では、このノルウェーでの生活にもカメラが入り、現地での練習風景や、現地のコーチ・選手たちとの関わり、雪山での1日の過ごし方などが紹介されるとされています。視聴者は、世界のライバルと同じ雪の上で、自分の滑りをどう磨き上げているのか、その一端を垣間見ることができます。
直筆ノートに記された“不安”との向き合い方
今回の回で大きなキーとなるのが、堀島が日々つけている直筆ノートです。番組情報によれば、このノートには試合や練習のたびに感じた「不安」が書き込まれ、それを一つひとつ潰してきた軌跡が残されていると説明されています。
スポーツ心理の世界では、自分の不安やネガティブな感情を「言語化」して紙に書き出すことで、頭の中を整理しやすくなり、プレッシャーと距離を取れると言われています。堀島のノートも、まさにその実践のひとつだと考えられます。
おそらく番組では、彼がノートをめくりながら、「どんな場面で不安が大きくなるのか」「その不安に対して、どんな準備や考え方で向き合ってきたのか」を具体的に話していく構成になるでしょう。そこには、成功した大会だけでなく、思うような滑りができなかったレースの記録も含まれているはずです。
読者として注目したいのは、ノートが単なる“反省帳”ではなく、次の行動につなげるための「設計図」になっている点です。失敗や不安を書いて終わりではなく、「だからこそ、次はこうする」と一歩踏み出すための道しるべとして使っているところに、世界トップアスリートとしての思考の特徴が見えてきます。
苦手技克服の反復練習とミラノ・コルティナ五輪への挑戦
番組紹介では、「苦手な技を克服するための驚異の反復練習」というフレーズも登場します。モーグルでは、ジャンプ台でのエア(宙返りやひねり)の難度が点数に大きく影響します。堀島は近年、1440(4回転スピン)など高難度の技にも取り組み、世界選手権で再び金メダルを手にしています。
高難度の技を成功させるには、何百回、何千回という反復が欠かせません。雪上だけでなく、トランポリンやウォータージャンプ施設なども活用し、身体に動きを染み込ませていきます。反復練習は単調で地味ですが、そこで得た「できる」という感覚が、試合本番で不安を上回る自信につながります。
2025–26シーズンのワールドカップでも、堀島は優勝や表彰台を重ね、ミラノ・コルティナ五輪に向けて世界ランキング上位をキープしています。直近のアメリカ・ウォータービルでの第5戦では、男子モーグルで今季2勝目・通算24勝目を挙げ、五輪代表もほぼ確実と報じられました。
さらに今回の五輪では、従来のシングルモーグルに加えて、1対1で競うデュアルモーグルも正式種目に加わります。これにより、堀島には2種目でのメダル獲得、さらには2冠のチャンスも広がっています。
番組は、こうした競技の状況やルールの変化も背景にしながら、「なぜ彼が今、あえて不安と向き合い続けるのか」を描こうとしています。勝つために“怖さ”を消すのではなく、不安を理解し、抱えたままスタート台に立つ。その姿は、スポーツファンだけでなく、日常の中で挑戦を続けるすべての人に重なるはずです。
なお、本記事は現時点で公表されている番組情報や過去の取材記事・公式プロフィールをもとにまとめた内容です。実際の放送では、ここで紹介した以上に踏み込んだエピソードや映像が登場する可能性があります。放送後には、番組で語られた具体的なシーンや言葉も踏まえて、内容をあらためて更新していきたいと思います。
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