さわやか自然百景「茨城・北浦」の冬を彩る水鳥たち
このページでは『さわやか自然百景 茨城・北浦(2026年3月1日放送)』の内容を分かりやすくまとめています。
茨城県にある細長い湖、北浦。秋から冬になると、遠い国から旅してきた水鳥たちが一気に集まり、湖面はまるで生きものの大広場のようににぎわいます。白く輝くハクチョウ、群れで舞うカモ、そして水辺を静かにねらうオオタカ。季節が変わるたびに姿を見せる野鳥たちの世界が、静かな映像とともに描かれていきます。
茨城・北浦とは?太平洋と霞ヶ浦にはさまれた細長い湖
番組の舞台は、茨城県南東部にある湖、北浦です。
地図で見ると、太平洋と霞ヶ浦にはさまれるように細長くのびた水面で、周囲はおよそ75キロ。霞ヶ浦水系の一部で、面積は約36平方キロメートルといわれています。
番組では、この細長い湖をゆっくりとカメラがなぞりながら、湖岸に広がるヨシ原や水田、低い空の広がりを映していきます。
遠くには防風林や集落の屋根が小さく見え、その手前に大きく横たわる水面。風が止まった朝には、空の色と鳥たちの影が、鏡のような湖面にきれいに映り込みます。
北浦は一年を通して多くの野鳥が見られる場所としても知られ、鉾田市側の「鉾田北浦」周辺だけでも、年間で約80種類の水辺の鳥が確認されています。
そうした背景を知ると、番組で映し出される1カット1カットが、単なる風景ではなく、「鳥たちの暮らしの舞台」なのだとわかってきます。
秋から冬、1万羽以上の水鳥が集まる北浦の朝
秋が深まり、空気が冷え始めるころ。北浦には、北の国から旅をしてきた水鳥が次々と集まってきます。
番組では、薄暗い明け方の湖面を、カメラが少し離れた位置からとらえます。
白や灰色、茶色の点のように見えていた鳥たちが、日が昇るにつれて輪郭を持ちはじめ、やがて湖面一帯が鳥の群れで埋め尽くされていることがわかります。
解説によると、秋から冬にかけてカモやカモメなど、あわせて1万羽以上の水鳥が北浦に集まると言われています。
遠くシベリアや北日本で繁殖した鳥たちが、寒さが厳しくなる前にこうした湖へ移動してきて、冬のあいだを過ごします。
水鳥の多くは、「渡り鳥」として季節ごとに場所を変えて暮らしています。環境省の調査によると、ハクチョウやカモの仲間は、繁殖地と越冬地を行き来しながら、数千キロにおよぶルートを毎年たどっていることがわかっています。
番組はその一端を、静かな北浦の朝の風景として切り取って見せてくれます。
カモとカモメが作るにぎやかな湖面の風景
太陽が少し高くなると、カモたちがいっせいに動き始めます。
水面をスイスイと泳ぐもの、羽づくろいをするもの、潜っては浮かび上がるもの。番組では、マガモやコガモのような淡い色合いのカモたちの姿が、アップで映し出されます。
一方、空からはカモメの仲間が飛び交います。湖面すれすれを滑るように飛んだかと思えば、急に空高く舞い上がり、またふわりと降りてくる。
数が増える時間帯には、鳴き声が重なって、湖全体が「にぎやかな町」のように聞こえてきます。
北浦水系では、湖岸のヨシ原や河口付近の湿地に多くの水鳥が集まることが知られており、コガモやオカヨシガモなどさまざまなカモ類が観察されています。
番組でも、種類ごとの体の大きさや色の違いがわかるようなカットが続き、鳥たちの「顔ぶれ」が自然と頭に入ってくる構成になっています。
ハクチョウの群れが舞い降りる関東の越冬地
やがて、遠くの空に白い点が現れます。
カメラがズームしていくと、それは大きな翼を広げて飛ぶハクチョウの群れ。長い首を伸ばし、声をあげながら隊列を組んで北浦へ近づいてきます。
番組では、群れが旋回しながら高度を落とし、水面に着水する瞬間までを丁寧に追いかけます。白い翼が水しぶきを上げて滑る様子は、冬の湖ならではの光景です。
北浦の湖岸には、潮来市水原地区の「白鳥の里」と呼ばれる一帯があり、シベリアから渡ってきたオオハクチョウやコハクチョウなどが100羽以上飛来する年もある、関東有数の観察スポットとして知られています。
秋から春にかけて、白い群れが湖面に浮かぶ姿は、この地域の冬の風物詩になっています。
番組の解説では、ハクチョウたちがシベリアなどの繁殖地と日本の越冬地を往復しながら、一生のあいだ何度も長い旅を続けていることにも触れられます。
視聴者は、美しい映像を楽しみながら、その背景にある「渡り」の壮大さにも思いをはせることができます。
オオタカが岸辺のカモを狙う一瞬のドラマ
静かに見える湖にも、厳しい生きもの同士の関係があります。
番組の中盤、岸辺で休んでいたカモの群れが、突然いっせいに飛び立つ場面が映し出されます。羽音が重なり、湖面が一瞬で白く泡立つように波打ちます。
その原因は、上空から急降下してきたオオタカ。
木立の陰から姿を見せた猛禽類が、水際近くで羽を休めていたカモを狙って飛び込む瞬間が、スローモーション気味の映像で描かれます。
成功するかどうかはその一瞬しだい。獲物をつかまえることができれば、オオタカにとっては貴重な食事になり、逃げ切れればカモにとっては命がつながる瞬間です。
こうしたシーンは、派手な演出がなくても強いインパクトがあります。
冬の湖は、ただ静かで美しいだけではなく、捕る側と捕られる側が日々せめぎ合う世界でもあることを、番組は淡々としたナレーションで伝えていきます。
レンコン畑に集まるバンとオオバンのくらし
北浦の周りには、レンコンの栽培で知られるハス田が広がっています。
番組では、収穫を終えたあとのハス田に目を向けます。茎や葉が切り取られ、水だけが残った田んぼのような景色。その水面に、小さな黒い影がいくつも浮かんでいます。
それは、バンやオオバンと呼ばれるクイナの仲間たち。
黒い体に白い額板が目立つオオバン、水草の間を器用に歩き回るバンたちが、水の上に残った草の実や水草をついばんでいます。
クイナの仲間は、水辺と陸地のあいだのような場所を好む鳥で、ハス田や湿地は格好のくらしの場所です。北浦周辺の湿地や水田でも、バンやオオバンが一年を通して観察されることが知られています。
番組は、湖という大きな水面だけでなく、こうした「半分田んぼ、半分池」のような細かな環境にも目を向けています。
同じ地域の中でも、場所によって集まる鳥が変わることを、映像でわかりやすく見せてくれる構成になっています。
北浦の水辺が教えてくれる、冬を生きる生きものたち
ラストでは、夕方の北浦がゆっくりと映し出されます。
夕日が傾き、湖面がオレンジ色に染まるなか、ハクチョウの群れは静かに羽を休め、カモたちは仲間同士で寄り添うように浮かんでいます。
時おり、水面を切り裂くように一羽が飛び立ち、その波紋が広がっていきます。
北浦のような水辺は、渡り鳥たちにとって「冬を生き抜くための宿」のような存在です。
日本各地には、ラムサール条約湿地に登録された湖沼や、冬の水鳥の越冬地として大切にされている場所がいくつもあり、北浦もまた、関東地方で数少ない貴重な越冬地のひとつとして知られています。
番組を見終わるころには、「どこか遠くの自然」ではなく、関東のすぐ近くにある身近な湖が、これだけ多くの命を支えているのだと実感できます。
さわやか自然百景「茨城 北浦」の回は、華やかな観光地を紹介する番組とは少し違います。
けれども、水面を埋める水鳥の群れ、真っ白なハクチョウ、そして湖岸の静かな風景を通して、「冬のあいだ、この場所でどんな暮らしが営まれているのか」を、やさしく、しかし印象深く教えてくれる内容になっています。
日常のほんの少し先にある、豊かな自然のリズムを感じたいときに、じっくり味わいたい一編です。
ご注意と追記について
この記事は放送前の情報をもとにまとめています。実際の映像や展開が放送内容と違う場合がありますのでご了承ください。放送後は、必要に応じて内容を追記していきます。
まとめ
茨城県の北浦に集まる冬の水鳥たちは、季節の移り変わりを教えてくれる存在です。白い翼を広げるハクチョウ、にぎやかに湖面を泳ぐカモ、自然の厳しさを伝えるオオタカの狩り。そのすべてが北浦という静かな湖に息づく冬の物語です。
NHK【さわやか自然百景】北海道 宗谷岬 秋から冬|渡り鳥が集まる壮大な宗谷岬 渡りルートとオオワシの迫力、そして増幌川でのオオハクチョウ 飛来も解説|2026年1月25日
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