放送100年!春の72分拡大版スペシャル|2025年3月28日放送
2025年3月28日、NHK総合で『チコちゃんに叱られる!放送100年!春の72分拡大版スペシャル』が放送されました。今回は放送100年を記念し、『連続テレビ小説 あんぱん』から今田美桜さんをゲストに迎え、歴代のクイズ番組や日常の疑問に迫る特別企画が盛りだくさんでした。その気になる内容を、分かりやすく詳しくご紹介します!
デパート1階に化粧品売り場がある理由は馬のフン!?
デパートに行くと、入り口すぐに広がる化粧品売り場。色とりどりのパッケージやいい香りが漂っていて、つい立ち寄りたくなります。でも実はこれ、見た目や使いやすさのためだけではないのです。
昔、今のように車がない時代、人や物を運んでいたのは馬車でした。特にイギリスやアメリカの都市部では、毎日多くの馬車が行き交っていました。そしてその馬たちが道端でフンを落としていたため、道路はかなり臭っていたのです。
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デパートの入り口付近も例外ではなく、馬のフンの臭いが漂っていた
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臭いに悩んだ店側が、香りの強い化粧品を入口に並べるようにした
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香水や化粧品の香りで、嫌な臭いをごまかすための工夫だった
この新しい売り場の工夫を最初に取り入れたのが、イギリス・ロンドンの老舗デパート「セルフリッジズ」。創業者はアメリカ人のハリー・ゴードン・セルフリッジさんです。
彼はもともと、シカゴの有名デパート「マーシャル・フィールド」で働いていた経験を持ち、アメリカ流の大量販売をヨーロッパでも展開できると考え、イギリスに進出しました。
ところが当時のイギリスでは、
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化粧品を人前で買うことが恥ずかしいとされていた
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女性たちはこっそりと買うのが当たり前だった
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そのため、1階の目立つ場所に置くのには強い反発があった
それでもセルフリッジさんは信念を曲げず、化粧品売り場を入口に配置しました。その結果、
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おしゃれに敏感な女性たちの心をつかみ、売り上げは大成功
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香りも楽しめて、おしゃれもできる場所として注目されるようになった
これが口コミなどで世界中に広まり、日本のデパートでも1階に化粧品売り場を置くのが定番になりました。
つまり、化粧品売り場が1階にある理由は「おしゃれ」や「見た目」だけでなく、馬のフンの臭いを消すためという、まさかの理由から始まっていたのです。今では当たり前になったこのレイアウトにも、こんな意外な歴史の裏話があったのですね。
食べたいものが日によって変わる理由は「腸のバクテリア」のせい!
日によって「今日は甘いものが食べたい」「今日はさっぱりしたものがいい」と、食べたいものがコロコロ変わることはありませんか?その理由は、実は腸の中にいるバクテリア(腸内細菌)が脳に信号を送っているからだといいます。
内藤教授によると、腸内細菌は私たちが食べたものから栄養を得て生きています。だからこそ、自分たちにとって都合のいい栄養がとれるように、脳に「これを食べたい」と思わせる指令を出すのだそうです。
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腸内には100兆個以上の細菌が存在している
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それぞれのバクテリアは好きな栄養素が違う
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自分が元気になるために脳に欲求を伝える仕組みをもっている
たとえば、甘いものを好むバクテリアが多い人は、甘いものが無性に食べたくなる傾向があります。逆に野菜を好むバクテリアが増えれば、野菜が食べたくなるのです。
番組では、野菜が苦手なスタッフが「野菜好きバクテリア」を増やすための生活にチャレンジしました。
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発酵食品や食物繊維が多い食事を意識的にとる
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ジュースやお菓子など甘いものを控える
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睡眠や運動など腸内環境を整える生活を心がける
すると、数日後には「なんとなくサラダが食べたい」「自然に野菜を選ぶようになった」と変化が現れたそうです。
この結果からわかるのは、腸内環境を変えることで食の好みも変わるということです。好き嫌いの克服や、健康的な食生活にもつながるため、私たちの毎日の食事や習慣がいかに大切かがよくわかります。
つまり「今日はこれが食べたい!」という気分の裏には、腸内バクテリアの声が潜んでいるということなのです。体の中からのメッセージに耳を傾けてみると、自分自身の食生活のヒントが見えてくるかもしれません。
「大河ドラマ」の「大河」はロマン・ロランの影響だった
「大河ドラマ」と聞くと、歴史に名を残す人物の物語が1年かけてじっくり描かれる、NHKの代表的なドラマシリーズを思い浮かべます。でもこの「大河」という言葉、どうして使われるようになったのでしょうか。
もともと「大河ドラマ」という呼び方は、最初からあったわけではありません。1963年に始まった最初の作品『花の生涯』では、まだ「大河ドラマ」という言葉は使われていませんでした。
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『花の生涯』は1年間続く長編ドラマとして放送
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次の年、1964年の『赤穂浪士』の時に、新聞(読売新聞)に初めて「大河ドラマ」という表現が登場
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それ以前は「連続歴史ドラマ」のような言い方だった
この「大河」という言葉の由来になったのが、フランスの作家ロマン・ロランの長編小説『ジャン・クリストフ』です。作品のスケールがとても大きく、登場人物の人生や時代の流れをまるで大きな川の流れのように描いていることから、「大河小説」と表現されました。
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『ジャン・クリストフ』は人間の生涯を壮大に描いた物語
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一人の人物の人生を長く丁寧に描く形式は、NHKの歴史ドラマと似ていた
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そこから「まるで大きな河のようなドラマ」という意味で「大河ドラマ」と名づけられた
その後も、毎年1つの歴史人物をテーマにした長編ドラマが続きましたが、正式に番組名に「大河ドラマ」と表示されるようになったのは、2004年の『新選組!』からです。
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三谷幸喜さんが脚本を担当したことも話題に
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当時のNHKのドラマ部が「大河ドラマ」をもっと前面に出していこうと決めた
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それまでテロップに表示されていなかった「大河ドラマ」が、番組ロゴやタイトルとして使われるようになった
このように、「大河ドラマ」という言葉には、ドラマの長さや深さ、そして登場人物の人生の流れを、大きな川にたとえる文学的な意味がこめられていたのです。何気なく使っている言葉にも、こんな奥深い背景があることに驚かされます。
「バカ」の漢字が「馬」と「鹿」なのは中国の故事から
日常でよく使われる「バカ」という言葉ですが、その漢字が「馬」と「鹿」でできている理由には、中国の歴史的なお話「指鹿為馬(しかをさしてうまとなす)」が関係しています。
これは中国の秦の時代、政治の世界で起きた出来事です。当時、権力者だった趙高という人が、自分の力をためすためにあることをしました。
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鹿を連れてきて、「これは馬だ」と言い張った
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周りの家臣たちは本当は鹿だとわかっていたけれど、逆らうと命が危ないので「はい、馬です」とうそをついた
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こうして「鹿を指して馬と言う」=正しいことをねじまげて間違ったことを押し通す意味になった
この「指鹿為馬」という故事が後に日本にも伝わり、「馬」と「鹿」という漢字の組み合わせが「愚かさ」や「間違いを見抜けない状態」を表すようになりました。
さらにおもしろいのが、この「バカ」という言葉、もともとは僧侶たちが使っていた秘密の言葉(隠語)だったということです。
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インドの言葉であるサンスクリット語の「モハ」という言葉が由来
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「モハ」は「迷い」や「愚かさ」を意味する仏教用語
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この言葉が中国に伝わり、さらに日本の僧侶たちに広まり、「ばか」へと変化した
お坊さんたちが使っていた言葉が、時代をこえて一般の人々にも広まり、やがて日常的に使われるようになったのです。
そして、「ばか」という音に、故事から生まれた「馬」と「鹿」の漢字をあてたことで、今の「馬鹿」という表記ができました。
つまり、「バカ」が「馬」と「鹿」でできているのは、歴史的なエピソードと仏教の言葉が組み合わさった、奥深い背景があるからなのです。普段何気なく使っている言葉にも、こんなに長い旅と意味がつまっているのですね。
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