断層と奇祭と古代の調理法に迫る!悠久の楽園の秘密
2025年5月31日(土)19:30から放送される『ブラタモリ』は、南国の楽園・宮古島が舞台です。今回は「伝統漁船サバニ」「伊良部島と下地島の境界」「奇祭パーントゥプナハ」、さらに「2800年前の調理法」に至るまで、宮古島の知られざる文化と歴史をタモリさんが探ります。
サバニで楽しむクルージングと海との一体感
サバニは、沖縄の伝統を受け継ぐ木造の漁船で、古くから島の漁師たちに使われてきました。最初は大きな木をそのままくり抜いて作る「刳り舟」でしたが、17世紀以降、森林資源を守るために一本木の使用が制限され、複数の木材を丁寧に組み合わせた「剥ぎ舟」が主流になりました。この進化によって、より軽く、扱いやすい構造となり、現在まで受け継がれています。
現代では、このサバニに乗って体験する「サバニクルージング」が観光客に人気のアクティビティとなっています。エンジンを使わず、風の力と「エーク」と呼ばれる木の櫂を使って海を進むスタイルは、静かな時間を楽しむことができ、機械音のない自然な空間が広がります。
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風を帆に受けて進む感覚は、現代の船にはない爽快さがあります
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手に伝わる櫂の振動や水の抵抗から、海とのつながりを感じられます
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波の音、鳥の声、帆のきしむ音など、自然の音だけに包まれる時間が続きます
サバニの船体は海面にとても近く設計されており、海が透明な宮古島では足元にサンゴ礁や熱帯魚、時にはウミガメの姿まで見えることがあります。まるで水の上に浮かんでいるだけでなく、海の中に入り込んでいるかのような一体感を味わうことができます。
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宮古ブルーと呼ばれる海の色が、サバニの船縁から手に届くほど近くに感じられます
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浅瀬では海底の白い砂紋までくっきり見え、船の影が海底に映るほどの透明度です
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船が揺れるたびに光が水面で揺らめき、天然の光と影のショーが広がります
こうした環境の中でのサバニクルージングは、ただのアクティビティではありません。沖縄の伝統技術と自然の恵みを全身で体感する特別な体験です。速さではなく、ゆっくりと流れる時間と五感で感じる自然が、訪れる人の心を癒してくれます。宮古島に訪れるなら、ぜひ一度この特別な舟旅を体験してみてください。
伊良部島と下地島の境界線に迫る
タモリさんが注目する伊良部島と下地島の境界は、地図上では一体に見えても、実際には「入江水道」と呼ばれる細長い海峡によって隔てられています。この海峡は幅約40〜100メートル、長さは約3.5キロメートルもあり、見る角度によっては一本の島に見えることもありますが、実は海によって明確に分けられているのです。
この境界線が生まれた背景には、活断層の存在があると考えられており、プレートの動きによってサンゴ礁が隆起・沈降を繰り返す中で、2つの陸地が分断された地形的特徴とされています。地表の高低差や岩盤の違いなどからも、伊良部島と下地島の成り立ちが異なることが分かっており、地質学的にも大変興味深い場所です。
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海峡の水深は浅く、潮の流れが穏やかであることが多い
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干潮時には海底が見えるほど水が引くエリアもあり、地形の観察がしやすい
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島の両岸には石灰岩の地層が露出していて、サンゴ礁由来の成層がはっきり見える
この海峡には現在6本の橋が架かっており、車や徒歩での往来が可能です。そのため、観光客の多くは「1つの大きな島」として認識することが多く、日常的な生活圏としても完全に一体化しているエリアとなっています。特に近年は、下地島空港の利用者が増え、伊良部島全体がゲートウェイ的な役割を担うように変化しています。
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橋の中でも特に有名なのは「伊良部大橋」とは別の、入江水道に架かる小さな連絡橋群
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自転車で巡る観光客が多く、橋上から海中を泳ぐ魚やウミガメが見えることもある
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両島の間にはマングローブや湿地帯が点在しており、独特の生態系も広がっています
こうした地形や構造を実際に歩いて確かめることで、目に見える「つながり」と、目に見えない「分かれ」を同時に感じられる場所でもあります。タモリさんがどのようにこの境界を見つめ、地形の物語を語るのか、放送に大きな期待が集まっています。
泥だらけの神様が練り歩く奇祭「パーントゥプナハ」
宮古島の島尻という小さな集落では、毎年秋に不思議で迫力ある祭り「パーントゥプナハ」が行われます。この祭りは、国の重要無形民俗文化財として登録され、さらに2018年にはユネスコの無形文化遺産にも認定されました。
主役となるのは「パーントゥ」と呼ばれる存在です。木製の仮面をかぶり、体中を泥と蔓草で覆った姿は、まるで原始の神のような風貌です。パーントゥは集落中を歩き回り、人・家・車などに泥を塗りつけていきます。この行為には意味があり、単なる悪ふざけではなく、「泥を塗る=清める」という神聖な意味が込められています。
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泥は神聖なものとされ、災いや病気を寄せ付けない「祓いの道具」
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子どもから大人まで泥まみれになることで、集落全体の厄を落とす
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車や家にも泥が塗られるが、それは「福を呼び込むしるし」として歓迎される
この奇祭の始まりは、今から100年以上前にさかのぼります。島尻の海岸にクバの葉に包まれた仮面が漂着したことがきっかけとされています。村の若者がその仮面をかぶって村人に泥を塗ったところ、長く続いていた干ばつが終わり、雨が降ったという伝承が残っています。これがパーントゥの原型となりました。
「パーントゥ」という名前は、「パーン(食べる)」と「ピトゥ(人)」が訛った言葉で、妖怪や神様のような超自然的存在を意味するとされています。
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現在は「親(ウヤ)」「中(ナカ)」「子(ファ)」の3体のパーントゥが登場
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仮面は毎年地元の人が受け継ぎながら管理し、祭りの伝統を守っている
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前日には「スマッサリ」と呼ばれる集落全体を清める儀式も行われる
観光客も祭りに参加できますが、泥を塗られるのは前提条件です。服やバッグ、靴も汚れるため、汚れても良い服装で訪れることが絶対条件になります。また、観光客が増えたことで、パーントゥの動きが制限されたり、写真撮影で妨げられるなどの問題も出てきており、伝統を守りながら観光と共存する工夫が求められています。
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2019年は、300人の集落に対して約6000人もの観光客が訪問
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観光と文化保存のバランスをとるため、保存会やルールづくりの取り組みが進行中
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一部のエリアでは泥を塗る対象を限定するルールも検討されています
パーントゥプナハは、見た目のインパクトだけではない深い意味と歴史を持つ祭りです。泥だらけになりながら、神と人、自然と信仰が一体となる瞬間を感じることができる、唯一無二の体験です。訪れる際は、地域の思いと伝統への敬意を持って接することが求められます。
実は遺跡だった!?砂浜オーブンで2800年前の料理再現
観光客に人気のビーチの一部が、実は2800年前の調理跡のある遺跡であることも明らかになっています。古代の人々は、砂浜に穴を掘り、加熱した石と食材を葉で包んで蒸し焼きにするという「地中オーブン」方式の調理を行っていました。土器を使わずとも、火と自然の力を利用して食材のうまみを閉じ込める技術があったのです。
再現調理では、魚や貝をシンプルに蒸し焼きにし、現代の料理にはない素材そのものの風味を味わうことができたと言われています。現代のキャンプ料理にも似た手法であり、古代の知恵の深さに驚かされます。
まとめ
今回の『ブラタモリ』は、宮古島のリゾートイメージとは異なる、地形・文化・歴史の奥深さに迫る内容となりそうです。観光地としての表情だけでなく、自然と共生しながら培ってきた島の知恵を垣間見ることができる貴重な回です。放送後、詳しい内容が分かり次第、最新の情報を更新します。
放送の内容と異なる場合があります。
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