茨城のカレンダー工場を探検!印刷だけじゃない驚きの技術と職人のこだわり|2025年3月22日放送
「探検ファクトリー」は、中川家とすっちーがさまざまな工場を訪れ、そこに隠された技術や職人のこだわりを紹介する番組です。今回の舞台は茨城県阿見町にあるカレンダー工場。カレンダーは毎年何気なく使っているものですが、実は印刷するだけではなく、職人たちの細かな技術と工夫が詰まったアイテムです。特に春の時期は、工場の繁忙期である秋とは違い、落ち着いて見学できる貴重なタイミング。すでに2025年度のカレンダー作りが始まっているこの工場で、カレンダーがどのように作られているのか、そしてどんな技術が詰まっているのかをじっくり探っていきます。
1000点以上のカレンダーコレクション!社長の並々ならぬカレンダー愛
工場を案内してくれるのは、強口邦雄社長。カレンダー工場の社長であるだけでなく、無類のカレンダーマニアでもあります。世界中から集めたコレクションは1000点以上。単なるカレンダーの枠を超え、まるでカレンダー博物館のような充実したコレクションを誇っています。
- 歴史的価値のあるカレンダーが多数あり、中でも江戸時代のカレンダーや、1898年のアメリカのカレンダーは特に貴重なものとされています。これらは単なる日付を知るための道具ではなく、その時代の文化や価値観が反映された資料ともいえる存在です。
- たとえば、江戸時代のカレンダーには現在のものと違い、旧暦が採用されており、縁起の良い日や行事が細かく記載されています。これは当時の人々がどのように日々の生活を送っていたのかを知る手がかりとなります。
- 海外のカレンダーも充実しており、1898年のアメリカ製のものはデザイン性が高く、装飾の細かさに驚かされます。企業広告や政治的なメッセージが盛り込まれているものもあり、当時の社会情勢を映し出す貴重な資料となっています。
コレクションの中には、単に日付が印刷されたものだけでなく、さまざまなデザインや仕掛けが施されたユニークなカレンダーもあります。
- アート作品のようなカレンダーも多く、20世紀初頭のフランス製カレンダーには美しいイラストが描かれ、まるでポスターのような仕上がり。
- 立体的なカレンダーも存在し、紙を折ることで建物や風景が立ち上がる仕掛けが施されたものもあります。
- 日本の古いカレンダーの中には、木版画で作られたものもあり、1枚ずつ手作業で摺られた味わい深いデザインが特徴です。
社長はコレクターとしての情熱だけでなく、新しいカレンダーの開発にも熱心です。
- 金運カレンダーは特に人気があり、金色のデザインや縁起の良いモチーフが取り入れられたもの。開運を意識したカレンダーは、多くの人に支持されています。
- 3か月カレンダーは、一目で3か月分を確認できる実用的なデザイン。企業やオフィスでの利用が多く、日程管理の効率が上がると好評です。
- スマホを差し込むと音が変わるカレンダーも開発されており、時代のニーズに合わせた斬新なアイデアが光ります。
しかし、中には商品化が難しかったものもあります。
- 「食べるカレンダー」は、紙の代わりにペーパーライスを使用し、食用インクで印刷するというユニークな発想から生まれました。
- しかし、カレンダーとしての保存期間を考えると、賞味期限や保存状態の管理が難しく、実用性の面で課題が多かったため、惜しくも実現には至りませんでした。
それでも、社長は常に新しい発想でカレンダーの可能性を広げることに挑戦し続けています。カレンダーを単なるスケジュール管理の道具としてではなく、「文化」「歴史」「アート」としての価値を持つものにしようとする情熱が伝わってきます。コレクションだけでなく、未来のカレンダー作りへのこだわりも、社長のカレンダー愛の深さを物語っています。
カレンダー製造の工程に隠された職人技
カレンダー作りは一見シンプルに思えますが、実際には多くの工程があり、それぞれに職人の技術が詰まっています。今回の工場では、「刷版(さっぱん)」→「印刷」→「断裁」→「丁合(ちょうあい)」→「製本」→「名入れ」という流れで製造が行われていました。
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刷版工程
カレンダー作りの第一歩となる「刷版」では、デザインをフィルムに印刷し、それをアルミ板に重ねて紫外線を当てることで文字や図柄を浮かび上がらせる作業が行われます。これは版画のような役割を持ち、実際の印刷のための「型」となるものです。担当の鈴木彩香さんによると、この工程で少しでもズレがあると、印刷されたカレンダー全体の仕上がりが変わってしまうため、慎重な作業が求められます。 -
印刷工程
次に「オフセット印刷」の工程へと進みます。ここでは、刷版をもとに機械でカレンダーを印刷していきますが、単にボタンを押せば済むわけではありません。インクの量と水分のバランスが重要で、微妙な調整を間違えると、カスレやにじみが発生してしまいます。印刷を担当する鈴木道和さんは、温度計や湿度計を常にチェックしながら、経験と感覚を頼りに調整を行っていました。 -
断裁工程
印刷が終わったカレンダーは、決められたサイズに切り分ける「断裁」の工程に進みます。ここでは、単純に紙を切るのではなく、紙をしっかり揃えて、ズレがないようにカットすることが重要です。担当の阿井正さんによると、紙を揃えるコツは「一枚ずつ空気を入れること」。- 紙同士がくっついたままだと、振動を与えても均一に揃わず、切り口がガタつく原因になる。
- 空気を入れることで、紙の間に適度な隙間ができ、スムーズに揃えやすくなる。
- 一見地味な作業に見えるが、この工程をしっかり行うことで、美しい仕上がりのカレンダーが生まれる。
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丁合(ちょうあい)工程
カレンダーは12か月分の紙を1冊にまとめる必要があります。この作業を「丁合」と呼びますが、部数が少ない場合は手作業でまとめることもあり、ここが職人技の見せどころ。特に重要なのが、カレンダーの順番が正しく揃っているかの確認です。- 高橋さんは、100枚のカレンダーをわずか10秒で検品できる驚異のスピードを持つベテラン職人。
- ページが1枚でもずれると、1年を通して使うカレンダーとしての価値が台無しになってしまうため、この確認作業は欠かせない。
- 大量生産のものは機械で行うが、最終的には職人の目視チェックが必要。
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製本と名入れ
最後に、カレンダーを糊付けして製本し、壁掛け用の穴を開けたら完成。しかし、この工場の主力商品である「名入れカレンダー」には、さらにもう一つの工程が加わります。- 企業名やロゴをカレンダーに印刷する名入れ作業は、販促用として多くの企業が注文するため、一日に大量のカレンダーが加工される。
- 名入れ担当の高橋秀江さんは、1日に1万枚以上のカレンダーに企業名を印刷する驚異のスピードを誇る。
- ページをめくりながら、機械の往復に合わせて名入れを行う作業は、慣れていなければ簡単にはできない。
このように、カレンダー作りには単なる印刷やカットの作業以上に、職人たちの経験と技術が活かされていることが分かります。たくさんの人の手を経て作られたカレンダーが、私たちの日常に欠かせないものとして活用されているのです。
卓上カレンダーも探検!高速で製本される秘密とは?
壁掛けカレンダーだけでなく、卓上カレンダーも製造されています。卓上カレンダーは、印刷されたカレンダーと台紙を機械にセットし、ペダルを踏むと自動でリングがかけられる仕組みになっています。この工程を担当するのは佐久間莉沙さん。繁忙期には、15分間に200冊という驚異的なスピードで製本を行っています。さらに、卓上カレンダーにも名入れをすることができ、企業ごとに異なるデザインのカレンダーが作られています。
まとめ – カレンダー作りに込められた「愛」
今回の探検を通じてわかったのは、カレンダー作りに込められた職人のこだわりと愛です。単なる日付を記す道具ではなく、一つひとつの工程に細かい技術と工夫が詰まっていました。特に、社長をはじめとする職人たちがカレンダーに持つ愛情は、ものづくりの大切さを改めて感じさせてくれました。私たちが普段何気なく使っているカレンダーも、こうした努力と情熱によって生み出されていると考えると、今までとは違った視点でカレンダーを眺めることができそうです。
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