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チリ・サーモン生産者に“ありがとう”サーモン養殖はどう作られる?チリ産が安い理由と日本の食卓との関係

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チリ・サーモンが日本の食卓を支える理由

私たちが普段食べているサーモン。その多くが遠く南米から届いていることを知っていますか。実はチリ・サーモンは、日本の食卓に欠かせない存在です。なぜここまで広がったのか、その裏には養殖技術や人の努力、国をこえたつながりがあります。

『世界で開け!ひみつのドアーズ(チリ・サーモン生産者に“ありがとう”)(2026年4月8日放送)』でも取り上げられ注目されています。身近な食べ物の裏側を知ることで、毎日の食事の見え方が大きく変わります。

この記事でわかること
・なぜチリ・サーモンが日本で多く食べられているのか
・養殖から加工までのしくみと工夫
・サーモン産業が地域をどう変えたのか
・日本とチリの深いつながりの背景

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チリ・サーモン養殖の現場に密着!120万匹を育てる最前線

チリ・サーモンが注目されるいちばん大きな理由は、日本の食卓にかなり深く入り込んでいるからです。日本の公的統計では、サケ・マス類の主な輸入先はチリで、2023年の水産物輸入先でもチリは上位に入っています。つまり、私たちがスーパーや回転ずしで何気なく見ているサーモンの多くは、遠い南米の海とつながっているのです。

しかもチリは、世界の養殖サーモン生産でもノルウェーに次ぐ大きな生産国です。近年のデータでも、世界のサーモン・トラウト生産のかなり大きな割合を担っていて、日本向け輸出でも重要な位置を占めています。とくにギンザケやトラウトでは存在感が強く、日本向けの冷凍ギンザケの輸入量のほぼすべてを支えているという数字も出ています。

では、なぜチリでここまで大規模な養殖ができるのか。背景には、南部に広がる冷たい海、水深、入り組んだフィヨルドや湾があります。波が強すぎず、海水の環境を管理しやすい場所が多いため、海面のいけす養殖に向いています。ただし、魚はとてもデリケートで、水温や病気、えさの量、成長のタイミングを細かく見なければなりません。大きな養殖場では、給餌や環境管理に機械やデータ管理が使われ、見た目以上に高度な産業になっています。

ここが面白いところで、サーモン養殖は「海に魚を入れて待つだけ」ではありません。実際には、生き物の管理工場のような精密さの両方が必要です。だからこそ、120万匹規模の現場が成り立つのは、自然だけでなく、人の技術と判断がずっと積み重なっているからだと分かります。こうした背景を知ると、『世界で開け!ひみつのドアーズ チリ・サーモン生産者に“ありがとう”』が関心を集めた理由もよく見えてきます。

サーモン加工は20分勝負!スピードと職人技の裏側

サーモンは育てるのに長い時間がかかる一方、加工はとても短時間で進める必要があります。理由はシンプルで、魚は水揚げされたあとに鮮度がどんどん変わるからです。だから現場では、血抜き、内臓処理、冷却、頭落とし、三枚おろし、骨抜きまでを、流れるようにつなげていきます。加工場が「時間との勝負」と言われるのは、このためです。

中でも大事なのが骨抜きです。見た目がきれいでも、小さな骨が残っていると食べやすさが大きく下がります。国際的な加工基準でも、骨を取り除いたフィレははっきり区別されていて、食べやすさと商品価値の大きなポイントになっています。つまり、加工はただ切る作業ではなく、「安心して食べられる形」に仕上げる仕事でもあります。

ここで比較すると分かりやすいのですが、魚の価値は「どこで獲れたか」だけで決まりません。どれだけ早く、きれいに、むだなく加工できたかでも大きく変わります。とくに日本は、切り身、寿司、刺身、焼き物など、用途が細かく分かれる国です。そのため、加工段階での精度が高いほど、日本の売り場や外食で使いやすくなります。

つまり、私たちが食べる一切れのサーモンの裏には、海の現場だけでなく、冷やす速さ、骨を抜く正確さ、運ぶタイミングまで含めたチームプレーがあります。ここを知ると、「安定しておいしい魚」がどうやって作られるのかが、ぐっと具体的に見えてきます。

サーモンはこう育つ!4段階の養殖プロセスを解説

サーモン養殖は、ざっくり言うと親魚→卵と稚魚→淡水育成→海水育成という流れです。これは番組で紹介された流れとも重なりますが、実際の国際的な養殖情報でも、まず陸上の淡水施設で育て、海に移して太らせ、目標の大きさになったら出荷するのが基本です。

最初の大きな山場は、海水に慣れられる体に変わる時期です。これを「スモルト化」と呼びます。淡水で育った魚が、そのまま海で元気に育つわけではありません。体の仕組みが海用に切り替わらないと、うまく生きられないのです。この段階までにおよそ8〜10か月かける例があり、養殖が「すぐできる生産」ではないことが分かります。

海に出たあとは、いけすの中でさらに8〜18か月ほど育て、重さが3〜5キロほどになったら水揚げに向かいます。つまり、卵から出荷サイズになるまで、かなり長い時間が必要です。番組内で約2年とされた感覚は、実際の生産サイクルとも大きくずれていません。魚の成長は、工場の製品のように一律ではないので、水温や健康状態を見ながら進める必要があります。

この流れが注目されるのは、サーモンが“天然っぽく見えるのに、実は非常に計画的に育てられている魚”だからです。親魚の管理、えさ、淡水と海水の切り替え、病気対策、出荷サイズの判断まで、全部がつながっています。だからサーモン養殖を知ることは、ただ魚を知るだけでなく、現代の食料生産のしくみを知ることでもあります。

貧困地域を変えたサーモン産業の成長ストーリー

チリ南部のサーモン産業が大きく注目されるのは、単に輸出で成功したからだけではありません。地域の暮らしそのものを変えたからです。サーモン産業は今やチリの主要な輸出産業のひとつで、近年の数字では銅に次ぐ第2位の輸出品とされます。これは、一つの食材が国の経済を支えるほど大きくなったことを意味します。

また、雇用の面でも影響は非常に大きく、近年の集計では、サーモン産業のバリューチェーン全体で約8万6,000人規模の仕事を支えているとされています。南部地域では、養殖場だけでなく、えさ、輸送、加工、冷凍、港、機械整備など、関連する仕事が広く生まれます。つまりサーモンは、一匹の魚ではなく、地域経済を動かすエンジンになっているのです。

ただし、成長には明るい面だけでなく、考えるべき点もあります。チリのサーモン養殖は急成長する中で、病気の流行抗菌薬の使い方海の環境への負荷が課題になってきました。2007年のISA感染症の大きな流行のあと、監視や防疫の仕組みが強化され、より厳しい管理が求められるようになりました。大きくなった産業だからこそ、量だけでなく、持続できるやり方が問われているのです。

ここが、このテーマのいちばん大事な意味かもしれません。サーモン産業は、地域を豊かにする力を持ちながら、同時に自然とのつき合い方も試される産業です。だから「すごい産業だね」で終わらず、「どうすれば長く続けられるか」まで考えると、見え方が一段深くなります。

日本人が支えたチリ養殖の始まりと技術革新

実は、チリのサーモン養殖には日本人の関わりがかなり早い時期からありました。国際機関や研究資料では、チリのサーモン養殖は1970年代末に本格化し、日本の企業や技術者が海面養殖の立ち上げに関わったことが示されています。プエルトモント近くでの海面養殖は、当時としてはかなり先進的な挑戦でした。

さらに、技術協力の資料には、長澤有晃という日本人専門家が、チリ側の技術定着を支えたことも残っています。チリ政府側の担当者と日本人技術者が一緒になって、卵や稚魚、育成、海面養殖の知識を積み上げていったからこそ、いまの大きな産業の土台ができたわけです。これは「外国に工場を作った」というより、技術と人材を一緒に育てた歴史として見ると分かりやすいです。

しかも面白いのは、チリにもともとサーモンは在来の魚ではないという点です。19世紀からスポーツフィッシング向けに持ち込まれ、その後、養殖という形で大きな産業になりました。つまりチリのサーモン産業は、自然に昔からあったものではなく、国際的な技術移転と挑戦の積み重ねで作られた産業です。

この歴史を知ると、サーモンは「海外の魚」というより、日本とチリが長い時間をかけてつないできた食文化と産業の結晶のように見えてきます。だから草創期の話が心に残るのです。そこには、物を売る話だけでなく、遠い国どうしが学び合った物語があります。

日本の食卓を支えるチリからの“ありがとう”

日本でサーモン人気が大きくなった背景には、食べ方の変化があります。公的資料では、1990年代以降、チリや北欧からの養殖サーモンが広く流通し、生で食べるサーモンが日本で定着していったことが示されています。さらに、切り身やフィレのように「調理しやすい魚」が好まれる流れもあり、サーモンは家庭でも外食でも強い魚になりました。

近年は物流の事情も、チリ産の存在感を高めました。2022年には、北欧からの生鮮サーモン輸送が空路の問題で不安定になり、日本では一部で供給減が起きました。その中で、チリやカナダからの輸入増加が見られたと公的資料にあります。つまり、チリ産サーモンは「いつもの輸入品」ではなく、日本の食卓を支える代替力も持っていたのです。

そして、ここにこのテーマの温かさがあります。日本で食べられているサーモンは、海の向こうで育てる人、運ぶ人、加工する人がいて、はじめて一皿になります。私たちはつい売り場の魚だけを見ますが、本当はその後ろに地域の暮らし、技術、歴史、国どうしのつながりがあります。

だから「ありがとう」という言葉には、ただ感動的というだけではない意味があります。毎日の食事は、見えない誰かの仕事に支えられている。チリ・サーモンの話は、そのことをとても分かりやすく教えてくれます。サーモンを好きな人にも、食の裏側に興味がある人にも、このテーマが強く響くのはそこです。


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